南イタリアの思い出1 〜ナポリ〜


ちょうど一年前の今頃になりますが、イタリア南部を旅行してきました。私が海外初めてだったのと、新婚旅行ということで無難なパックツアーにしましたが、とにかく楽しい思い出になりました。一年経ってまたこの季節を迎えた折、忘れないうちにその記憶を残しておきたいと思います。

最初はナポリ。ローマ、ミラノに次ぐイタリア第3の都市として、またカンパーニア州の州都としてその歴史はギリシア時代からと古く、地中海沿岸で最も美しい港町と言われています。

そんなナポリは、私が初めて踏んだ海外の地となりました。夜更けにナポリ空港に着いた私達一行を出迎えてくれたのは、荷物運び(?)などの仕事を求めて空港でズラっとこちらを取り囲んだ大勢の子供や大人達。イタリアでは南北の経済格差が未だ大きいといいますが、それを目の当たりにするような光景でした。

とはいえ、人、建物、色彩、目に入ってくるものが何でも新鮮です。上の写真は考古学博物館の近く、トレド通りに面した街の様子。私が気に入ったのはお洒落な信号機ですが、こんな低い位置にあったら車を運転していて見難いんじゃないかと案ずる次第。それに、いたずらされそうで心配(笑)

ところでナポリの治安については、1994年のナポリサミットあたりから改善されているそうです。でもガイドさんによると、旅行者は貧困層の多いスペイン地区には近づかない方がいいとのこと。無防備で歩いていると、ひったくりなどの危険があるそうです。それを聞くと、やっぱり平和に過ごせる日本は凄いですが、同時に自分の身は自分で守るという基本的な事を実感させられます。

下の写真はサンタ・ルチア地区の美しい町並み。ナポリは「海と丘の町」と言われているそうですが、納得の景色でした。穏やかなナポリ湾と、それに面して建ち並ぶカラフルな建物は、明るくて陽気な地中海沿岸の風景のイメージそのものでした。


posted by stonez | 2005.10.31 12:56 | Comment(10) | TrackBack(0) | 旅行記

シャブリエ/狂詩曲「スペイン」

「スペイン風の音楽=秋」という固定イメージを持っているわけでは決して(笑)ありませんが、私にとってこの素敵なメロディは実りのある秋にぴったりです。フランス生まれのシャブリエ作曲、狂詩曲「スペイン」。佐渡裕 指揮/コンセール・ラムルー管弦楽団の演奏です。

ドヴォルザークと同い年のシャブリエという人物は、作曲家としては異色のキャラクターのようです。「脱サラ」して本格的に作曲をはじめたのが39歳。余裕のできた時間を生かし、夫人を伴って旅行したスペインで出会った情熱的な民族舞踊や、奔放で明るい人々、色鮮やかな風景が、フランス人ならではの色彩感を通して伝わってくるような音楽です。

まずは、弦楽器による陽気で軽快なピチカートから。そして熱狂的なダンスに変わると、タンバリンやトライアングルも参加して盛大に盛りあがります。メロディはシンプルなのにそれが矢継ぎ早に繰り出される気持ちよさ。しかもタイミングよく入れ替わる楽器たちの鮮やかさ。本当にあっという間の7分間です。

佐渡裕/コンセール・ラムルー管の演奏は意外(?)にも汗が飛び散るような勢いではなく、細かな音も漏らさず聴かせてくれるような、繊細で豊かな音づくりが印象的でした。

シャブリエが作曲をはじめてから、生涯を閉じる53歳までのわずか14年間という活動期間の中で、発表された作品は決して多くはありません。でもその中でこの狂詩曲「スペイン」は、今でもキラキラ輝く名曲中の名曲といえるでしょう。
posted by stonez | 2005.10.28 23:07 | Comment(4) | TrackBack(2) | 音楽 - 管弦楽曲

ドヴォルザーク/弦楽セレナーデ

明治生まれの父方の祖母が他界しました。もともと高齢に加えて、数年前から痴呆と寝たきりの状態でしたので、とても寂しい気持ちの反面で、お疲れさまというか、これでようやく楽になれたのかなという思いもあります。今浮かぶのは子供の頃に可愛がってもらった懐かしい思い出ばかり。本当に今までありがとう。

今日はドヴォルザーク作曲、弦楽セレナーデ ホ長調 op.22。サー・ネヴィル・マリナー指揮/アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズによる演奏です。セレナーデ(独、セレナード(仏)、セレナータ(伊))とは、昔は窓辺で恋人に歌われた愛の歌だそうですが、今では小編成で多楽章からなる組曲を指すようです。

この弦楽セレナーデはドヴォルザークが33歳の若さで、しかも11日間で書き上げたという傑作ですが、そんな短期間に作られたとは思えない豊かで爽やかな響きですし、印象的なメロディの数々。ドヴォルザークは素晴らしいメロディーメーカーですね。

第1楽章は穏やかな風の中、落葉が舞う湖畔の風景のようです。ヴァイオリンの音色は本当に透きとおっていて、柔らい聴き心地からは、昔の懐かしい光景が脳裏に広がっていきます。

第2楽章は哀愁漂う美しさで、やはり懐かしい気分にさせてくれます。マリナー、アカデミーの演奏は、弦楽器だけで演奏されていることを忘れるような、しっかりした音色。

第3楽章は生き生きとしたスケルツォ。ここでも躍動感のある豊かな音色です。中間部は情緒的で、輝くような紅葉の風景がイメージされます。

第4楽章はしっとり落ち着いたノクターン風。内声部がしっかり支えているからでしょうが、より美しく響き渡ります。ここは弦楽器の持ち味充分ですね。

第5楽章はそれまでと変わって、印象的な溌剌とした音色で始まる快活な楽章。最後には、昔の懐かしい思い出が蘇るように、第1楽章のテーマが回想されるのですが、それが本当に感動的なんです。慰められているような気にさせる、繊細さと大胆さが心地よくミックスされた演奏でした。

この音楽は私の中に本当にすっと入ってきました。そして、暖色の色合いやセピア調のフィルターを通した懐かしさが見えてきました。
posted by stonez | 2005.10.26 23:15 | Comment(6) | TrackBack(1) | 音楽 - 管弦楽曲

モーツァルト/ピアノ協奏曲 第21番

川崎市長選と参院神奈川補選の投票に行ってきました。先日の衆院選よりは投票所は空いてましたが、市長の政策などは生活に直結するので、候補者の選択肢とか判断材料はもっと欲しいです。当選された方には公約を忘れないで頑張ってもらいたいものです。

それから今日のプロ野球・日本シリーズでは、友人のチームメイトだった渡辺俊介投手が好投を見せてくれました。厳しいサラリーマン時代を乗り越えて、また体の柔らかさを生かした独特のサブマリン投法を駆使してのピッチングはとても心に残りました。競馬ではディープインパクトの無敗での三冠達成など、話題盛りだくさんの一日となりました。

今日は、これまた秋らしい明るくて豊かな響きの音楽です。モーツァルト作曲、ピアノ協奏曲第21番 ハ長調 K.467。演奏はダニエル・バレンボイム指揮&ピアノ、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団です。1785年に作曲された、この第21番協奏曲は、爽やかな第2楽章を始め充実と自信に満ちた絶頂期のモーツァルトが堪能できますね。

第1楽章は軽快な行進曲のようなアレグロ楽章。ピアノが慣らし練習のように登場するのが面白いです。バレンボイムの演奏は明瞭な音色で、特にカデンツァで垣間魅せてくれる情熱は残像のように脳裏に残ります。

そしてアリアのような美しい第2楽章は、穏やかに繊細に。一度聴いたら忘れられない美しさですし、その中には満たされた安心感があります。バレンボイムの、優しさの中に秘められた憂いを感じるピアノもいいですね。

第3楽章は陽気なオペラの序曲のようです。ピアノも自然にオケに溶け込んでいて、そよ風のように流れてきます。最後は華麗に結ばれてハッピーエンドです。

この音楽からはゆったり流れるような心地よさ、軽快で弾むような心地よさが両方味わえますし、ピアノはその中で陰影のある存在感を自然に発揮していて、耳にも頭にも印象に残る名曲だと思います。
posted by stonez | 2005.10.23 23:10 | Comment(6) | TrackBack(4) | 音楽 - 協奏曲

ベートーヴェン/ロマンス 第1番

ここ数日、すっきりしない天気が続きましたが、今日は久々に秋晴れの一日。何といっても傘を持たなくていいので身軽でしたし、それほど寒くなかったので過ごしやすい一日となりました。

下の写真は川崎にある自宅近くの光景です。ススキが見られるようになってくると、秋も一段と深まっていくのを感じます。

今日は、ベートーヴェン作曲「ロマンス第1番 ト長調」です。演奏は、アイザック・スターンのヴァイオリン独奏、小澤征爾 指揮/ボストン交響楽団。「ヴァイオリン協奏曲」のカップリングですが、バレンボイムの指揮ではありません。

ベートーヴェンが2つ作曲した「ヴァイオリンと管弦楽のためのロマンス」はどちらも、後に作曲された名曲「ヴァイオリン協奏曲」の為の布石になったといわれる、美しい作品です。

中でも「第2番 ヘ長調」は甘美なメロディということもあり、比較的耳にする機会が多いですが、この「第1番 ト長調」も素晴らしいですね。リラックスできる落ち着いた美しさが魅力です。

曲はロンド形式(主題が異なる旋律を挟みながら、何度も繰り返される楽曲形式)ということで、詩情にあふれた内向的な主題が静かに体に染み込んでいきます。また、2つの弦を同時に弾く重音奏法と呼ばれる演奏は、より深みのある味わいを楽しませてくれます。

スターンのヴァイオリンはしぶ味のある落ち着いた音色。響きがこの曲の雰囲気にとてもよく合っていると思います。

ヴァイオリンのゆらぎもたくさん入った、癒しの音楽でした。演奏時間も7分程度と気軽に楽しめるのもいいですね。
posted by stonez | 2005.10.20 22:33 | Comment(2) | TrackBack(0) | 音楽 - 管弦楽曲

ロドリーゴ/アランフェス協奏曲

このところ、秋らしいブラームスの奥深さを堪能していますが、こちらもこの季節に聴きたくなる音楽の一つ。ギター協奏曲の代表的な存在、スペインのロドリーゴ作曲 アランフェス協奏曲です。

アランフェスとはスペイン中部地方の町の名前で、ロドリーゴはそこにある美しい庭園をもったスペイン王室の離宮を想像して作曲したといわれています。

演奏は、ナルシソ・イエペスのギター独奏、ガルシア・ナバロ指揮/フィルハーモニア管弦楽団。私にとっては、クラシックギタリストといえばイエペスでした。あの独特の10弦ギターの印象が強く残っていますし、日本との関わりも強かった方です。

第1楽章は快活な舞曲風。陽気で明るいギターの序奏で始まり、朝の鮮やかな青空を感じさせてくれます。最初からイエペスの味わい深いギターが鮮烈です。

第2楽章は夕焼けの中の荒涼感。神への祈りが込められた、哀愁漂う旋律がゆっくりと歌いこまれます。体に染みわたるイエペスの美しい音色。またカデンツァでの、情熱的な響きから感じられる緊張感が忘れられません。

終楽章はギターの技巧を楽しめるリズミカルな舞曲風。主題が変化しながら、オケとの相性のよさを楽しませてくれます。

ところで、この協奏曲が作曲された当時(1939年)のスペインは、国土を荒廃させる不幸な内戦が終結し、過酷なフランコ独裁政権が成立した頃です。しかしこの音楽から感じられるのは、鮮やかな原色の色彩に満ちたスペインの魅力そのもの。

同じく独裁体制のもとで、その政治的背景をピリピリ感じさせてくれる、ショスタコーヴィチら旧ソ連の作曲家の音楽とは対照的に思えます。
posted by stonez | 2005.10.18 15:50 | Comment(10) | TrackBack(4) | 音楽 - 協奏曲

ブラームス/交響曲 第3番

昨日の東京は雲ひとつない、素晴らしい秋晴れの一日でした。でも、天気予報によるとこれから雨。寒くなるかもしれませんので風邪には注意が必要ですね。そういう私は先日さっそく風邪ひきました(*_*)

さて、いつもお世話になっているensembleさんのブログで「秋はブラームス」キャンペーンをされていますが、私もそれに賛同して、ブラームスの「交響曲第3番 ヘ長調 Op.90」でいきたいと思います。演奏は、ジョージ・セル指揮/クリーヴランド管弦楽団

この音楽には、落ち着いた紳士の魅力みたいなものを感じます。それは、この曲にスケルツォやメヌエットといった舞曲のお祭り気分がないこともあるでしょうし、どの楽章も弱い音に始まり、弱い音に終わることが貫かれているからかもしれません。フィナーレでさえも慎ましく終わるほどです。

それでいて退屈するような平坦さはなく、感情の起伏が心地よくセーブされながら美しく響いてきます。これを見事に引き出しているセルの演奏も素晴らしいですし、この味がブラームスの渋さたる所以なのでしょうか。激しく目を見開いて快感を得るようなベートーヴェンの音楽も好きですが(笑)、そうでない気分の時もあるからこそ、この音楽は大切な存在です。

第1楽章のアレグロ・コン・ブリオは、颯爽としているけど突き抜け過ぎない快適さ。私の好きな、クラリネットのソロもすがすがしく美しさに花を添えています。第2楽章は、そのクラリネットが気品のある演奏を披露してくれますし、木管と弦の穏やかな対話が心地よく。第3楽章は、旋律の美しさが有名なセンチメンタルな楽章ですが、セルが引きだすのは透明感のある音色。終楽章は劇的な輝き。葛藤を表現したような、ダイナミックな掛け合い。最後は解き放たれたような安らぎとともに幕を閉じます。

この第3番は、ブラームスが若きアルト歌手に思いを寄せていた頃作られたそうです。セルの演奏からは、そんなブラームスの慎ましやかな思いが伝わってくるかのようです。秋にぴったりの穏やかで味わい深い音楽です。

Tags:セル 
posted by stonez | 2005.10.14 00:39 | Comment(16) | TrackBack(9) | 音楽 - 交響曲

”思い出バトン”

実家にいる愛犬ベルですいつもお世話になっているyurikamome122さんより、”思い出バトン”を頂きました。今回は”思い出”をお題にバトンを渡していくということですね。こういうイベントは大好きですので、さっそくやってみます。yurikamome122さん、どうもありがとうございます(^^

Q1.小学校・中学校・高校で思い出のある時期は?
中学校での部活です。ファミコンで野球を覚えたので、後先考えずに野球部に入部しました(笑)。あまり上手くはならなかったけど、鍛えられた点でよかったと思います。

Q2.一番お世話になった先生は?
いろいろな先生にお世話になりましたが、中学校の時の音楽の中村先生で。私がクラシック音楽に興味があることを話したら群響(群馬交響楽団)のチケットをくれました。コンサートでは途中寝たりしましたが(汗)、貴重な体験でした。今でも感謝しています。

Q3.得意教科
社会科、特に世界史です。作曲家さんの伝記などを読むと結構歴史と絡んでいたりするので、改めて興味が出てきました。もう一度勉強し直そうかと(^^ゞ

Q4.苦手教科
国語、特に現代国語でした。テストでの読解など、自分は「答えはこれしかない!」と確信を持って回答するんですけど、正解したたためしがありません(-_-メ) 自信を持ってボールを見送るんだけど、ストライク!と言われてしまう、選球眼のないバッターの気分でした。文章を書くのは未だに苦手ですね。

Q5.思い出に残っている学校行事
高校の時の、ライバル校との定期戦(早慶戦のミニチュア版みたいの)。私たちの学年が卒業するまでは10連敗でした。風の便りで、次の後輩たちが連敗を止めたというのを知り、複雑な気持ちになりました。

Q6.クラスでのキャラ
地味だったんですが、ジャンケンで負けて学級委員をやってから(笑)そうでもなくなりました・・・

Q7.学校時代の呼び名は?
中学と高校は苗字で、小学校と大学は名前で呼ばれていました。

Q8.好きな給食
挙げたらキリがありませんが、うどん、カレー、ミルメーク、もちろん牛乳・・・

Q9.つなぐ人
すみませんが(^^ゞ 次の方々にバトンをお渡しします。
romaniさん(ETUDE)
アスカパパさん(アスカ・スタジアム)
iketomoさん(Buona Vita e un po' veleno)

お時間のある時で構いません。基本的に次の方に回して頂いても、そこで止めて頂いてもOKですので、よろしかったらお願い致します<(_ _)>
posted by stonez | 2005.10.13 04:13 | Comment(6) | TrackBack(1) | いろいろ

スメタナ/連作交響詩「わが祖国」より「モルダウ」

群馬に来ています。今日は父の七回忌。思えばここまであっという間でした。でも、こうして家族が元気にやってこられたのも、そしてこれからも、日頃お世話になっている人たちやご先祖様のお陰。感謝の気持ちを新たにする一日となりました。

今日は「チェコの音楽の父」スメタナ作曲の名曲モルダウです。父が愛用していたTRIOのステレオと、私が小さい頃よく聴かせてもらった愛聴盤のレコードで。演奏は、カレル・アンチェル指揮/ウィーン交響楽団です。パチパチという懐かしいノイズ、ゆっくり回転するレコード。アナログレコードはCDと違い、こうして目と耳で楽しめるところがいいですね。

スメタナが、祖国チェコへの思いの数々を散りばめた「わが祖国」の中でも、特に人気があって耳にする機会も多いこの曲。そしてそれを知り抜いた、地元チェコ出身のアンチェルとウィーン響の演奏を改めて聴いてみると、こんなにもゆったりした広さを感じる演奏だったのか、と驚くほどのスケールがあります。

管楽器による源流のせせらぎに始まるモルダウの流れは、やがて合流し川幅を広げて管弦楽全体の大きな流れになっていきます。川岸での狩りの様子や祭りの賑わいは色彩豊かに。やがて夜を迎えた下流には、月の輝きが神秘的に照らし出されているのが印象的です。大きな流れとなった川は、明るく伸びやかに歌いこまれながら、その壮大さを体感させてくれるのです。

この様々な表情が込められた演奏からは、アンチェル自身が伝えたい祖国の豊かな表情というものが、ひしひしと伝わってくる演奏でした。久々に聴く、懐かしくて新鮮な演奏でした。
posted by stonez | 2005.10.09 22:43 | Comment(12) | TrackBack(3) | 音楽 - 管弦楽曲

ショパン/ノクターン第1番、第2番、第3番

このところ、どんよりした天気の日が続いています。今日も、今にも降り出しそうなあいにくの空模様。気候は暑くもなく、かといって寒くもない、気だるさを感じる一日。この気分は、ちょうどショパンの初期のノクターンのようです。演奏はウラディーミル・アシュケナージ

まず、第1番 変ロ短調。アシュケナージのしなやかで流れるようなアルペジオは、今の憂鬱さの漂う気分を淡々と映し出してくれます。そして、幼少時代を思い出すような懐かしい旋律。やがて、転調とともに光が差し込みながらも、再び元の意識に戻っていく。ただ、その先の希望を垣間見る気持ちが見えます。

その予感の先に待っている甘美な第2番 変ホ長調。陰鬱さをすぐに取り去ろうとするのではなく、時々立ち止まったりしながら、ゆっくり優しく包み込んでくれるようです。最後はきらきらとした輝きとともに、気だるさの終わりを感じさせてくれます。

そして第3番 ロ長調。軽快さのある明るい動きが、気持ちをさらに軽いものにしていきます。そうなったところで、情熱的な情緒をもった響きがメリハリを与えてくれ、しかも最後の美しいコーダで高揚感まで感じさせてくれるのです。

派手な飾りつけのないシンプルな響きと繊細な音色。相変わらずアシュケナージのピアノはダイレクトに体の中に入ってきます。そして、私にとってこのショパンの初期のノクターン(作品9−1〜3)は、3曲揃って1つの世界のように感じていました。たまたまそういう聴き方をしてしまった結果かもしれませんが、そんな楽しみ方もできるシンプルさが、この3曲の魅力なのかもしれないと感じています。
posted by stonez | 2005.10.06 12:55 | Comment(6) | TrackBack(1) | 音楽 - 器楽曲