ショスタコーヴィチ/交響曲 第7番「レニングラード」

このところの私は、先日エントリしたバルトークの「オケコン」が旬な音楽となっていますが、今日はその曲中に突如パロディとして登場する、ショスタコーヴィチの交響曲第7番 ハ長調 Op.60「レニングラード」です。

演奏は、マリス・ヤンソンス指揮/レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団です(ソ連崩壊後は地名に合わせてサンクトペテルブルク・フィルに改称)。ということで何といってもこの音楽を、ご当地レニングラードのオーケストラがソ連崩壊直前(1988年)の時期にどう演奏しているのか非常に興味がありました。

この交響曲第7番は、ショスタコーヴィチの故郷レニングラードがドイツ軍の激しい攻撃にさらされた最中に着手されています。また初演当時は「ナチスによる戦争惨禍と、それに対する戦いを描いた大規模な交響曲」ということでアメリカなど他の連合国でも人気を呼び、トスカニーニ/NBC響をはじめ盛んに演奏されたものをバルトークが聴いたようです。

この音楽で何といっても目を引くのが、バルトークの「オケコン」にも出てきた第1楽章の「戦争のテーマ」といわれる旋律。小太鼓のリズムの上を、明るく短いフレーズがクレッシェンドしながらずっと繰り返されるという、いわゆる『ラヴェルのボレロのようだ』と言われる部分でしょう(そういう意味ではボレロ好きの方にもおすすめです(^^ゞ)。

この「戦争のテーマ」は、はじめこそ規律正しい行進の様子というだけですが、次第に勢いを増してエスカレートしていく人間の心理と恐怖をうまく表現しているように思います。ヤンソンス/レニングラード管の演奏には余計な飾り気がなく、かえってその辺の生々しさが浮き彫りになっている気がします。

ただ、作曲者本人が「ヒトラーだけでなく、スターリンによる粛正の恐怖も織り込まれている」との後日談を残しているそうですが、そのフィルターを通したからか「のどかで平和だった頃の街の風景(第2楽章)」や「廃墟と化した後の街の様子(第3楽章)」の奥底には、倦怠感とか陰鬱なオーラが漂っています。元々それが「ショスタコらしさ」なのかもしれませんが、オケも肌で感じて受け継いだものを発揮しているかもしれません。

フィナーレで訪れる勝利は、そんな恐怖全てからの脱出という意味にもとれますし、最後に連呼される「タタタター」のリズムが勝利(Victory)の"V"の字をモールス信号で表しているという説(そういえばベートーヴェンの運命のテーマと同じ)とかも含めて、あれこれ想像させられてしまうところがショスタコーヴィチの巧さといえるかもしれませんね。
posted by stonez | 2005.11.30 12:45 | Comment(12) | TrackBack(2) | 音楽 - 交響曲

南イタリアの思い出3 〜カプリ島〜

去年の秋に旅行してきた、南イタリアでの記憶を写真とともに振り返るというこの企画、3回目はカプリ島(地図)です。ナポリから小一時間フェリーに揺られたところにある小さな島です。


カプリ島は「地中海の真珠」と呼ばれているそうで、古くは古代ローマ時代にまでさかのぼる有数のリゾートです。島にはそれを証明するような、歴史と自然と色彩がたくさんありました。

それからカプリ島といえば「青の洞窟」が有名なのですが、季節がら波が高くて荒れていたので私は残念ながら見ることができませんでした・・・これからカプリ島へ、そして青の洞窟をご覧になりたい方は、春、夏の暖かい季節がいいですよ!あとは天気がいいことを祈りましょう(笑)


上の写真は「ウンベルト1世小広場」。港からケーブルカーで登りきったところにあるカプリの中心部は、世界中の観光客や著名人で賑わうサロンとなっています。正面は歴史のあるカプリの市役所。なのに一階はブランドショップが普通に軒を連ねていたりします。またカプリは驚くほど治安がよく、夜も身軽に歩きまわることができます。そんな意味ではナポリと対照的です。


こちらもカプリ島の歴史を感じさせる1コマ。ウンベルト1世小広場の入口にある時計塔です。青空と、時計の黄色と、紫と緑に彩られたツタの色合いがよく合っていました。それにしても安野光雅さんの絵本に出てくるような、何ともいえない味がある時計塔です。


今度はカプリ島の自然です。アルコ・ナトゥラーレといわれる、地殻変動と浸食によってできた天然のアーチ越しに海を望みます。カプリ島は青白い石灰質が多く、それが陽光を反射すると、このような独特のブルーになるそうです。う〜ん、やっぱり青の洞窟見てみたかった!


最後は印象に残ったカプリの色彩から。通りがかったホテルの写真にしてみました。このように地中海沿岸らしい暖色系を中心とした鮮やかな色合い。そして片言ながら、この近くに住むおじいさんと楽しく会話したことは忘れられません。

少ない面積の島に散りばめられたたくさんの色彩。そして、冷やかしで店に入るだけでも気軽に挨拶を交わす習慣があったり、また本片手の会話でも気さくにマジメに応じてくれる人々との出会いは、生まれて初めて味わった喜びでした。いつかお金と時間をためて、また遊びに行ってみたいものです。
posted by stonez | 2005.11.27 00:07 | Comment(7) | TrackBack(1) | 旅行記

神奈川フィルハーモニー管弦楽団 第220回定期演奏会「名手たちの饗宴」

今日はいつもお世話になっているyurikamomeさんにお会いでき、そしてご厚意に感謝しながらコンサートを楽しむことができました。yurikamomeさん、本当にありがとうございます!

<日時・場所>
 2005年11月23日(水・祝)
 神奈川県民ホール

<演奏>
 指揮:篠崎 靖男
 ピアノ:横山 幸雄
 神奈川フィルハーモニー管弦楽団

<曲目>
 シューベルト/劇音楽「ロザムンデ」序曲 op.26
 ブラームス/ピアノ協奏曲 第2番 変ロ長調 op.83
 バルトーク/管弦楽のための協奏曲

今でも「もう一度聴きたいよ!あのオケコン」と思わずにはいられません。とにかく、頭から離れないのです。気持ち良かった上に、手に汗を握りながら凝視していた(笑)コンサートとなりました。私がイメージするところの「キップのいい神奈川フィルらしさ」というものがあるとしたら、それを充分過ぎるほど堪能できる演奏だったといえると思います。

そのバルトークの「オケコン」では奏者達が、音を奏でながら気持ち良さを感じてしまっているんじゃないかと思えるほど快活で饒舌でした。木管楽器たちが緊張感を高めながら、バトンタッチして奏でていく様子や、弦楽器の美しすぎるほどの合いの手、そして息もつかせぬ疾走。金管楽器の心地よい存在感。打楽器が発する快感。気がついたら、終わってしまっていたとはこのことです。

それから印象に残ったのがオーケストラの配置でした。聴衆側から見て右手前面に配置されたヴィオラの響きの豊かだったこと。例えばブラームスのピアノ協奏曲での3、4楽章の本当に豊かな内声部。寒くなってきたこの時期にぴったりの暖かさ。そうそう、ピアノの横山さんとチェロの山本さんの対話は室内楽そのものの臨場感と透き通った美しさ。そしてオケコンでは、緊迫しているのにうっとりと聴き入ってしまうようなヴィオラ・チェロの豊かな一場面が今でも思い出されます。

コンサートの後は、yurikamomeさんと一杯やりながらの音楽談義。目からうろこの音楽話は刺激的でした。本当に充実した楽しい一日となりました。

感謝と共に、yurikamomeさんのリンクです。
神奈川フィルハーモニー管弦楽団第220回定期演奏会『名手たちの饗宴』
posted by stonez | 2005.11.23 23:59 | Comment(10) | TrackBack(2) | 音楽 - コンサート

バルトーク/管弦楽のための協奏曲

今週行われる神奈川フィルの演奏会では、ハンガリーの作曲家バルトークが晩年に残した通称「オケコン」こと「管絃楽のため協奏曲」が取り上げられます。ということで、この20世紀に活躍した作曲家が作り上げた世界を、ジェイムズ・レヴァイン指揮/シカゴ交響楽団の演奏で。

この協奏曲は何といっても、決まったソロ楽器がないという変わりっぷりと、遊び心、今っぽい感じの独特の響きが魅力。まず、緊迫感や悲しみに満ちた感じの「ストーリーの本筋」は1、3、5楽章で。2、4楽章はひと休みなのでお口直しにどうぞ、みたいな構成。

まず第1楽章「序奏」。全体を支配する緊張感、重々しさが全面に押し出されています。特に華やかな部分での金管楽器たちの活躍が目にとまります。

第2楽章は「対の遊び」。ということで、下のように構造がシンメトリです。それからおどけた旋律が妙に頭に残ります。個人的にここでのフルートが格好良かったので、レヴァイン盤にしたといえます。
 A.「ポコポン」と小太鼓。
 B.「ファゴット→オーボエ→クラリネット
    →フルート→トランペット(弱音器つき)」の順でソロを担当
   ※少しひょうきんな旋律を真面目に吹いています(笑)
 C.金管楽器とポコポン小太鼓の合いの手
 B'.少しグレードアップしています。相変わらずひょうきんです。
 A'.小太鼓が最後に「ポコポン」

第3楽章は「エレジー(哀歌)」。再び本線に戻り、まずは木管たちのすすり泣き。弦楽器もそれに追い討ちをかけるように応えています。旋律という旋律が出てこない感じですが、不思議と飽きません(笑)

第4楽章「中断された間奏曲」。一見何事もないように始まります。でも、第1,2主題が終わったあと、突然ショスタコーヴィチの交響曲第7番(ナチスのレニングラード侵攻を描いている)での旋律が出てきたと思ったら「ブ〜」とトロンボーンのブーイング、そして管楽器の嘲笑。これが戦争によってアメリカへの亡命を余儀なくされたバルトークの心境なのでしょうか。とはいえ、やっぱりひょうきんです(笑)

第5楽章「フィナーレ」。弦楽器がアグレッシブに疾走していきます。スピード感は気持ちよく聴き応え十分。気がつくと終わっている、という感じです。

文章長くなってしまいました。とにかく、こんな面白い音楽の楽しみかたもあるんですね。レヴァイン盤は、真面目に働き、思いっきり遊ぶという演奏ですし、聴かせどころは派手にやってくれるのでお気に入りです。
posted by stonez | 2005.11.20 23:47 | Comment(4) | TrackBack(3) | 音楽 - 管弦楽曲

カステルヌオーヴォ=テデスコ/ギター協奏曲 第1番

今日はこの秋初めて、コートを着たいと思うような寒さを感じました。過ごしやすい穏やかな秋は、やがて木枯らしの吹く寒い冬へと姿を変えていく、そんな今日この頃。とはいえ、まだまだコートの力は借りません!でも衣服の調節は昔から苦手です(笑)

さて、いつもお世話になっているromaniさんが紹介されていたギター協奏曲が気になっていたところ、ギタリスト・村治佳織さんのCD(山下一史 指揮/新日本フィルハーモニー交響楽団)に収録されているのを見つけました。その曲とは、マリオ・カステルヌオーヴォ=テデスコ作曲、ギター協奏曲第1番 ニ長調 Op.99です。

テデスコという作曲家は、スペインの名ギタリスト・セゴヴィアとの出会いをきっかけに、このギター協奏曲第1番に代表される多くのギター曲を残したそうです。でも彼はユダヤ系イタリア人だったため、1939年にムッソリーニの台頭したイタリアから追放され、アメリカへの移住を余儀なくされます。このギター協奏曲は、そんな激動の年に作曲されました。あのロドリーゴのアランフェス協奏曲誕生と奇しくも同じ年です。

このギター協奏曲、聴いてみると心地いい程の透明感にあふれる素晴らしい音楽でした。第1楽章から爽やかで耳なじみのいいメロディ。第2楽章は余韻を楽しめるシンプルで奇麗な響き。ここでのギターとフルートの美しいことといったら筆舌に尽くしがたい!。第3楽章は対照的に荘厳でダイナミック。ギターはこんなにも澄み切った音色をしているのかと改めて驚きました。村治佳織さんのギターには情感がよく込められていて、それがクリアで豊かなオーケストラの響きによく合っていると思います。私の好きな演奏です。もちろん標題曲のアランフェス協奏曲もいいです。

ところで余談になりますが、テデスコはアメリカに渡ったのち「名犬ラッシー」や「スーパーマン」といった数多くの映画音楽を手がけたそうです。こうした、ファシズムの手から逃れた多くの才能が、当時のアメリカの映画やミュージカルを支えたわけですね。歴史とは皮肉なものです。
posted by stonez | 2005.11.15 20:57 | Comment(4) | TrackBack(0) | 音楽 - 協奏曲

シューマン/「マンフレッド」序曲

妻の希望で横浜・元町にあるスイス・オルゴールのお店での演奏会なるイベントに行ってきました。そこではオルゴールの歴史、種類や音色など、その魅力と奥深さを紹介されました。

だいたい私たちがよく目にする、音を出す歯の数が18本の小さなオルゴールは主旋律を単音でのみ聴くという感じですが、歯が72本あるオルゴールを共鳴箱(一見普通の木の箱)に置いて鳴らすと、ピアノのような豊かな音色になります。低音域を豊かに響かせるという、木の持つ魔力にも感動したのでした。

さて今日は、シューマン作曲「マンフレッド」序曲 op.115です。演奏はベルナルト・ハイティンク指揮/ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団です。この序曲は、バイロン劇詩の代表作「マンフレッド」のための劇音楽のためのものですが、純粋器楽+ソナタ形式ということで単体で演奏される機会も多いようです。

この音楽に興味を持ったのは何といっても、22歳のブラームスを感激させて交響曲を作曲する気にさせたというエピソードです。ちなみにブラームスがその交響曲第1番を完成させたのは、なんと21年後の43歳!ライフワークという印象を受けないでもありません。

ブラームスがインスピレーションを受けるだけあって、オーケストラのスケールの大きい響きがまず印象に残ります。タッチが劇画調です。苦悩、絶望、激動、そして死に対する憧れのようなもの。それが、感情を揺さぶってくるように押し寄せるのです。

ハイティンク盤の、聴き手を気持ちよくさせる程よい重量感、軽快なテンポ感というのが私は好きです。このアルバムに収録されているシューマンの交響曲もそうですし、私が楽しんだこれらの演奏には、そういった魅力があるように思います。

これを聴いたらブラ1でも聴こうかと(^^ゞ
posted by stonez | 2005.11.12 23:11 | Comment(8) | TrackBack(1) | 音楽 - 管弦楽曲

南イタリアの思い出2 〜ポンペイ〜

今回の南イタリア旅行記は、前回のナポリから南東30キロの距離にある世界遺産「ポンペイ遺跡」です(地図)。子供の頃に本で読んでからというもの、是非ともこの目で確かめたい場所の一つでした。

ポンペイといえば、西暦79年のヴェスビオ山の大噴火によって、逃げ遅れた約2千人とともに一夜にして埋没した古代都市。実際に目の当たりにすると、紀元前4世紀頃から繁栄し、最盛期の人口は2万人というのも納得の広大な遺跡でした。


上の写真は、背後にヴェスビオ山を望むフォロ(公共広場)。悠然と鎮座しているヴェスビオ山がちょっと不気味です。山までは思ったより距離がある印象でしたが、まあこの大きな町が完全に消滅してしまうくらいですから、想像を絶する大噴火だったに違いありません。

ただそんな悲劇的な反面で、遺跡そのものは火山灰によってまるごと真空パック状態になっていたことで、まさに2000年前の町が状態よく保存されていたわけですね。


こちらの写真は、ヴェスビオ山の方角に向かって一直線に延びる通り。馬車の走る車道と、歩道がきっちり分けて整備されています。他にも車止めや、人が車道を渡る時の飛び石など、歩行者にやさしい設計が随所に見られます。


上の写真は「フォロの浴場」の一角。目にも色鮮やかなアレンジがなされていますが、2000年前と2000年後のコラボレーションは自然な印象です。ちなみに浴場には、床暖房の設備が整っていたりして文明の高さが伺えます。

遺跡には、他にもスポーツジム、パン屋、居酒屋、洗濯屋から売春宿まで・・・2000年も前なのに、たいして現代人と変わらない生活ぶりには驚きです。


ポンペイといえば壁画とモザイク画の町。上の写真はよく知られたモザイク画「猛犬に注意!」。小さなタイルをびっしり敷き詰めたその輪郭には独特の味があります。床という、毎日足で踏みつけるような所にさりげなく芸術品を配置するとは、ポンペイの人は粋なことをするものです。


最後は、町から少し離れたところにぽつんと立っている「秘儀荘」の壁画。ポンペイではこのように壁画に赤が用いられていることが多く、「ポンペイの赤」と呼ばれています。これがまた鮮やかで美しい!

他にも、人に灰が積もって空洞化したところに石膏を流し込んで再現された人型が、生々しい自然災害の恐怖を伝えるなど、とにかく目にするもの一つ一つが発見と驚きの連続でした。そしてポンペイの高度な文化や、2000年後に住む私たちと変わらぬライフスタイルを知り、より興味と親しみが深まったのでした。
posted by stonez | 2005.11.08 12:40 | Comment(6) | TrackBack(0) | 旅行記

川崎市民交響楽団 第162回定期演奏会

土曜日の千代田区オケフェスに続き、日曜日にはもう一つコンサートへ行ってきました。先日、最寄りの役所に行った時に見つけてきたコンサートです。土曜日とはうって変わって豪雨の一日でした。

<日時・場所>
 2005年11月6日
 神奈川・川崎市教育文化会館大ホール

<演奏>
 指揮:横島 勝人
 ピアノ:小田 裕之
 川崎市民交響楽団

<曲目>
 フンパーディンク/
  歌劇「ヘンゼルとグレーテル」前奏曲
 ラフマニノフ/ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調 op.18
 [アンコール]プロコフィエフ/4つの商品から「悪魔的暗示」
 ベートーヴェン/交響曲 第7番 イ短調 op.92
 [アンコール]シューベルト/付随音楽「ロザムンデ」から「間奏曲」

なんと言っても、念願の初「ベト7」ライヴ(笑)ということで楽しみにしていましたが、結果は豪雨を吹き飛ばすような感動で終わりました。

今でも、第3楽章からアタッカで終楽章になだれ込むところの興奮、快速なテンポが脳裏に焼き付いています。指揮者の横島さんは顔を真っ赤にしながら、度々「唸り声」が漏れ出すほどの入れ込みようで、そこがまたよかった。このベト7に関してはそれが合っていると感じました。なんせライヴですから(笑)オーケストラもホールの広さに負けない演奏でしたし、不滅のアレグレットこと第2楽章は伸びやかで力強く頼もしいものでした。管楽器の暖かい音色も印象的で、1曲目のヘンゼルとグレーテルでもホルンをはじめ、管楽器の暖かいハーモニーがよかったと思います。

ラフマニノフのピアノコンチェルトは、小田さんのピアノに尽きるという感じでした。確かな技巧に支えられた、激情的でスケールの大きな音色はオーケストラと対等、シンフォニックなこの音楽の魅力をさらに引き出していました。アンコールで弾いてくれたプロコフィエフは、まばたきも忘れるほどの速さ!。一息ついたときには、もう終わっていました。今後また聴いてみたい、若さあふれる(1975年生)ピアニストさんでした。

それから嬉しかったのがアンコールのロザムンデ。本編での「熱」をゆっくり覚ましていく穏やかな音色。弦楽四重奏で聴くロザムンデも美しいですが、やはりオーケストラ規模での弦の響きは心地よかったです。演奏時間もアンコールにしては長い方だと思います。

贅沢な週末になりました。
posted by stonez | 2005.11.07 22:16 | Comment(2) | TrackBack(3) | 音楽 - コンサート

第26回 千代田区 文化芸術の秋・オーケストラフェスティバル

今日は爽やかな秋晴れの日。おさかな♪さんが出演されるオーケストラ・フェスティバルということで、さっそく楽しんできました。

<日時・場所>
 2005年11月05日
 東京・日本大学カザルスホール

<第1部>
 演奏:ベートーヴェンディアーデ室内楽団
 指揮:益田 公彦
 ベートーヴェン/「プロメテウスの創造物」序曲
         「コリオラン」序曲
         交響曲 第1番 ハ長調 op.21

<第2部>
 演奏:かもめ管弦楽団
 指揮:篠原 信夫
 メンデルスゾーン/交響曲 第4番 イ長調 op.90「イタリア」

<第3部>
 演奏:千代田フィルハーモニー管弦楽団
 指揮:角 岳史
 ブラームス/悲劇的序曲 op.81
 メンデルスゾーン/交響曲 第5番 二長調 op.107「宗教改革」

<第4部>
 演奏:尾原勝吉記念オーケストラ
 指揮:小倉 輝彰
 シベリウス/交響詩「フィンランディア」op.26
       交響曲 第5番 変ホ長調 op.82

まずは名前に「ベートーヴェンづくし」という意味が込められたという、ベートーヴェンディアーデ室内楽団から。とにかく「鬼気迫る」という言葉がぴったりの演奏でした。そしてベト1。あんなベト1聴いたことない!演奏と演奏の間の静寂を効果的に使う、というよりもその時の空気そのものを支配している、操っているという感じでした。かと思えばささやくような緩徐楽章があったり。第1番てこんなに起伏のある音楽だったかなという感じでした。

続いて、かもめ管弦楽団。第1部とは対照的に爽やかな秋晴れ、爽やかなイタリアにぴったりのメンデルスゾーンの「イタリア」です。舞曲風の楽章では雰囲気たっぷりで情熱的に響きました。奏者の人数は多くないにもかかわらず、艶やかで豊かな音色だったと思います。

次はいよいよ、千代田フィルハーモニー管弦楽団。お客さんも大入りとなりました。そしておさかな♪さん、ストバイのところにいらっしゃいました。まずはブラームス。安心感のある演奏というか、突き抜けるような悲しみも、歌い込まれる哀愁も素直に聴き入っていました。素人的な印象ですが、指揮者の角さんの指揮姿はとても的確で見やすそうなので、奏者の方たちが安心して演奏できるんじゃないかと思いました。メンデルスゾーンでは、息のぴったり合った弦楽器をはじめ、厚みのあるオケの演奏はそれだけで聴き応え十分!第2楽章などは田園のような暖かさ優しさでしたし、第3楽章では弦の歌が素晴らしかったです。

最後は尾原勝吉記念オーケストラ。ダイナミックな指揮、そしてそれに応える迫力のオーケストラ。久々に聴いたフィンランディアは、胸にズシンと響く力強いものでしたし、第5番ではモノクロの景色に少しずつ色が加わっていくような色彩感がありました。北欧の自然の荒々しさ、稀に現れる優しさが垣間見える演奏でした。

今日はドイツ、イタリア、北欧と色彩豊か、迫力も優しさもたっぷり堪能できる贅沢なコンサートフェスティバルでした。これが無料だなんて、もう信じられません。本当に楽しい一日になりました。
posted by stonez | 2005.11.05 23:51 | Comment(12) | TrackBack(3) | 音楽 - コンサート

ブラームス/ピアノ四重奏曲 第2番

今日は、たまった仕事を片づけながらこの音楽を聴きました。ブラームス作曲、ピアノ四重奏曲 第2番 イ長調 op.26。重すぎないし軽くもない。仕事には程よく集中できたのでよかったと思います。あまりにも心地よかったので、ついでに後でじっくり聴きました(^^ゞ さすがブラームス。

特に理由はなかったのですが、私にとってのブラームスの入り口は、交響曲ではなくてピアノ四重奏曲からでした。聴くと自然と馴染めてしまうこの空気感、そしてその中に喜びも悲しみもさりげなく表現されているところに惹かれます。とにかく、ブラームスのピアノ系楽曲も本当に素晴らしい。

演奏は、タマーシュ・ヴァーシャーリ(ピアノ)、トーマス・ブランディス(ヴァイオリン)、ヴォルフラム・クリスト(ヴィオラ)、オトマール・ボルヴィツキー(チェロ)ということですが、録音された1982年当時のベルリン・フィルの首席奏者を務めていた人たちだそうです。

第1楽章は爽やかなピアノから。弦楽器が後を追うように主題を奏でます。ピアノが息の長い明るい旋律を奏でる一方で、弦楽器が哀愁を帯びた音を響かせています。

第2楽章は、少し憂いのある緩徐楽章。弦楽器、特にヴァイオリンが伸びやかな美しさが感じられます。ピアノは優しさを感じさせながらも時に情熱的。弱音でのアルペジオなど、演奏方法でも面白みのある楽章です。

第3楽章は、緻密に構築された印象のスケルツォ。このあたりは交響曲でのブラームスらしさを垣間見せてくれるところでしょうか。このリズミカルな音色はいいですね、仕事にリズムが加わるといいますか、ながら族の私にはとても相性がいいですね。

第4楽章、テーマが繰り返しやって来るというロンド形式の舞曲風。シンコペーションを多用したピアノと弦の追いかけっこ。こちらも軽快で聞きやすくなっています。軽快なのに艶やかに感じられる演奏はさすが最高峰オーケストラ出身といったところでしょうか。

ブラームスのエネルギッシュな若さと才能溢れる緻密さを爽やかさを、息が長くて瑞々しい演奏で楽しめるので、もう一回聴きたくなるというわけです。
posted by stonez | 2005.11.03 22:02 | Comment(2) | TrackBack(0) | 音楽 - 室内楽曲