ラヴェル/ピアノ協奏曲

今日は晴れ間の覗くいいお天気でした。まだ8月ですが、ひところの猛暑は落ち着き、日中でも随分と過ごしやすくなったものです。夜などは、半袖で外に出ると少し涼しいくらいです。こうしていよいよ、秋の夜長を満喫できる時期がやってまいりますね。

少し早いですが、こんな快適で過ごしやすい夜のひと時に聴きたい、ラヴェルのピアノ協奏曲を。ピアノは、ハンガリーの鬼才ゾルタン・コチシュ。指揮はイバン・フィッシャー、ブダペスト祝祭管弦楽団です。

ラヴェルの最晩年に作曲された、このピアノ協奏曲はとにかく独創的。ムチの「バシッ」という音に始まり、まるで祭ばやしのようなピッコロをはじめとした軽快で楽しいメロディや、JAZZを思わせるピアノの第1楽章。そして、小太鼓のロールや速いピアノを軸に目まぐるしく楽器が入れ替わり演奏される、まるでサーカスを見ているかのような終楽章。

そんな、軽妙な両楽章に挟み込まれた第2楽章は、全く対照的。まるで夜のとばりが降りたあと、煌々と照らし出される澄みきった秋の月。そして、そこを吹き抜ける穏やかなそよ風を感じながら、ゆっくり過ぎてゆく時間は、秋の風情をたたえています。ふと、こんな句を思い出しました。

秋風に たなびく雲の 絶え間より もれ出づる月の 影のさやけさ

左京大夫顕輔(小倉 百人一首より)

コチシュのピアノは、なんといっても高度で鮮やかなテクニックがいいです。第1楽章のJAZZっぽい旋律は非常に難解そうですが、いとも簡単にサラっと弾いているかと思えば、第3楽章などは息もつかさず駆け上がったりしてワクワクさせてくれます。でも、対照的に優美な第2楽章は、子守歌のような自然さとやわらかさで歌いあげてくれます。ドビュッシーを奏でる時の、色彩豊かな演奏とはまた一味違った新鮮さです。懐の深さを感じさせてくれます。

ちなみに、オーディオの音量が大きいままこの曲を再生すると、冒頭のムチの音にびっくりして心臓に悪いので気をつけましょう(笑)

リンクです。おさかな♪さんによる小劇場は秀逸だと思います。
おさかな♪の音楽日記/ラヴェルのピアノコンチェルト(G-dur)
posted by stonez | 2005.08.29 22:51 | Comment(6) | TrackBack(1) | 音楽 - 協奏曲

モーツァルト/交響曲 第35番「ハフナー」

昨日の台風は久々に関東地方に猛威を振るいましたね。午後出勤した職場の人の話では、川崎市内の某駅前ではヒザの高さまで水没していたとのこと。靴を脱いで裸足で歩いという話を聞いて心配しましたが、とりあえず夜は帰れたのでよかったです・・・

そして今日は、台風一過の青空!と思いきや、どんより曇ってました(笑)。気を取り直して、そんな台風一過の帰り道に聴いたのが、モーツァルト作曲、交響曲第35番 ニ長調 K.385「ハフナー」です。演奏はレナード・バーンスタイン指揮、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

ハフナー交響曲は、モーツァルトの後期6大交響曲の最初の曲ですが、彼らしい格調高い美しさの中に、程よいアクセントが散りばめられていて気持ちよい仕上がりです。

冒頭のオクターブの跳躍や、弦楽器の駆け上がは嵐のあとの輝き。瑞々しさが溢れていて非常に印象的なテーマです。モーツァルト自身が、まさに「火のように激しく!」と言ったにふさわしい第1楽章です。続いて、日も暮れた家路への帰り道そのものの第2楽章。BGMともいえるような優しい旋律は、もともとの用途がセレナード(夕べの音楽)であったことを想像させます。

第3楽章は、ウィーン風の美しいメヌエットです。シンフォニックな主部に続き、中間部では木管の優雅な旋律が印象的。終楽章は、息をつかせぬプレスト(急速に)で始まります。バーンスタインが、ダイナミックさと各楽器のまとまりの良さを十分に引き出せているからか、違和感なくあっという間に一気に終わってしまうフィナーレです。

ところで「ハフナー」は、ザルツブルクの富豪ハフナー家のために作曲されたことに由来しています。2曲の「ハフナー・セレナード」が作曲されていますが、そのうちの2つ目を演奏会のために4楽章に組み直されたものが、この交響曲第35番「ハフナー」です。
posted by stonez | 2005.08.26 23:48 | Comment(4) | TrackBack(1) | 音楽 - 交響曲

ドビュッシー/ベルガマスク組曲

1862年の今日、作曲家クロード・ドビュッシーが誕生しました。私の好きな音楽を多く遺した作曲家です。それまでショパンやリストなど、ロマン派のピアノ曲に慣れ親しんだ私にとって、メロディアスではない独特の旋律を始めとした、想像力を刺激されるような色彩的な音楽は目からうろこでした。

今日は、1890年に発表された彼の初期のピアノ作品で、4曲からなるピアノ組曲「ベルガマスク組曲」を、ゾルタン・コチシュのピアノで。「ベルガマスク」とは、ドビュッシーが訪れたイタリアのベルガモ地方の人や踊りという意味合いを持ちます。ただ、このタイトル自体と作品が決定的に結びついているわけではないようです。

1.前奏曲:鮮やかに光り輝く、明るい曲です。木漏れ日が少しずつ降り注いでくるような光景が目に浮かびます。そんなときのコチシュのピアノは鮮やかな大胆さで魅了しますが、繊細な輝きには薄い影が描かれていてリアルです。

2.メヌエット:前奏曲とは対照的に、くすんだ色合いがリズミカルな旋律の中に描き出されていきます。そんな規則的な中に陰影が繰り返しやってきて、全体的に立体感を感じさせてくれます。

3.月の光:神秘的に輝く月の光が印象的な、ドビュッシー初期の傑作ですね。テクニカルなスピード感が印象的なコチシュらしさは全く無く、驚くほどゆったりと歌い込まれ、やさしい月光が水面に揺らめきながら照らし出されているようです。

4.パスピエ:パスピエとは、元々フランス古来の3拍子の舞曲だそうですが、ここでは4拍子に変更されています。ノスタルジックな雰囲気に満たされた舞曲で、コチシュは躍動的な色彩で展開していきます。

コチシュのピアノは、素早さを感じさせない軽い身のこなしで一気に駆け上がり、その先にある風景を自然に映し出すような演奏を聴かせてくれますが、その反面「月の光」のように、そよ風にも気づかせてくれるような繊細さがあるのも、また魅力です。
posted by stonez | 2005.08.22 23:02 | Comment(6) | TrackBack(1) | 音楽 - 器楽曲

リスト/ハンガリー狂詩曲 第2番

もうじき日付は変わってしまいますが、今日はハンガリーの建国記念日だそうです。ハンガリーという国名を聞いて思い浮かべるのは、この国が生んだ最大のピアニストであり作曲家のフランツ・リストです。ただ、実際にはハンガリー領に生まれたものの、両親はドイツ系ということもあってハンガリー語は分かっていなかったそうですが。

リストといえば、ヴァイオリンの鬼才パガニーニの演奏に啓示を受け、ピアノの超絶技巧で人々を魅了したという不世出の天才ピアニストとして知られていますし、作曲家としては比較的長命で、作品も数多く残していますね。

名曲「ハンガリー狂詩曲」には、リストの故郷ハンガリーの舞踊曲などがふんだんに盛り込まれていますが、その中でも抜群の知名度を誇る「第2番 嬰ハ短調」を、ロベルト・シドンのピアノ独奏で。

情熱的な舞が、繊細なタッチで紡ぎ出されていきます。運動会でも利用されたりする有名な旋律も出てきますが、とにかく目を閉じて聴いているだけでも超絶技巧ぶりが目に浮かぶシドンのピアノです。右手と左手のタッチの強さも違って変化に富んでいて、それが寄せては返す波のように行ったり来たり部屋に響き渡ります。

しっとり歌うようなピアノ曲とは正反対のこのような曲は、一度聴いてしまうとツボにはまって癖になってしまいますね。この勢いで、この他のハンガリー狂詩曲も聴きたくなってきました。全19曲、さっそく聴いてみます。その感想はまたの機会に。
posted by stonez | 2005.08.20 23:47 | Comment(4) | TrackBack(2) | 音楽 - 器楽曲

ヘンデル/見よ勇者は帰る

夏休みがとれたので、故郷の群馬に来ています。日付は変わりましたが、昨日の甲子園・高校野球大会は私の地元・群馬の前橋商と、いつもお世話になっているyurikamome122さんの母校・東京の日大三との試合でした。前商は私の母校ではありませんが、私が大学入試センター試験を受験した時の会場として思い出深い高校です。

接戦に次ぐ接戦。最終回は手に汗握る二死満塁逆転のチャンス。結果は惜しくも9対6で敗戦となりましたが、強豪相手に興奮の試合を展開してくれました。とにかく両校の選手たちの素晴らしいプレーに拍手です。勝利した日大三高には、前商の分まで勝ち進んでいって欲しいものです。

余談ですが、この前橋商は野球マンガの「タッチ」に出てくる明星学園のモデルとなった高校です。というのも作者のあだち充さんの母校なんですね。2005年の「タッチ」の映画化の年に、前商が19年ぶりに甲子園出場という偶然が重なりました。

今日は高校球児たちの健闘に敬意を表し、ヘンデル作曲「見よ勇者は帰る」を、ユージン・オーマンディ指揮/フィラデルフィア管弦楽団の演奏で。3、4分程度の、とても短い曲ですがタイトルよりも曲の方が有名です。よく、表彰式などの時にお馴染みのあのメロディです。ラヴェルのボレロではありませんが、シンプルな旋律が楽器や強弱が変わりながら繰り返され、勇者の功績をたたえていきます。そして、クライマックスは「本当によくやった!その健闘をたたえ、ここに表彰します」というねぎらいの声が聞こえてきます。貫録のある堂々たる演奏です。

でも暑い暑い甲子園の夏は、まだまだ続きます!
posted by stonez | 2005.08.16 00:14 | Comment(8) | TrackBack(0) | 音楽 - その他楽曲

カゼッラ/ハープのためのソナタ

ここ数日の関東地方は、曇りがちで湿気を含んだ暑さが続いております。そして夜も更けた今は、雷を伴う激しい雨。そんな翳りのある時には、しっとりしたハープの音色を聴くと意外と落ち着くものですね。

そんなわけで、ハープ奏者・吉野直子さんのアルバムを取り出してみました。彼女の奏でるハープの音色はふくよかな響き、そしてやわらかい音色が魅力。聴くととても心が休まります。その中から、カゼッラ作曲「ハープのためのソナタ Op.68」を。

1883年、イタリア生まれのカゼッラは、ストラヴィンスキーやプロコフィエフとほぼ同年代ということで、比較的現代寄りの作曲家で、作風はフランス印象派の音楽に影響を受けていると言われます。この「ハープのためのソナタ」は彼の晩年に、同じくイタリア人のハープ奏者のために作曲されたソナタとありますが、この曲も印象派音楽の雰囲気がよく顕れている気がします。

第1楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ」
快活な出だしでテンポよく奏でられていきますが、吉野さんの奏でるやわらかな音色を通して聴こえてくるのは、生き生きとした表情というよりも、やさしい風のような心地よい旋律です。

第2楽章「サラバンド(重々しく、荘重に)」
日本の「さくら」のような旋律で始まり、そして純和風のメロディを聴いていると、ふと琴の音色を聴いているような錯覚を覚えます。しっかりとした、でも前に出すぎない音色で落ち着いた空間を演出してくれます。低音の響きが心地よいのも印象的です。

第3楽章「フィナーレ(生き生きとして、陽気なマーチのテンポで)」
心地よいリズム感に支配されていますが、ここでも和を思わせるような、どことなく懐かしい気持ちにさせてくれます。幾重にも重なり合って響いてくる音色は、伴奏している楽器が他にあるかのような錯覚を覚えるほど豊かです。

このCDに収録されている、ドビュッシーの「月の光」もハープならではの魅力と、吉野さんの素晴らしさを堪能できますが、この曲こそ彼女のハープの魅力を楽しめる名曲だと思います。
posted by stonez | 2005.08.12 23:58 | Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽 - 器楽曲

ホルスト/組曲「惑星」

宇宙飛行士・野口聡一さんの搭乗するスペースシャトル「ディスカバリー」が無事に帰還しました。船外活動やビデオ撮影、そして船内での様子を通じて、テレビ越しに見る野口さんは、優秀な知識・技術と温かい人柄をあわせ持った方という印象を受けました。

そんな野口さん達の無事帰還のニュースを知り、喜びとともに宇宙に思いを馳せながら ホルストの「惑星」を聴いています。演奏は、ロリン・マゼール指揮/フランス国立管弦楽団&女声合唱団

イギリスの作曲家ホルストの代表作「惑星」は、壮大な宇宙空間の広がりを感じさせてくれる曲ですが、実際にはそういった天文学的なイメージというより、占星術からインスピレーションを得て作曲されたそうです。ホルスト自身、占星術に随分凝っていたといいます。私は占星術の事はよくわかりませんが、地球以外のそれぞれの惑星に固有のテーマが与えられています。よく知られているように作曲当時 冥王星は未発見でした。

戦争をもたらす火星は、暗黒で広大な地表、そしてまるで地中で生物がうごめいているかのような不穏さが、地響きとともに伝わります。対照的に、平和をもたらす金星の静寂感。そして、翼のある使者、水星の落ち着かない浮遊感。快楽をもたらす木星は、マゼールの堂々とした軽快さとホルンの作り出す壮大な空間や、J-POPシーンでも有名な民謡風の旋律も綺麗に歌いこまれています。老年をもたらす土星は、廃墟のような寂しさ、金属的な音や鐘の音も加わり荒涼とした風景をよく感じさせてくれますし、魔術師の天王星は、印象的なリズムと、呪文を唱えるような独特の表情です。神秘なる海王星は、フルートの微かな響き、ひっそり響き渡る女声合唱が神秘を充分に引き出します。

違った表情を持ったそれぞれの「惑星」を、すっきりした線で、くっきりした色彩で描ききっているのがマゼールの演奏だと思います。それに、録音なのに溢れる臨場感が印象的です。
posted by stonez | 2005.08.09 23:01 | Comment(6) | TrackBack(5) | 音楽 - 管弦楽曲

ムソルグスキー/組曲「展覧会の絵」(ラヴェル編)

夕べは、神奈川・厚木の花火大会を見に行ってきました。迫力のある尺玉に、色とりどりの宝石のようなスターマイン。変わり種としては、”SONY”の字が1文字ずつ浮かび上がりました。アイデアを感じさせるCMです。

そんな迫力の花火といえば、チェリビダッケ指揮/ミュンヘン・フィルの「展覧会の絵」です(ムソルグスキー作曲、ラヴェル編曲)。なぜならば、彼らの演奏する「展覧会の絵」は真夏の夜空にあがる打ち上げ花火だから。最高の間合いと空間で、その興奮を蘇らせてくれるのです・・・

花火を見に行った私たちの前には既に打ち上がり始めた花火。はやる気持ちを抑えてゆっくりと広場まで歩いていく様子、それがトランペットに導かれて始まる「プロムナード」。この主題はこの後に出てくる花火と花火をつなぐテーマ、そして気分のようです。

そして体の芯まで響いてくるような花火の音。それは 地響きのような打楽器の音。余韻たっぷりのファゴットとサックスは、鮮やかなオレンジ色に彩られ、そしてしばらくたたずんでいるしだれ柳の花火。花火と花火の間は、つかの間の空の静寂と周囲の物音を思い出すようなプロムナード。星形にハートに、カラフルな花火は、「卵の殻をつけたヒナの踊り」のように可愛らしさで溢れています。

花火のクライマックスは、終曲の「キエフの大門」。まさに漆黒のキャンバスに、色とりどりの花火がくっきりと彩られていき、そして後から遅れてやってくる迫力の爆発音。それがゆったり、でも次々と繰り出されて最高潮を迎え、惜しまれつつ静寂に戻っていきます。そして観客達の喜びの拍手。

そんなわけで、暑い夜空を彩る最高の「絵」の数々でした!
posted by stonez | 2005.08.07 02:04 | Comment(10) | TrackBack(3) | 音楽 - 管弦楽曲

iTunes Music Store、ついに日本上陸

昨日4日、アップルコンピュータが音楽配信サービス「iTunes Music Store(iTMS)」の日本でのサービス開始をアナウンスしました。
以前エントリーした通り、NIKKEIがリークした記事が現実のものとなりましたね。

iTMSは、現時点で楽曲数100万曲、気になる1曲あたりの価格は150円〜200円。無料音楽再生ソフトウェア「iTunes」からアクセスして購入し、音楽プレーヤー「iPod」に転送して聴くことができます。デジタル音楽プレーヤーで海外シェア首位のアップルが参入することにより、日本でも音楽配信市場が本格化、音楽をインターネットで買う時代がいよいよやってきました!・・・というのが一般的に報道されているところでしょうか。

で、問題なのがクラシック音楽ではどうか、というところです。さっそくアクセスしてみます。まずは試しに”作曲者”が”Beethoven”のクラシック曲を検索(”ベートーヴェン”では、ヒットしませんでした・・・)。ヒットした曲数150曲をざっと眺めてみると、1楽章=1曲でカウントされていますが、選べる曲と演奏(レーベル)はまだ少ないという印象を受けます。

ということで、私はベートーヴェンの交響曲第1番・第6番(クレンペラー/フィルハーモニア管、EMI)のアルバムを選択。すると、面白いことに購入できる楽章とできない楽章があります。交響曲第1番に関しては、なぜか第3・第4楽章のみ、それぞれ150円で購入可、第1・第2楽章は不可(アルバム単位での購入となる)ということで、まだ準備中なんでしょうか。とりあえず150円で第4楽章のみ購入してみました(他)ADSLですが程なくダウンロード完了、聴いてみると確かにクレンペラーの堂々たる旋律です(あたりまえか・・・)

クラシック音楽に関しては、まだまだ選択肢はこれからという感じですし、課金が楽章単位という点で他ジャンルと比べ割高感を感じなくもないですが、例えば、表示されている楽曲はすべて30秒間試聴可だったり、強力な検索機能があったり、便利さや今後の可能性に期待を持たせてくれます。できれば、廃盤になってしまった商品など、店頭ではなかなか手に入らないものを取り揃えてくれることを期待します。

<追記>
よくよく考えてみますと、楽章毎の課金とはいっても演奏時間によってお得感が変わってきますね。今のところクラシックは「1曲=150円」のみの金額設定のようですが、例えば、マーラーとかブルックナーのように20分を超えるような演奏時間の長い楽章と、J.S.バッハの管弦楽組曲の中の2〜3分の短めな曲が、それぞれ150円ということはないのでしょう。(ただ、もちろん曲の長さと曲の価値は比例しないことは言うまでもありませんが・・・)
改めてiTMSを確認してみたところ、10分を超える長い曲にはまだ値段がついていない(単品購入できない)ようです。レーベルや演奏時間によって差が出てくるかもしれませんが、今後どのような料金体系になるのかが注目されます。

<追記2>
あの〜、マーラーの交響曲 第6番と第9番(アバド/ベルリン・フィル)は、演奏後の「拍手(Applause)」しか購入できないんですけど・・・そりゃまあ「拍手も演奏の一部」なんて言うときもありますけどね。でも150円で拍手だけ買う人なんているんですか、ていうか拍手も売るのかい〜っ(笑)

posted by stonez | 2005.08.05 01:08 | Comment(4) | TrackBack(3) | いろいろ

ブラームス/ピアノ四重奏曲 第1番

家の外ではセミが鳴き始めました。毎日暑い日が続いていますね。ただ、日頃の私はそんな季節感をほとんど感じない、蛍光灯とクーラーの下(笑)で仕事してます。それでも移動する時はむっとする暑さの中ですので、そんなときは涼しげな音楽が聴きたくなります。ブラームスの「ピアノ四重奏曲 第1番 ト短調 Op.25」はそんな時にぴったりな1曲ですね。演奏は「ボザール・トリオ」による録音です。

ヨハネス・ブラームスは19世紀ドイツの作曲家ですが、大バッハ・ベートーヴェンと並んで、ドイツ音楽の「3大B」と言われたりしていますね。リストやワーグナーが歌劇や標題音楽へとシフトしていく中、ブラームスはベートーヴェンの後継者として、交響曲をはじめ、協奏曲、室内楽曲、歌曲と多岐にわたって作品を残しています。このピアノ四重奏曲 第1番は、そんなブラームスにとって比較的初期の作品ですが、シューマンとその妻クララとの出会い、そしてシューマンの死、それからクララへの思いと交流という激動の時期に作曲されています。

第1楽章から暗く情熱的ですが、重くはありません。ピアノの澄んだ音色、そしてヴァイオリンの落ち着いた音色。それを、ビオラとチェロが程よい厚みで支えられていて、泣くような曲想も爽やかに聴こえてきます。

第2楽章はちょっと神秘的な感じの旋律と、それに挟まれた明るく軽快な旋律からなる3部形式です。対照的な空間を自然なメリハリをもって楽しませてくれています。

第3楽章は変わって、穏やかな緩徐楽章です。そして、中間部ではヴァイオリンとビオラによって感謝の賛歌が歌われ、快適な高揚感に包まれます。心地よい暖かさを感じさせてくれる演奏です。

終楽章は「ジプシー風ロンド」と題されている通り、リズミカルで情熱的に展開していきます。ピアノのげきこうするかのようなカデンツァと、それを慰めるような弦楽器のしっとりした旋律。最後は情熱的に幕を閉じます。

ボザール・トリオは、1954年に結成されたアメリカのピアノ三重奏団ですが、ピアノ四重奏ではヴィオラのワルター・トランプラーが加わっての録音です。歴史の長い、息の合った彼らの演奏からは、透き通った透明感を感じます。
posted by stonez | 2005.08.02 22:50 | Comment(2) | TrackBack(0) | 音楽 - 室内楽曲