シューマン/フモレスケ

昨日の大バッハに引きつづき、今日はロマン派を代表するドイツの作曲家、ロベルト・シューマン(1810.6.8〜1856.7.29)の命日です。来年は没後150年という節目を迎えます。

シューマンといえば、名ピアニストの妻クララ、ブラームスとの出会い、そして精神病を患っての悲しい最期が印象的です。今日はシューマンが残したピアノ曲の一つ「フモレスケ 変ロ長調 Op.20」を、ウラディミール・ホロヴィッツの演奏で。

「フモレスケ」とは「ユーモレスク(仏)」のドイツ語読みで、「気まぐれな所のある、陽気でユーモアに富んだ器楽曲の小品。」とあります。実際、曲名にこの語を使ったのはシューマンが最初だそうですが、本人はこの曲のことを「あまり陽気ではなく、塞いだ気分の時に作られたもの」と言ったとか。ただ、曲からはそういう憂いの部分だけでなく、感情の起伏を見るかように、色々なモチーフが散りばめられていて、万華鏡のように変化に富んだ曲というのが感想です。

曲は、それぞれ「単純に」「非常に早く、軽快に」「なお速く」「性急に」「次第にいっそう活気をおびて、力強く」「単純に、繊細に」「インテルメッツォ(間奏曲)」「優しく」「非常に生き生きと」「少し華やかさをもって」「最後に」の11のモチーフからなっていて、全てが続けて演奏されます。直訳だからかもしれませんが、“単純に“という表現はどうなんでしょう。ちょっと安易な気もしますが(笑)

さて、ホロヴィッツの奏でる音色は、モチーフ毎に曲調だけでなく、雰囲気までにじみ出てくるようです。シューマンのクララへの想いからくる結婚への希望や期待、そして現実の焦りや憂鬱。そうしたシューマンのリアルな心の断片が見えてくるような演奏です。でもそれぞれのモチーフがごく自然につながっていて違和感なく聴こえてしまうから不思議です。

そうそう、この曲は夜のお休み前の安らぎタイムにいいかもしれません(^^ゞ
posted by stonez | 2005.07.29 20:55 | Comment(6) | TrackBack(0) | 音楽 - 器楽曲

J.S.バッハ/フーガ ト短調「小フーガ」

今日は、「音楽の父」J.S.バッハ(1685.3.21〜1750.7.28)の命日ということです。本日をもちまして没後255年となりました。というわけで、今日は私が一番最初に出会った大バッハの初期の曲、「小フーガ」でおなじみの「フーガ ト短調 BWV578」です。ハンス・オットーさんのパイプオルガン演奏です。

確か私が中学2年頃だったと思いますが、音楽の授業で聴いたのが最初です。日常では全く耳にすることのないパイプオルガンの幻想的な音色、独特の静寂感をもったメロディ。インパクトのあるこの曲にあ然として聴き入ったのを覚えています。オットーさんの演奏は、当時の授業で聴いた音色よりもシャープで洗練された印象ですが、当時の鮮烈な記憶がそのままよみがえります。

ところで「フーガ」を辞書で調べてみたところ、「一つ、あるいは複数の主題が次々と複雑に模倣・反復されていく対位法的楽曲。遁走曲(とんそうきよく)。」とあります。当時の授業で音楽の先生は「かえるの歌♪」を何回も輪唱するような感じと説明していた気がします。

そして授業で忘れられないのが、小フーガ ト短調の「主題が何回繰り返されるかを、みんなで数えて当てましょう!」クイズです。クラスのみんなは黙って真剣に指を折って数えながら聴いています。そして、演奏終了後にその回数を聞かれますが、5回、6回あたりから挙手が出始めます。それじゃあ少ない、少ない、と心の中でつぶやく私(笑)でも、そんな私は実際に聞こえた10回に、少し上乗せして14回で挙手をしてしまったんです。たくさん聞き取れて凄い!と思われたかったという、変な下心が裏目に出ました(笑)でも正解はなんと9回。上乗せしなくても間違えていたという、今にしてみれば甘酸っぱい思い出です。

とにかくそのとき反省して、素直に流れている音楽を聴こう、と思ったものです。音楽の父から大切なことを教えられたのでした。
posted by stonez | 2005.07.28 21:49 | Comment(2) | TrackBack(1) | 音楽 - 器楽曲

モーツァルト/フルート協奏曲 第1番

おとといの地震、結構揺れたようですね。その時は車に乗っていたのですが、これほどとは思いませんでした。家に帰ると、棚にのせていた物やテレビの上の花瓶が倒れて落ちていました。で、困ったことが一つ。テレビのリモコン操作ができなくなったんです。映像は映るんですけど...倒れた花瓶の水がテレビに入ったかもしれないので、ちょっと心配です。それにしてもリモコン操作のできないテレビって、本当に不便ですねぇ。

今日はモーツァルト作曲、フルート協奏曲 第1番。演奏は、フルート独奏がコンラート・ヒュンテラー、指揮フランス・ブリュッヘン、18世紀オーケストラです。
この曲は、モーツァルトがドイツのマンハイムを旅した時に、オランダ人の音楽愛好家ドジャンから「簡単で短い3曲のフルート協奏曲と、2曲のフルート四重奏曲」を依頼されて作曲したうちの1曲です。ちなみにこの曲は、簡単ではなく短くもなく、フルートの特性を生かした華やかさと、協奏曲ならではの規模をもっています。

ただ、当のモーツァルトはフルートという楽器をあまり好んでいなかったといいます。というのも、当時は現在主流の「ベーム式フルート」が誕生する半世紀くらい前のこと。当時は「フラウト・トラヴェルソ」と呼ばれる、穴を直接指でふさぐタイプのフルートが使われていましたが、楽器としてはまだ完成されておらず(音が小さく不安定、操作が複雑etc.)彼の好みの曲想を実現できなかったからかもしれません。

ヒュンテラーさんの今回のフルートは、そんな前評判のオリジナル楽器ということと、その名もズバリの18世紀オーケストラによる演奏ということで、現在の楽器群とは違う作曲された当時の音色と雰囲気を楽しみたいと思いました。

まずオリジナル・フルートの音色の透き通ったこと。ベーム式フルートの特徴の堅さのある感触とは違うもんですね。そして音も管弦楽に負けずよく通ります。もちろん奏者の技術も十分だし、オーケストラの好サポートがあることもあるでしょうけど、ゆったりした爽やかな第1楽章によく合っていますね。第2楽章は変わってしっとりと歌うフルートです。やさしくてやわらかいです。第3楽章は軽快なメヌエットですが、やはりくもりがなく、技巧的なパッセージも自然に聴こえてしまうところは凄いです。

湿気があって暑苦しいこの時期にはぴったりの爽やかさです。
posted by stonez | 2005.07.25 21:58 | Comment(8) | TrackBack(0) | 音楽 - 協奏曲

マーラー/交響曲 第8番「千人の交響曲」

ついにやってまいりましたね、梅雨明けとともに本格的に夏到来です。夏といえば海!海といえばビール(笑) 海ナシ県出身、冬生まれで色白の私にとっては、まさに憧れの季節。うだるような暑さに、立ち昇るかげろう。確かに冷房がなければとても過ごせない不便な季節でもあるのですが、それでも好きなんです。

季節も変わりましたし、ここは一つ気分を切り替えて新しい曲といきましょう。高校生の時にCD買ったまま、棚で寝かせて10余年。マーラー作曲 交響曲第8番「千人の交響曲」です。演奏は、エリアフ・インバル指揮/フランクフルト放送交響楽団ほか

オーストリア人のマーラーは、ワーグナーやブルックナーの流れをくむ19世紀後期ロマン派の作曲家ですが、当時はウィーン国立歌劇場の音楽監督やウィーン・フィルの指揮者としての方が知られていたようですね。そんな彼が、作曲に専念する為に地位を退いて作曲にとりかかったのが、この「千人の交響曲」です。時間的にも余裕があったためか次々構想が浮かび、最終的には大編成のオーケストラに加えて、オルガン、8人の独唱歌手、混声合唱団が2組必要な上に児童合唱団までいるという、初演時には1000人を超す巨大な規模となったことから、マネージャーが宣伝用にこの「千人の交響曲」というキャッチコピーを作ったそうです。

これまで、彼の曲は「巨人」と「復活」を聴いたことがありますが、何しろ演奏時間の長い曲が多く、私の1時間の通勤時間内に完結しなかったりするので、あまり聴いていませんでした。でも改めて聴いてみると、スケールの大きさが快感ですし、色々な楽器を使った音色やコーラスが出てくるので、全く飽きないですね。

この「千人の交響曲」は、全体は2部(楽章)構成となっていて、第1部の 讃歌『あらわれたまえ、創造の主、聖霊よ』は、最初からパイプオルガンと混声合唱で派手に始まり、全体的に歓喜という感じがします。それに声楽が入るとやはり盛り上がりますね。あっという間の23分でした。第2部は『ゲーテ「ファウスト」より終景』。ファウストのことはよく分かりませんが、宿命を感じさせる暗さがドイツ語のコーラスと交わって神秘的です。児童合唱団が出てくるとメルヘンチック!この楽章も音色やハーモニーが変化に富んでいますし、生命力を感じます。これはインバルさんの指揮によるところも大きいのでしょうね。宇宙規模の大きさです。最後には感動的なフィナーレで華やかに幕を閉じます。54分。で合計78分。

10余年寝かせた甲斐がありました(笑)こんな面白い曲もあるんですね。というか、これって交響曲なんですか?まあでも、こういう曲を聴いてしまうと「通勤時間が足りないなぁ」なんて変なことを考えてしまいます。まったく不思議です。
posted by stonez | 2005.07.21 23:04 | Comment(12) | TrackBack(4) | 音楽 - 交響曲

千代田フィルハーモニー管弦楽団 第28回サマーコンサート「オーケストラの森と動物たち」

日付は変わってしまいましたが、いつもお世話になっている、おさかな♪さんがヴァイオリン奏者として出演されたオーケストラのコンサートを聴きに行ってきましたので、忘れないうちに感想を。

<日時・場所>
 2005年7月16日・千代田区公会堂

<演奏>
 指揮:角 岳史
 お話:斉藤 由織
 千代田フィルハーモニー管弦楽団

<曲目>
 第1部 ロッシーニ/歌劇「どろぼうかささぎ」序曲
     チャイコフスキー/バレエ音楽「眠りの森の美女」からワルツ
     山々をわたるアルプホルンの音色
     スメタナ/連作交響詩「我が祖国」より「ボヘミヤの森と草原から」
 第2部 オーケストラの指揮者体験
 第3部 プロコフィエフ/交響的物語「ピーターと狼」Op.67
 アンコール J.シュトラウスII/ポルカ「狩」

千代田区の歌とセレモニーに続いて、第1部は「音楽の森と野原に出かけよう」というタイトルのもと、お馴染みの素敵な曲ばかり。「どろぼうかささぎ」では左右に別れた小太鼓がコンサートの開始を告げ、タクトを振るう角さんの明瞭でエネルギッシュな身振りから、弦楽器たちの繊細な音色、管楽器たちの力強さが引き出されて、わくわく感がよく伝わってきます。
「眠りの森の美女」のワルツでも弦楽器の繊細さが大活躍です。鉄琴のきらきらした音色も印象的で、数分間おとぎの連れていってくれました。

そして、アルプホルンの登場です!正式にはこの呼び名だということ、今日初めて知りました。二つに分解しても、奏者の身長よりも大きいそのサイズから発せられる音色は、アンサンブルしたホルンたちよりも存在感がありますね。アルプスの雰囲気が感じられる貫録の音色でした。
そして、「ボヘミヤの森と草原から」。地面から響いてくるような迫力は自然の雄大さを感じさせてくれます。ヴァイオリンの奏でるやさしい風と、鮮やかな森の緑を想像させるホルンの澄んだ音色。そして、自然に感謝する人たちの歌声が聴こえてくるようです。

第2部は、「ピーターと狼」のピーターのテーマで指揮者を体験する企画。見ていても面白いし、ちょっとためになりますね。登場したのはちびっ子達とおじ様。やはり、出だしから息がぴったりあうことが大事だというのがよく分かりました。2階席の私の周りのちびっ子達もにわか指揮者になりきって楽しそうだったのが印象的です。音楽に興味が持てるいい企画ですね。

そして第3部。「ピーターと娘」は、それまで司会をしていた斉藤さんの聞きやすい朗読のもと、登場人物・動物のお面をかぶった奏者たちが楽しそうに動物たちになりきっている姿が微笑ましかったです。優しさあふれるピーターのヴァイオリン。おてんばな小鳥のフルート。何だか憎めないアヒルのオーボエ。呑気でおとぼけ、猫のクラリネット。そしていい味出してました!いつもぶつぶつ、そして奏でているのも人の良さそうなおじいさんのファゴット。それから迫力の猟師・ティンパニと大太鼓。最後にお面が可愛い(笑)けど、悪役の貫録充分狼のホルン3人衆。楽しそうな演奏風景と、お芝居のような仕掛けに私の周りの子供たちも興味津々(笑)きっと良い思い出になったことでしょうし、私もストーリーと音色に釘付けになりました。そして、アンコールのJ.シュトラウスの「狩」は子供たちもびっくりの猟銃もさることながら、息の合った気持ちのいい演奏で、最後まで魅了してくれたのでした。

今日のコンサートで心に残ったのは、奏者の皆さんの楽しそうな笑顔でした。奏でる喜びと気持ちよさ。それが、見ている私と妻はもちろんのこと、周りにいた子供たちにもしっかり伝わったことでしょう。素敵なコンサートをありがとうございました、おさかな♪さん!
posted by stonez | 2005.07.17 01:41 | Comment(4) | TrackBack(0) | 音楽 - コンサート

ドビュッシー/アラベスク 第1番

昨日またまた深酒をしてしまいました。そろそろ成長しないといけないなぁと思いつつ、飲み始めると楽しくなってしまうんですよね、これが。しかもほんのちょっと度が過ぎただけで、翌日頭が痛いから始末に負えません。あー、あの辺でやめとけばよかった・・・今日はそんな、よくある一日でした。

今日は当然のように、ピアノの爽やかな心地よさを求めて、ドビュッシーの「アラベスク 第1番」です。ドビュッシーと同じフランスのピアニスト、ミッシェル・ベロフさんの演奏です。

「アラベスク」とは「アラビア風の装飾模様(唐草模様)」を意味するそうです。クラシックバレエの基本姿勢の一つでもあるようですね。この「アラベスク 第1番」の流れるようなアルペジオが唐草模様のように絡み合って、澄んだ美しさが断続的につづく様子が浮かびます。私はこのベロフさんの繊細でなめらかな演奏を聴いて、ぜひ行ってみたい屋久島の透きとおった川のせせらぎを想像していました。

後から知りましたが、ベロフさんは右手の怪我により、一時活動を縮小(左手で演奏できる曲などを弾き、活動はしていたそうです。凄い!)していたそうですね。でも、それを全く感じさせない柔らかい音色が好きです。テンポの良い、流れるような曲などは特にお気に入りです。

ところで、私がこの曲と最初に出会ったのは、学生時代に遊んだTVゲーム「ファイナルファンタジー5」なんです。主人公が、パブや民家にあるピアノで練習しながら、ピアノマスターを目指すというエピソードだったと思います。初めはドレミを鳴らすのも怪しかったのが、次第にたどたどしいながらもハノンとか軍隊行進曲とかをマスターしていき、なんと最後にこの「アラベスク 第1番」を完璧に弾きこなしてしまった時には、ちょっと鳥肌が立ってしまいました(笑)

ゲームといっても侮れないものですね。
結構意外なところで名曲を耳にしているものです。

posted by stonez | 2005.07.15 20:17 | Comment(2) | TrackBack(1) | 音楽 - 器楽曲

パガニーニ/ヴァイオリン協奏曲 第1番

先日のコンサートでヴァイオリニスト木野雅之さんの超絶技巧に感動してから、しばらくヴァイオリンの曲を聴いていましたので、今日はパガニーニのヴァイオリン協奏曲第1番を。演奏は、ヴァイオリン独奏・メニューイン、エレーデ指揮/ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団です。

「ヴァイオリンの鬼神」ことパガニーニは、イタリアが生んだ超人的なヴァイオリニストですが、その曲芸ともいえるような卓越した演奏技術や、次々に開発した演奏技法ゆえに「悪魔に魂を売った男」などと噂され、生前から既に伝説の人物だったようです。また、リストやシューマンのピアノ技法にまで影響を与えていますし、シューベルトは家財を売り払ってまで彼の演奏を聴きに行った、というエピソードが残っているくらいです。

彼はベートーヴェンまでのヴァイオリン曲では技術的に満足できず、自分の為の楽曲を数多く書いたそうです。ただ残念なのは、彼が技術が盗まれることを恐れてか弟子をとらず、しかも譜面の公開を拒んだため殆どの曲が散逸してしまったことや、ヴァイオリンの技巧に才能を捧げてしまい、オーケストレーションまで手が回らなかったと言われていることです。

そんなパガニーニのヴァイオリン協奏曲第1番ですが、第1楽章の冒頭からシンバルが鳴り響き、それに合わせるような元気なオーケストラなので、オペラの序曲のようなわくわく感があります。イタリアの陽気さをみるようでもあります。引き続いてパガニーニ劇場の開幕です!。メニューインの奏でるきらびやかな音色が響き渡り、めくるめく技の世界が展開されます。オーケストラは弦が合いの手を入れて引き立てる以外は静まり返ります。こんな感じでオーケストラとヴァイオリン独奏が交互にやってきて、協奏というより競奏という感じがしますし、気がついたらカデンツァにも自然に入っているところがおもしろいですね。

第2楽章は始まりこそジャーン!ですが、叙情的な味わいの美しい楽章です。シューマンはこれを聴いて「パガニーニに天使の歌を聴いた!」と言ったとか。ヴァイオリン特有の美しい音色をメニューインさんが余すとこなく聴かせてくれます。終楽章は、印象的な美しい旋律をソロヴァイオリンが奏でながらも、華やかな技巧のオンパレード。詳しくはわかりませんが、二重フラジオレット(左手の指4本を使った二重音で、弦を軽く押さえて弾く)や、スタッカート・ポランテという素早いスタッカート、それから素早い左手のピチカートなどなど。この目で見たくなるような速さと音色でした。

ヴァイオリンが秘めている表現力を存分に楽しむことができました。こういう曲こそ生演奏を見たいものです。ただ、オーケストラでももっと多彩な音色が楽しめたらと思うと惜しい気もします。
posted by stonez | 2005.07.14 01:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽 - 協奏曲

オーケストラ”フィルハーモニカー” 第20回定期演奏会

オーケストラ”フィルハーモニカー”による、第20回定期演奏会に行ってきました。このオーケストラ”フィルハーモニカー”は、1995年にさまざまな大学オーケストラや、JMJ(青少年音楽日本連合)の出身者が中心となって結成され、今年で創立10周年を迎えたオーケストラだそうです。今年2月に横浜・みなとみらいホールで行われた第19回定期演奏会を聴きに行って以来2回目となります。

<日時・場所>
 2005年7月10日・なかのZERO大ホール

<演奏>
 ヴァイオリン:木野 雅之
 指揮:荒谷 俊治
 オーケストラ”フィルハーモニカー”

<曲目>
 ベートーヴェン/交響曲第6番 ヘ長調 Op.68「田園」
 ラロ/スペイン交響曲 ニ短調 Op.21
 [アンコール]サラサーテ/ツィゴイネルワイゼン
 [アンコール]ロドリゲス/ラ・クンパルシータ

まず、ベートーヴェン「田園交響曲」。軽快で気持ち速めのテンポが心地よく、また情熱と暖かさにあふれる荒谷さんの指揮姿にも惹きこまれます。小川のほとりは、弦楽器の心弾む若々しい演奏が伝わってきましたし、ざわめきというより熱狂的な快感をもたらしてくれる農夫たちの踊り。時に管楽器が勢い余ってしまうのはご愛嬌。続いて迫力とともにやって来る嵐!息の合った弦楽器、それからオーケストラ全体を下から支えるティンパニの響きがよかったです。そして嵐が過ぎ去り、クラリネットとヴァイオリンたちに優しく包み込まれ、まるで雨で潤った大地が見えてくるようです。各楽器たちの元気な音色が、動物たちの喜びにも聴こえ、幸せなフィナーレでした。

休憩を挟んで、ラロのスペイン交響曲です。オーケストラによる迫力の序奏に続き、ヴァイオリン・ソロの木野さんの安定感のある弾力に富んだヴァイオリンが印象的です。軽々と技巧的なパッセージを披露してくれます。対照的な第2楽章はハープとトライアングルが加わり、木野さんの多彩な音色と交わってきらびやか。そして何よりも嬉しかったのが、初演のサラサーテが省略してからというもの、演奏されないことが多い第3楽章が演奏されたことです!自らこの楽章が好き、という木野さんのヴァイオリンが歌います。これほど音色の美しさをアピールできる楽章を省略してしまうなんてもったいないと思うのですが・・・この情熱的な異国情緒を楽しみながら終楽章まであっという間でした。とにかく、木野さんのヴァイオリンの魅力たっぷりの演奏でした。

アンコールは、先程のスペイン交響曲を初演した、ラロの親友サラサーテの「ツィゴイネルワイゼン」という選曲がニクいですね。息の合ったオーケストラの演奏、木野さんの余裕の名演という感じです。楽しみながら聴くことが出来ました。そしてアンコール2曲目!木野さん自ら、ロドリゲスの曲と説明してから独奏曲を演奏し始めました。残念ながら曲名が分からないのですが、 弾きながら弦をはじき、目まぐるしく奏でられていく姿は、見ているだけでも大満足。

若々しさあふれる元気さと繊細さ、それから久々にコンサートの演奏を目で耳で楽しむことができました!

<追記>
こばけんさん、アンコールの曲名教えて頂きありがとうございます(^^
posted by stonez | 2005.07.10 23:01 | Comment(5) | TrackBack(1) | 音楽 - コンサート

シューベルト/弦楽四重奏曲 第13番「ロザムンデ」

今月から、常駐先が晴海から麻布十番に変わりました。東京を脱出して仕事したい、という思惑はなかなか実現しませんが、自宅からの距離と通勤時間、それから運賃がわずかながらも縮まったのは良いことです。

今度利用している東急大井町線の車窓から見える風景は、どことなくのどかな街の風景を残してていいですね。ホームが短い為に、一部の駅ではドアの開かない車両があったりとか、駅構内に踏切があったりと、都内にありながらローカルな感じが、たまらなくノスタルジック。井の頭線ともまた違った趣があります。右の写真は、等々力駅近くの「等々力渓谷」です。都内に渓谷はここだけだそうですが、のどかな街中にこんな大胆な裂け目が隠されていることにまた驚き。

さて、今日はシューベルト作曲、弦楽四重奏曲 第13番「ロザムンデ」を、ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団による演奏で。タイトルの「ロザムンデ」は、彼が作曲した劇音楽「キュプロスの女王、ロザムンデ」からとられたもので、その中の旋律が、この曲の第2楽章に使われているそうです。私はまだ劇音楽の方は聴いていないので確かめていませんが。

第1楽章・・・悲劇的な歌曲風。ヴァイオリンが奏でる冒頭部分は「昔々・・・」と語りかけてくるよう。第2楽章・・・懐かしいような切ないような、叙情歌曲らしい繊細さがある。第3楽章・・・沈んだ調子の中にも、時折ワルツの洗練されたリズムがのぞく。終楽章・・・明るいロンド風のリズムで、愉快な気分で締めくくる。

シューベルトは、31年という短い生涯に約30曲の弦楽四重奏曲を残していますが、この曲は1824年に後期四重奏曲の1作目として作曲されています。ハイドンやモーツァルトの影響が色濃い前期の作品と比べ、シューベルト独特のロマン性が感じられますし、転調するたびに変化する色々な表情を楽しませてくれます。それからなんといってもカンパーさんのヴァイオリンが、美しさの中に漂っている哀愁や時折見せる明るさを余すことなく伝えてくれます。1950年ということでモノラルで古い録音でしたが、この年代にしてはいい音だったと思います。それからお洒落なジャケットに惹かれてしまいました。
posted by stonez | 2005.07.06 22:06 | Comment(8) | TrackBack(1) | 音楽 - 室内楽曲

ベートーヴェン/交響曲 第6番「田園」

ベートーヴェン作曲、交響曲第6番「田園」は、「運命」でおなじみの交響曲第5番と同時期に作曲され、同じ日に初演されています。ただ「運命」はのちの人たちが呼んだニックネームに過ぎませんが、交響曲第6番は、タイトルの「田園」から各楽章に至るまでベートーヴェン自身によって表題付けされています。そして、面白いのはベートーヴェン本人による説明です。

この田園交響曲は、田園の風物を音で描写したのではなく、田園での喜びが人々に与える感情を描いたものである


 第1楽章「いなかに着いた時の愉快な気分」
 第2楽章「小川のほとり」
 第3楽章「いなかの人達の楽しい集まり」
 第4楽章「雷と嵐」
 第5楽章「牧歌、嵐の後の喜びと感謝」

この頃のベートーヴェンは既に聴覚に問題を抱えていて、そのことが風景や音そのものから、呼び起こされた気持ちへと向かわせたのかもしれません。となると私が行ったことのないベートーヴェンゆかりの地、ドイツ・ハイリゲンシュタットの田園風景を想像できなくても、考えようによっては、この曲を聴きながら私が生まれ育った水と緑が美しい日本の田園風景に感情移入することもできるということですね。

というわけで今日は、ベートーヴェン作曲 交響曲第6番「田園」を、指揮ハンス=マルティン・シュナイトさん、神奈川フィルハーモニー管弦楽団の演奏で。今年3月29日に川崎市のミューザ川崎シンフォニーホールにて行われた、神奈川フィルハーモニー管弦楽団特別演奏会での録音です。

印象的なのは、第1楽章の出だしからしっとりと響いてくる弦楽器の音色です。その響きは、出るべきときは激しく、抑えるべきところは繊細に、シュナイトさんの指揮にきっちり応えながら進んでいく神奈川フィルが想像されます。

第1楽章の副題などは、思わずワクワクしてしまうような盛り上がり。小川のほとりの様子も鳥のさえずりも心安らぐような穏やかさがあります。一方で、人々の活気や雷鳴の思い切った激しさなどは生々しくリアルに。聴いていて飽きません。フィナーレの安堵感に満ちた感謝の気持ちまで、一気に聴き終わりました。録音の状態もいいですし、低音もよく効いていると思います。

小さい頃跳びまわった故郷、水と緑にあふれる田舎での記憶が目に浮かぶような、楽しい演奏でした。是非、次はコンサートに足を運んで生の音に触れてみたいと実感したのでした。

リンクです。yurikamome122さんによる、このCDのレビューです。
ベートーヴェン作曲、交響曲第6番「田園」 シュナイト指揮、神奈川フィル

そして演奏会当日のレポートです。yurikamome122さんの興奮が伝わります。
神奈川フィルハーモニー管弦楽団特別演奏会 ”名匠シュナイトの「田園」”
posted by stonez | 2005.07.03 22:59 | Comment(4) | TrackBack(4) | 音楽 - 交響曲