ヴィヴァルディ/協奏曲集「四季」より「秋」

秋分の日も過ぎ、日中でもすっかり涼しさを感じる今日この頃。秋といえば、東京・JR大井町駅の2番線では、電車発車時にヴィヴァルディの「秋」より第3楽章が流れます。なんでも、メロディ導入当時の駅長さんが自ら編曲を手がけたとか。これはもう、この時期に触れない訳にはいきますまい。

大井町駅を利用されている方には既にお馴染みでしょうが、滅多に利用しない私にとっては、ふと都会の喧騒を忘れさせてくれるようなナイスな選曲です。惜しい点を挙げるとしたら、夏でも冬でも一年中「秋」が流れることくらいでしょうか。ちなみに、ホームの反対側1番線では「春」の第1楽章が聴けます。

今日はこのヴィヴァルディ作曲の名曲、協奏曲集「四季」より「秋」op.8-3 を、イツァーク・パールマン指揮&ヴァイオリン/イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団による演奏で。iTunes Music Store(有料音楽配信サービス)にて選択できるいくつかの演奏の中から、チェンバロが強すぎず、弦の響きがふくよかに感じられる、ゆったりしたテンポのものを試聴して選び、ダウンロードしました。

はじめは収穫を祝う宴。ヴァイオリンの快活さが、食欲まで引き出してくれるような音色です。やがて酔いが回って眠りだすときには、一転して優しい調べが心地よく響きます。つづく夜更けは、チェンバロが奏でる子守り歌。その儚さのあるやわらかな旋律を、弦が優しく包みこんでくれます。そして、夜明けとともに狩りの開始。弾むような旋律が、獲物を追いかけて仕留める様子をダイナミックに聴かせてくれます。

余談ですが、大井町駅のメロディがヴィヴァルディになる前は、バッハの平均律クラヴィーア第2巻の5番と、ベートーヴェンの交響曲第8番・第1楽章が流れていたそうです。さすが駅長さん、いいセンスでいらっしゃいますね。
posted by stonez | 2005.09.30 12:53 | Comment(14) | TrackBack(4) | 音楽 - 協奏曲

「のだめカンタービレ」面白いです〜

いつもお世話になっている、クラシック音楽系ブログさんでは既に最新13巻の話題で盛り上がっていますね。この、二ノ宮知子さん著のクラシック音楽コメディー・マンガ「のだめカンタービレ」(講談社)、日頃はあまりマンガを読まない私ですが、試しに読んでみたところ凄い勢いでハマってしまい、あっという間に9巻目まできました。

主人公「のだめ」(野田恵)や、オレ様な千秋真一を始めとした個性的なキャラクター達が、クラシックの面白さを肩の凝らないストーリーで楽しませてくれます。私が特に魅力に感じているのはサクサクと読みやすいストーリー展開、キレの良いギャグの数々、それから実際の音が聴こえてくるような迫力の描写!といったところでしょうか。あまりに真に迫ってくる描写なので、登場した音楽を思わずその場で聴き出してしまったことは1度や2度ではありません。

この「のだめカンタービレ」。最近はクラシックファン以外にも人気があるようで、先日、千秋真一 指揮/R☆SオーケストラのCDデビューが話題になっていました。TV紹介によると、担当者は「のだめ人気は業界にとって数十年に一度のチャンス。このCDをきっかけに、クラシック音楽の売り場を若者でいっぱいにしたい」だそうです。まあ、とにかく勢いがあります。

でも、これによってクラシックの人気が広まって、お店の売り場面積が広がって、たくさんの選択肢の中から楽しめるようになることを期待しています。
さて、仕事がんばって(笑) 週末には「のだめ」の続きを楽しみたいと思います。
posted by stonez | 2005.09.26 22:17 | Comment(6) | TrackBack(1) | いろいろ

ガーシュウィン/ラプソディ・イン・ブルー(オリジナル版)

「のだめカンタービレ」ネタということで、今日はガーシュウィン作曲、ラプソディー・イン・ブルーにしてみました。この曲は、クラシックとジャズのおいしいところを合わせ持った「ジャズ風ピアノ協奏曲」といったところでしょうか。

「のだめ」5巻で、文化祭での仮装オーケストラを企画した「Sオケ」が演奏した曲ですね。照らし出されたスポットライトの下には、ピアニカを持ったマングースの着ぐるみ(のだめ)が、そして壮観の和装オケ(笑)が格好よく演奏していました。

さっそくこの演奏を、ガーシュウィン本人が1925年に残したピアノ・ロールと、マイケル・ティルソン・トーマス指揮/コロンビア・ジャズ・バンドによるオリジナル版で聴きました。オリジナル版ということで、オーケストラ版に編曲される前のジャズ・バンドによるものです。

ピアノ・ロールとは「紙にキーやペダルの動きを記録して、それを機械仕掛けで自動演奏すること」ということで、これで作曲者ガーシュウィンの思った通りの演奏が楽しめますね。でも、この自動演奏に合わせる奏者たちには大変な作業でしょう。

曲は、あの有名なクラリネットのグリッサンド(低音から滑るように一気に駆け上がる)でスタート!もうこれで釘付けです。オーケストラではなくジャズ・バンドという構成、そして全体を支配するシンコペーションの「タ、ター、タ」のリズム(私は「ス、ジャー、タ」で覚えました・笑)、さらにピアノの華やかで不規則なカデンツァ、そしてそして、流れるように移り変わっていく旋律! 全てが、JAZZらしさに花を添えながら、ミュージカルのように華やかに幕を閉じます。

ということで今日、生誕の日を迎えたガーシュウィン(1898〜1937)の「ラプソディー・イン・ブルー」。本人による粋なラプソディー(狂詩曲)でございました。
posted by stonez | 2005.09.26 22:17 | Comment(10) | TrackBack(4) | 音楽 - 管弦楽曲

サン=サーンス/交響曲 第3番「オルガン付き」

ふと、サン=サーンスが聴きたいと思い、引っ張り出してきたCDの中から、交響曲第3番「オルガン付き」をよく聴いているこの頃です。演奏は、マリー=クレール・アラン(オルガン)、ジョルジュ・プレートル(指揮)、ウィーン交響楽団という布陣。

サン=サーンスはフランスを代表する作曲家、そして有名なオルガニスト、ピアニスト。作風は色彩感がありながらも古典的という印象、しかも依頼を受けてからかなり短い期間で作曲できてしまうという、作曲ペースの速い方だったようです。

それからリストとの親交が深く、この曲の初演を祝ってくれた直後に亡くなった彼のために、出版される際に「リストとの思い出に」と記されたとのこと。いい話です。

この「オルガン付き」は、タイトル通りパイプオルガンとオーケストラが絡み合った壮大な音色が魅力。ただ、オルガンが常に演奏されているわけではなく、ポイントを押さえた登場と音量の使い分けが絶妙です。オーケストラにオルガンを用いた作曲家は他にもいますが、この曲のように主役級の扱いというのは少ないようです。サン=サーンスのオルガン奏者としての知識なくしては生まれなかったかもしれませんね。

曲は、第1楽章のなかに第1部と第2部、第2楽章にも第1部と第2部があり、いちおう4楽章の同等の構成です。それぞれ異なるきれいなメロディが素敵ですが、「循環形式」とよばれる全曲共通の主題を用いているからか、曲全体に一体感が感じられます。

第1楽章は、静かで厳かな序奏の第1部と、オルガンの優しい響きの上に弦楽器の音色が美しい第2部。つづく第2楽章の第1部は、華麗なスケルツォ。ピアノも参加して美しさに花を添えています。第2部はオルガンの見せ所。オルガンに始まりオルガンに終わるといってもいいほどです。そして、そのオルガンと共にピアノとオーケストラが加わった贅沢な響きが感動のフィナーレを演出!という、まさにそんな感じです。

石造りの西欧建築を思わせる均整のとれた重厚な響き。
そんな、アラン/プレートル/ウィーン交響楽団による演奏でした。
posted by stonez | 2005.09.23 16:49 | Comment(14) | TrackBack(5) | 音楽 - 交響曲

マーラー/交響曲 第1番「巨人」

今朝は、家を出たときからマーラーの交響曲第1番 ニ長調「巨人(Titan)」を聴き始め、仕事先に着くところでちょうど演奏が終了しました。通勤時間にほぼぴったりの演奏時間(笑)

私の場合どちらかというと、マーラーはこれまであまり聴いてこなかった音楽に入りますが、この「巨人」だけは例外的に高校生の時から聴いている馴染みの曲です。そんなわけで、いくつか聴いた中でのお気に入りのCDは、今日も聴きましたがズービン・メータ指揮/イスラエルフィルハーモニー管弦楽団の演奏です。

決め手は、なんといっても作曲者本人によってカットされてしまった幻の第2楽章「花の章」が収録されていること。確かに「巨人」という標題が似合わないほど、優美な旋律の楽章ではあります。(ただ、その後「巨人」という標題も取り除かれてしまったものの、愛称として定着しているようです)

メータ/イスラエルフィルの演奏には、間合いを自在にコントロールした聴きやすさを感じます。第1楽章の森の自然を感じさせるような旋律は、ゆったりした心地よさですし、センチメンタルな第2楽章「花の章」は、テンポを落としてじっくり歌いこまれています。どこまでも続きそうな安らいだ時間は、緩徐楽章好きの私にはこたえられません。トランペットの音色が本当に美しい!マーラーはこの曲の後、どうせ交響曲の概念に捕らわれない多くの音楽を作ったわけだから、この楽章を残しておいて欲しかったなぁ・・・

第3楽章は、鮮やかに彩られた活発なスケルツォ楽章。メータの躍動感に満ちた堂々とした演奏は快感です。第4楽章は、足取りまで見えてきそうな葬送行進曲。続いてやってくるオリエンタルな旋律は響きにどことなく懐かしさを感じてしまいます。そしてクライマックスの第5楽章は、絶望の淵から天国の楽園へ。聴かせどころの激しい部分は、わざとテンポを落とし、打楽器のタイミングをブレさせているので、より派手に聴こえてきます。

まさに熟練を重ねたツボを押さえた演奏と、タイタンの名にふさわい猛々しさを備えた演奏でした。
posted by stonez | 2005.09.21 01:06 | Comment(17) | TrackBack(6) | 音楽 - 交響曲

ザグレブ・フィルハーモニー管弦楽団 日本&クロアチア国際交流コンサート

昨日は妻の大学時代の恩師であるピアニスト、三谷 温(みたに おん)さんがソリストを務められるコンサートがありました。三谷さんは2003年に文化庁から文化交流使に任命され、クロアチアで芸術交流を深める活動をされたそうですが、今回の国際交流コンサートはこうした活動が生んだ成果の一つだと思います。ということで、何と言っても三谷先生の「皇帝」が聴けるとあって、喜んで行ってきました!

<日時・場所>
 2005年9月16日
 東京オペラシティコンサートホール

<演奏>
 指揮:ヨハネス・ヴィルトナー
 ピアノ:三谷 温
 ザグレブ・フィルハーモニー管弦楽団

<曲目>
 ヴェルディ/歌劇「運命の力」序曲
→ウェーバー/歌劇「魔弾の射手」序曲 に変更
 ベートーヴェン/ピアノ協奏曲 第5番 変ホ長調op.73「皇帝」
 [アンコール]ベートーヴェン/ピアノソナタ 第8番「悲愴」第2楽章
 [アンコール]シューマン/トロイメライ

 チャイコフスキー/交響曲 第6番 ロ短調op.74「悲愴」
 [アンコール]ブラームス/ハンガリー舞曲 第5番
 [アンコール]イヴァン・ザイン/
  オペラ「ニコラシュビッチ・ズリーンシキー」より「ウボイ」
  (共演:六本木男声合唱団)


まずは「国際交流」を印象づける、クロアチアと日本の国歌の演奏。クロアチア国歌の素晴らしい力強さはもとより、スネアや木管の効いた迫力の君が代にも鳥肌です。奏者は半分以上が女性で色とりどりの頭髪。金銀赤茶灰黒・・・目にも新鮮です。そして、ヴェルディ ウェーバーを聴くなり感じたのが、このオーケストラの放つダイナミックレンジの広さ。木造りのホールの音響特性を差し引いたとしても凄いものがあります。指揮者のヴィルトナーさんは熱血漢。顔を真っ赤にして、大胆な身振りとジャンプ!でぐいぐいオケをリードしていきます。

続いていよいよ三谷先生の登場。かたずを飲んで見守る中での「皇帝」のピアノの華麗なパッセージ!オケの迫力を前にしても色あせない存在感。かと思えば、優しく繊細に歌いこまれる緩徐楽章。最後は軽快なテンポに乗ってオケと丁々発止の掛け合いが繰り広げられ、ホールを興奮の渦に巻き込んでいきました。盛大な歓声と指揮者の後押しで、アンコールの「悲愴」。全てが一つになり歌われていく静かな時間。その後またまた指揮者ヴィルトナーさんが三谷先生をイスまで連れていって(笑)さらにトロイメライまで聴けることに!弾き終わった後に「もうここまで」とピアノのフタを閉じて笑みを誘う三谷先生のパフォーマンスつき(笑)この指揮者、うまいなぁ...

休憩を挟んでチャイコの悲愴。悲しさ漂う弱音から、天井を突き抜けるような盛り上がりまでの迫力の凄い事!しかも、ヴィルトナーさんが興奮のあまり飛び跳ねながらドラマチックに第3楽章を終わらせてしまった為に、大拍手が起きてしまいまうハプニング(笑)仕切り直しての終楽章は悲しみのなかにも優美さが漂っていました。

大歓声に応えた、重厚なハンガリー舞曲のアンコールの後、もうびっしょり(笑)の指揮者ヴィルトナーさんのご挨拶です。英語・日本語(?)による感謝と「ヒデヨシ・ヤマノテ」という言葉。は?と思っていると、やにわにコンマスのヴァイオリンをとり、弾き始めたのはなんとJR山手線の発車メロディ。確かにあのメロディはインパクトあるかもなぁ、海外の音楽家にはなぁ、と意外な国際交流に妙に納得。

最後のアンコールは、六本木男声合唱団が加わり「ウボイ」の大演奏!ウボイは、オスマン・トルコとの決死の戦いに挑むクロアチア戦士たちの様子を歌ったオペラ曲で、サッカーのワールドカップでも応援団に歌われたとか。これを日本の男声合唱とクロアチア伝統のオーケストラが見事な交流を果たし、大満足のうちに幕を閉じました。

長くなってしまいましたが、友好的で楽しさ一杯のコンサートでした。指揮者ヴィルトナーさんにしてやられた感もなくはないですが(笑)もう、お見事!クロアチアにも強い興味を抱くきっかけになりそうです。また、三谷先生には公演終了後にご挨拶させて頂きましたが、多くの後輩達の尊敬を集める、気さくで心優しい人柄。感動しました。先生の素晴らしいご活躍とこの機会に感謝したいと思います。

<追記>
kohkouさん、変更された1曲目お教え頂きありがとうございました!
posted by stonez | 2005.09.17 03:59 | Comment(8) | TrackBack(3) | 音楽 - コンサート

ベートーヴェン/交響曲 第1番

このところ仕事が忙しくなり、日付をまたぎながら帰ることが多くなりました。それでも、このあとには3連休が2回も控えているわけですから気が楽です。あとは休日出勤にならなければ...。ところで、日中でも袖をまくり上げていると、少し涼しく感じるようになりました。音楽をじっくり楽しむのに最適な気候です。

今日はベートーヴェン作曲、交響曲第1番 ハ長調。指揮カルロ・マリア・ジュリーニ、ミラノ・スカラ座フィルハーモニー管弦楽団の演奏です。ベートーヴェンが練りに練った上で、満を持して世に送り出したといわれるだけあって、わずか30分の中に交響曲の要素や面白みが凝縮されていますね。しかも、初期のピアノ協奏曲ようなモーツァルト風というか古典風な装いはそれほどなく、ベートーヴェンらしい新鮮な感覚が感じられます。

そしてジュリーニ・スカラ座フィルの演奏。いくつかの指揮者・演奏家の録音を聴いたあと、やっぱり最後はここに戻ってきます。厚みがあって鮮明な美しさ、ゆったり進んでいく心地よさ。いつ聴いてもホッとします。最近車でよく聴く定番ソングの一つでもあります。密度が濃く、軽過ぎることのない音色なので、周囲の多少の雑音には負けない印象があります。

堂々とした序奏に続いて、適度なメリハリとともにじっくり歌い込まれた健康的な第1楽章。第2楽章は静かに美しく歌いこまれますが、必要以上に飾りがなくて聴きやすく、弦楽器の息の長いフレーズが印象的です。この演奏の醍醐味は、まさにこのアンダンテ・カンタービレにあると思います。続いて、非常に短い第3楽章はスケルツォを思わせる力強さ、躍動感のあるメヌエット。終楽章は、快活な楽しさにあふれています。それでいて、一音一音しっかりと創り出されていく音色。

ジュリーニの丁寧で精巧な音づくりと、スカラ座フィルの歌謡性あふれる演奏。
この演奏を聴くと、ちょっとした時間も贅沢に感じられます。
posted by stonez | 2005.09.15 22:04 | Comment(6) | TrackBack(3) | 音楽 - 交響曲

オーケストラアンサンブル豊島 第2回定期演奏会

昨日とはうって変わってどんより空。さっそく選挙に行ってから、おさかな♪さん所属のオーケストラの定期演奏会を聴いてきました。おさかな♪さんの計らいで素晴らしい席で楽しむことができましたし、幸運にもご一緒することができました。

<日時・場所>
 2005年9月11日・新宿文化センター 大ホール

<演奏>
 指揮:道端 大輝
 ヴァイオリン:魚水 ゆり
 オーケストラアンサンブル豊島

<曲目>
 フンパーディンク/
    「ヘンゼルとグレーテル」前奏曲
 チャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲
 [アンコール]ドヴォルザーク/スラブ舞曲第1集より第8番
 ドヴォルザーク/交響曲第8番
 [アンコール]J.S.バッハ/無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第1番よりブーレ

一曲目、ヘンゼルとグレーテルは初めて聴く曲でしたが、何といっても穏やかでメルヘンチックな音楽。道端さんの若々しい明瞭な指揮のもと、繊細で美しい弦楽器の音色が印象的でしたし、目を閉じると楽しい童話の世界が広がります。こういう素敵な曲に突然出会えたりするのもコンサートの魅力のひとつですね。

続いてチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲。ソリストの魚水さんの奏でるヴァイオリンは時に情熱的に、そして時に繊細に優しく歌いこまれ、ぐいぐいとオケを引っぱっていく様に、見ていてどんどん惹き込まれていきました。第1楽章が終わった途端、スコールのように降り注いだ拍手とブラボーは、間違いなく魚水さんのためのものと納得!です。これで途切れることなく第2楽章は物悲しく、第3楽章は息もつかぬ躍動感で、聴いていて鳥肌の連続です。

そして感動の拍手に応えて、バロック風のヴァイオリン曲のアンコール(曲名ご存知の方教えて頂けると嬉しいです・・・)ゆったりと幸せな時間でした。ヴァイオリンの表現力の広さに感動の一曲でした。

休憩を挟んで、いよいよドヴォ8。第1楽章から魅せてくれます。ヴァイオリンをはじめとした弦楽器の美しさは言うに及ばず、印象的だったのがフルートやオーボエといった管楽器の暖かくて柔らかいハーモニー。この曲はこれほど彼らに素晴らしい役割を持たせていたんだなと、改めて実感。第3楽章のあの物憂い旋律も懐かしいと思えてしまう美しさ。フィナーレは元気なトランペットに始まり、テンポよくワクワクするような楽しさであっという間の演奏でした。この後に楽しんだアンコール曲(またまた曲名でてきません・・・メロディはよく分かるのですが(^^ゞ)も、このワクワク感を持続したまま名残惜しく幕を閉じました。

ところで、おさかな♪さんに伺ったところ、チェロの先頭には魚水さんのお父様がいらっしゃることが判明。素晴らしい親子共演を楽しませて頂きました。魚水さんのカデンツァの時のお父様の真剣な眼差し、そしてその後の安堵の笑顔は忘れられません。コンサート終了後に、私もご挨拶できて嬉しかったです(^^ゞ

そして最後に素晴らしいコンサートをありがとうございました、おさかな♪さん!

<追記>
fish父様、アンコールの曲名お教え頂きありがとうございました!
posted by stonez | 2005.09.11 23:26 | Comment(12) | TrackBack(0) | 音楽 - コンサート

神奈川フィルハーモニー管弦楽団 第218回定期演奏会「フランスのエスプリ」

雲ひとつない晴天の一日、真夏よりは幾分過ごしやすい気候はなったものの、それはまだ夕方以降の話。冷房のよく効いた電車に揺られて、初めての神奈川フィルのコンサートに行ってきました。

<日時・場所>
 2005年9月10日・横浜みなとみらいホール

<演奏>
 指揮:マウリツィオ・ディーニ・チアッチ
 ピアノ:野原みどり
 神奈川フィルハーモニー管弦楽団

<曲目>
 ミヨー/バレエ音楽「屋根の上の牡牛」Op.58
 ラヴェル/ピアノ協奏曲
 ラヴェル/左手のためのピアノ協奏曲
 [アンコール]ラヴェル/亡き王女のためのパヴァーヌ
 プーランク/シンフォニエッタ

今回の演奏会のコンセプトは、フランス近代の音楽の中でもラヴェルを中心とした簡潔さを追求した音楽。ちなみに、今回はラヴェルの協奏曲でのソリストのての動きが見たいがために、ピアノの後ろ側の2階席に陣取りました(^^ゞ

まずはミヨーの屋根の上の牡牛。フランスの街中で流れていそうな明るいメロディに乗って、ヴァイオリン、ビオラの透明感、フルート、オーボエの存在感のある美しさをはじめとして、全ての楽器の美しさを交代で楽しめる構成になっていて、私にとって神奈川フィルの名刺代わりの1曲目としては最高のチョイスだと思いました。それに、チアッチさんの真剣と興奮の表情が入り交じった指揮姿。新鮮な光景です。

そして、ラヴェルのピアノコンチェルト!何といっても、野原みどりさんのピアノにただただ圧倒されるばかり。オケの暖かいサポートに包まれ、そして時には包み込みながら魅せてくれます。鍵盤の上をキラキラと舞う蝶のような第1楽章。そして、ピアノが優しく歌う第2楽章。そして、鋭い速さは弾いているというよりも、まるで鍵盤を素早くはじいているように見えた第3楽章。興奮と安らぎが喜びに変わるひと時になりました。

続いて、左手のためのピアノ協奏曲。もともと第一次世界大戦で右手を失った、ウィーンの名ピアニストのために作曲されたものですが、左手だけで弾いていると全く感じさせない、豊かで幅のある野原さんの音色!起伏に富んだ旋律の中で、際立ったり協調したりとその存在感をいかんなく発揮してくれました。第3楽章のカデンツァでは、指揮者、奏者、そして聴衆が耳を澄ます中、静かな時が流れました。

鳴り止まない拍手に引き続いて、なんと野原さんからアンコールのプレゼント!同じくラヴェルのパヴァーヌです。ピアノで聴くパヴァーヌは悲しさというより儚さを感じさせてくれます。再びゆったりした時を楽しみました。

最後はプーランクのシンフォニエッタ。憂いのある美しさとメリハリのある旋律からは、古き良き古典派の上品さと、現代的な響きの妙を兼ね備えた美しい音楽です。爽やかで透きとおった弦と管の柔らかさが、チアッチさんのエネルギッシュなタクトから紡ぎ出されていきました。また聴きたい!と思わせてくれる演奏でした。

透明感のある弦楽器に美しく歌う管楽器。そして気張らず、自然に楽しめる曲ばかり。まさに「フランスのエスプリ」に納得の、素敵なコンサートでした。
posted by stonez | 2005.09.10 22:17 | Comment(4) | TrackBack(2) | 音楽 - コンサート

ショパン/ノクターン 第13番

猛威を振るっている台風14号の影響で、関東でもぐずついた天気が続いています。今は強い雨。日中でも外の景色が見えにくい、いつもの開発ルームでもさすがに外の暗さが伝わってきました。そんな日の帰り道に、なんとなくアシュケナージが演奏する、ショパンのノクターン13番を聴きました。

日も暮れ、漆黒と化した空の下。そして恐ろしいほどの澄んだ静寂がつつみこむように始まる、美しいピアニッシモ。左手が奏でる低音は不気味な空の深さ。右手からは、平静を装いつつも、これからやってくる嵐におののく落ち着きのない心のようです。それにしてもアシュケナージのピアノは、すっと体の中に入ってきます。それに透明な間合いと音色。

やがて、ぱらぱらと雨が降り出す中間部。静かな分散和音からは、乾いた路地や建物がだんだん水を含んで徐々に濃い黒に変わっていきます。でも、まだこの程度の雨ならむしろ涼しくて気分は悪くありません。そのとき、遠くから雷鳴が。それがだんだん近づいてくるとともに雨脚と雨粒はさらに勢いを増し、やがて激しい嵐に!そして、冒頭のメロディが再び戻ってきた頃には、肌を刺すような豪雨に支配されています。自然の叫び。荒々しいのに、なのに、奥底にどことなく漂う暖かさ。アシュケナージの演奏を聴くとほっとします。

ところで、「ノクターン」は「夜想曲」と訳されるように、「主にピアノのための、夜の情緒を表す叙情的な楽曲。」とありますが、この13番のように情熱的だったり、他にも幻想的な曲もあったりと、ショパンの21曲のノクターンは「夜想」だけでなく、様々な感触や表情が散りばめられています。

ですので、注意が必要です。寝付きが悪かった時に、ショパンのノクターンを流して静かに目を閉じていたところ、この13番の大嵐に遭い(笑)その晩眠れなくなったことがありますので...

posted by stonez | 2005.09.07 00:41 | Comment(2) | TrackBack(1) | 音楽 - 器楽曲