網膜剥離の治療日記(入院3日目)

またまた目覚め悪く起床。右目に鈍い痛みがある。手術したのを実感する瞬間。朝食をはさんで小まめに目の検査に呼ばれる。とにかく右目が腫れていてよく開かないし、涙はボロボロ出る。診察で右を見たり左を見たりするのが辛い。目に糸くずが入っているようなゴワゴワした違和感と痛みがある。右目視力は0.5。おぉ確かに下がっているなぁ・・・

昼前に妻がやってくる。妻を見るとホッとする。病室にいると殺伐としてきていけないなぁ。今日はたくさん検査して目が痛いので、ベッドに横たわりがち。まあベッド上で安静にしなさいっていうんだから当たり前か。食欲はあるんだけど、便秘気味なのはちと不安。妻もお腹が大きくなってきたのでずっと座っているのは辛そう。なんだか、なんでこんなんなったんだか、とりとめもなく考える。

と、そこへ親戚の叔母夫妻がお見舞いに来てくれた。差し入れなど頂き、つかの間の明るい時間を楽しむ。よく話した。合間に午後の体温測定がある。37度。とにかく頭に鈍い痛みがつづく。夕食が終わり、妻が帰るとまた一人ベッドに横たわる。今日も痛み止めと氷枕をもらって消灯を迎えたんだけどなかなか寝つけず、気がつくと午前1時。「痛いよ〜、う〜、お〜」とかうなってる人がいる。なんか笑えるけど、いや参った。耳栓買おう。他の人たちも起きてしまったようだ。明け方4時くらいにようやく寝つく。

○愛聴盤○
♪モーツァルト/レクイエム
 まだ眠気の残る午前に、目の覚める世界を垣間見た気分。
♪モーツァルト/交響曲第41番「ジュピター」
 ふと一息、我に帰らず楽しんでしまうので痛みを忘れて楽しんでしまう。
♪今井美樹/Ivory II
 肩の凝らない癒しの空間。夜の病室も目を閉じれば懐かしい景色が見える。
♪Original Love/Rainbow Race
 ここがどこなのかどうして眠れないのか、どうでもよくなってくる。
 またバイクに乗って海に行きたくなった。そしてまたあの風に・・・
♪ドヴォルザーク/弦楽セレナーデ
 やっぱり最後に帰ってくる場所。優しく今の現実の世界に帰してくれる。
 今このときだけを感じていられる。


posted by stonez | 2006.02.04 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 網膜剥離の治療日記

網膜剥離の治療日記(入院2日目・手術当日)

午前6時起床。ぼーっとしている。やっぱり眠剤もらっとけば良かった。手術は午前9時からということで朝食は後回し。午前7時より定期的に散瞳の目薬(瞳孔をひらく)を点眼して手術に備える。そして手術着に着替える。いよいよ来たなという感じ。妻がやって来て、ホッとする。午前8時40分、左腕に麻酔の筋肉注射。痛いですよーと看護師さんがおどかす通り、ほんとに痛く感じる。

午前9時。ベッドがスルスルと高くなり、看護師さんに運ばれながら病室を出る。見えるのは天井だけ。妻の心配そうな表情が覗いたので「大丈夫」と笑顔で答え別れる。あぁまさにこの光景、テレビのようだ。エレベーターを経由し、途中で手術台(小型ベッド)に乗り換えさらに進む。天井の波打った模様の間から「手術中」のランプが見える。やがて、大きな手術用の照明が視界に入ったかと思うと、主治医先生が見えたところでベッドが止まった。先生の落ち着いた風貌に安堵しながらも、わがままを言えばまだ逃避できるという複雑な思いが沸き起こる。福本先生(仮名)をはじめ、担当してくださる先生方が勢ぞろいしているのが見える。

そうこうしているうちに手術の準備が始まる。えいっ、もうなすがままだ!
ゴマ油みたいな液体で右目を洗浄される。なま暖かい。目がヒリヒリする。そして局部麻酔。右耳の裏、続いて右目の下に注射。主治医先生によって、顔に右目部分だけ四角い穴があいた布が被せられ、右目には透明のシールが貼られる。手術の妨げにならないようにと、両腕が固定されて身体にも布がかけられる。右目の周辺だけ麻酔が効いてきたようだ。そこ以外は正常。意識もはっきりしている。

そして何かをハサミで切る音。続いて鈍い痛み。主治医先生のテキパキとした声と先生たちのやり取りが見える。聞こえる。でも時々見えなくなる。Webで見た、目を裏返して処置しているところなんだろうか。固定された手がじっとり汗ばんでくる。手が動かない不安。閉所恐怖症というのはこんな感じだろうかと、なんとなく考える。時折気にかけてもらいたくなって咳払いとか、ため息をつく。そうすると主治医先生が励ましてくれる→ホッとする。そんなことを繰り返した。

・・・どのくらい経ったか。ふいに主治医先生の「あと5、6分で終わりますよ」という声。それとともに先生たちの様子がかすかに見える。その中に福本先生がうつる。こちらをじっと見つめている。5、6分って言ったって、長いよなぁ。ようやく残り2、3分の声。多分それよりもかかってるだろうと思いながらも、ようやく1時間半をかけた手術が終了した。うまくいったらしい。覆っていた布が全て取り去られ、代わりに右目が分厚い眼帯に覆われる。涼しい心地よさが身体を包む。心からホッとした瞬間。開口一番、主治医先生にお礼を言ったのが印象的。

再びベッドに横たわったまま、病室へ戻る。途中で妻が心配そうに覗き込んだので「大丈夫」と笑顔で応える。明らかに手術に向かうときとは違う気持ち。病室に戻ると午前11時。麻酔が効いているせいか右目も痛くない。遅い朝食が運ばれてくる。食欲は抜群、平らげる。すぐに続いて昼食が来る。これも余裕。見ている妻は驚いたけど、体力も使ったわけだし安心したのもあるだろう。

午後は点滴を2本しながら、ずっとベッドで横たわる。妻は夕食までいてくれた。夕食はカレー。病院にしては食事が美味く、これまたぺろりと頂きました。相変わらず、同室の患者さんの補聴器の「ピー」音と、ラジオの音が耳につく。痛み止めと氷枕をもらってウトウト眠りにつく。深夜に目が覚め熟睡できず。

○愛聴盤○
♪ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第1番
 手術直前の緊張をしばし忘れさせてくれる。
♪ベートーヴェン/交響曲第4番、第8番、ピアノ協奏曲第2番
 それぞれ手術後の右目の痛みを和らげてくれた。ベトベンばっかり(笑)
♪ラスキーヌ/ハープ名曲集
 リラックスと心地よい眠りを提供してくれた名曲の数々。
posted by stonez | 2006.02.03 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 網膜剥離の治療日記

網膜剥離の治療日記(入院初日・手術前日)

いよいよ入院日がやってきた。妊娠8か月を迎えた妻が大学病院まで車で送ってくれる。まだ仕事にも行ってるし、これから大変な思いをさせてしまうなぁ。それにしても入院や手術といった実感がまるで湧かない。お泊まりのような、隔離されに行くような、妙な気分で入院。

まずは検査と診察。現在の視力は、左1.2、右0.8。右目の症状は「裂孔原性 網膜剥離(れっこうげんせい もうまくはくり)」。下の図の通り穴が数ヶ所あいており、一部では網膜剥離が始まっている。問題のある穴については、年末のレーザー治療で応急的に固めてある。


つぎに手術の説明。説明してくれたのは担当医師の一人、福本先生(仮名)。自分と同じくらいの年齢で、半年前にパパになったばかりとのこと。何かと話しやすそうな先生だ。1時間半くらいかかる手術については、
 1.局所麻酔
 2.網膜の裂け目をふさぐ
 3.裂け目から入り込んだ水分を取り除く
 4.眼の周りをシリコンバンドで覆い、網膜を接着させる
だそうです。はいはい、って他人事のように聞いていたけど現実味を感じない。凄く痛そうだという気はする。で、この手術による影響とか懸念事項。
 1.出血や感染が怖い
 2.飛蚊症は治らない(眼の外側の手術だから処置できないらしい)
 3.メガネになります(右目視力が0.1くらいまで下がる)
 4.眼圧というのが高くなるかも(目薬必須)
 5.再剥離。一番怖い。こうなると眼球の内側の再手術となる・・・
ここまで聞いて少し実感が湧いてきた。少し嫌になってきた(笑)。帰ろうかな。右目の視力が落ちる理由は、眼の周りをシリコンバンドで締めつけることによりレンズから目の奥までの距離が延びるからだそうです。

夜になり、付き添ってくれた妻が帰宅。病室は8人が入るエコノミーな大部屋です。4人以下の部屋になると「差額ベッド代」という保険のきかないお金がかかるので当然のチョイスです。ちなみに、自分以外は皆70歳を超えた方々。白内障や緑内障といった症状らしい。補聴器が耳からズレて「ピー」という超音波が聞こえてきたり、AMラジオが聞こえてきたり、何かと賑やかでございます。そんなわけで相棒iPodを取り出す。夜9時の消灯後もろくに寝つけず朝を迎える。

○愛聴盤○
♪ベートーヴェン/交響曲第7番
 やっぱり景気付けというか、何となく選んでしまった。クライバー盤。
 なんかあまりの勢い置いて行かれ殺伐としてしまった(笑)
♪Mr.Children/EVERYTHING
 ベト7の反動で、ふと聴きたくなった。学生時代のバイトとか思い出す。
♪フォーレ/レクイエム
 消灯後の孤独と不安を満たしてくれる。早く全て終わって欲しい。
posted by stonez | 2006.02.02 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 網膜剥離の治療日記

ラフマニノフ/ピアノ協奏曲 第2番

2月になりました。今月はいよいよトリノオリンピックが開催されますね。私が楽しみにしているのはフィギュアスケートですが、その中でも選手たちの華麗な演技に欠かせない伴奏として、ラフマニノフの音楽はよく使われているのではないでしょうか。

中でも「ピアノ協奏曲第2番 ハ短調 Op.18」といえば、アルベールビルオリンピックで伊藤みどり選手がトリプル・アクセルを決めて銀メダルに輝いた時の曲として有名ですね。

そんなわけでこの音楽を聴くと、凍てつくような寒い冬がイメージされます。曲の冒頭から聴こえてくる鐘は、ひたひたと忍び寄る冬の足音にも聴こえます。でも全体を通してロマンティックでメロディが美しく、またピアノは繊細でテクニカル。一度聴いただけでも鮮烈な印象が残るので、フィギュアスケートに限らず多くの映画でもひっぱりだこなのは納得です。

このピアノ協奏曲第2番を、ウラディーミル・アシュケナージのピアノ独奏、そしてベルナルト・ハイティンク指揮/アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団による演奏で。

まずは第1楽章。ラフマニノフらしい、深く思いにふけったような甘美な旋律。アシュケナージの透き通ったピアノの響きは健在で、技巧はさりげなく披露。さすが。オーケストラも均整の取れたアンサンブルで応え、叙情的な旋律をバランスよく奏でていきます。終わり方もラフマニノフらしくジャンジャンと。

ゆったりとしたロマンティックな第2楽章は、これぞラフマニノフの真骨頂。アシュケナージの透明度の高いピアノの音色が冴え渡り、フルートとクラリネットのソロも入ると、さらに夢のような空間を作り出していきます。

終楽章。力強いスケルツォ風の旋律と、そしてどことなくオリエンタルな旋律が交互に現れながら進行していきます。特に後者の美しさは格別で、ここではアシュケナージのピアノもハイティンク率いるオケも、程よくゆっくりと歌い込んでいます。本当に美しい。

ところでこの曲は、ラフマニノフが交響曲第1番の不評により極度のスランプに陥った後、彼の才能を知る精神科医の助けで復活するきっかけとなった曲です。ただその不評の原因となった初演、実は指揮者がラフマニノフを快く思っておらず、酔っ払っていいかげんな演奏をしたんだとか。それがなければラフマニノフは精神を病むことはなかったかもしれませんが、そのかわりにこの傑作が生まれたかどうかわかりません。奇妙な因果関係の産物といえそうですね。


さて、また明日からしばらくお休みします。今回で右目の治療の総仕上げ、入院と手術を伴います。3月頃にはしっかり完治させて、また戻ってきたいと思います。
posted by stonez | 2006.02.01 23:57 | Comment(17) | TrackBack(2) | 音楽 - 協奏曲
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