ヴィヴァルディ/協奏曲集「四季」より「春」

このところ桜もすっかり咲き誇り、いよいよ春の訪れを実感するようになってきました。が、それにひたることのない毎日。今ごろ徹夜で作業にあたっている人達もいるほどです。せめて子供が生まれる時くらいは見に行く時間が欲しいなぁ。

そんなわけですが、桜が散ってしまう前にこの曲をエントリーしたいと思います。ヴィヴァルディ作曲、協奏曲集「四季」より「春」Op.8-1。ヴァイオリンは鬼才ギドン・クレーメル、指揮クラウディオ・アバド/ロンドン交響楽団。iTMSより。

数あるクラシック音楽の中でも屈指の有名曲ですが、いろいろ聴いてみると演奏する人によって随分と表情が違っているものです。このクレーメル&アバド盤の「春」は、チェンバロは控えめで、主役クレーメルのヴァイオリンなど弦楽器の音色を最前面に押し出した艶やかな演奏。美しい夜桜を見るような風情があります。

第1楽章。歯切れのよい楽しいトゥッティ、そしてソロヴァイオリンとオーケストラの掛け合いは、鳥のさえずりのような対話に始まって、泉の流れ、轟くような春雷。でも場面がめまぐるしく展開されても、一貫して明瞭な旋律は損なわれていません。

第2楽章。犬のそばで羊飼いが居眠りする情景だそうですが、ビオラによる犬の鳴き声がなんとも可愛らしい。ヴァイオリンは息が長く、のどかで気だるい様子が伝わってきます。

第3楽章。静かな夜に物思いに耽りながら桜に見入る、そうまさに今みたいな感じ。バグパイプ風の音色の上にしっとり弦の音色が浮かび上がります。弦のふくよかさが本当に心地よく、それが安心感につながります。

写真は近所の桜並木。朝、少し早めに家を出て撮ったのですがケータイなのでこんなところです。
posted by stonez | 2006.03.31 01:17 | Comment(6) | TrackBack(1) | 音楽 - 協奏曲

クライバーのベートーヴェン第7番ライブ(祝・WBC優勝!)

いやぁ、王ジャパンやりましたね。WBC初代チャンピオンおめでとうございます。世界一ですよ、世界一。一時は本当に終わったかと思いましたが、復活してからの見事な快進撃とチームワーク。久々に野球って素晴らしいなぁと心から思いましたし、凄まじいプレッシャーの中でプライドを持ってやるべきことをやる、イチローの気迫に興奮したのでした。

まぁ、最近は仕事に追われてアドレナリン出まくりの毎日を過ごしている私ですが、休日出勤を回避した本日はそれにも増してホットでした。そこで、アドレナリンにはアドレナリンを(笑)。クライバーのベートーヴェン7番ライブ、これでしょう!

今年1月に発売されたこの新譜、といっても既にこの世にいないクライバーのものというところも凄いですが、その演奏がまた熱い。いわゆるベト7で「速い」演奏というのは、第4楽章の凄まじいスピードが印象的なのですが、クライバーのベト7は何といっても第1楽章からどんどんいきます。

カール・ベーム追悼コンサートと銘打たれた1982年のこのバイエルン国立管弦楽団との演奏は、音のまとまりではウィーン・フィルとのものに譲りますが「熱さ」では数段上をいってます。第1楽章のドライブ感は目を見張るものがありますし、もちろん終楽章の熱狂も凄まじい。最後の観客の拍手は唖然とした感じのパラパラ拍手、やがて堰を切ったような轟音に変わるのがそれを物語っています。

今日のWBC決勝キューバ戦。今日もまさにそんな「熱さ」を堪能しました!
posted by stonez | 2006.03.21 23:25 | Comment(6) | TrackBack(4) | 音楽 - 交響曲

J.S.バッハ/6つのパルティータ

仕事に復帰してからというもの、目の覚めるような忙しさで仕事に追われてまして、もう少しで2月のブランクを取り戻せてしまうんじゃないかという具合です。ただ、適度に休憩をはさみつつ、極力早く帰宅して睡眠時間を確保しようと奮闘する日々。そんなわけで、時間のあいたエントリーになってしまいました。

さて、先日romaniさんから頂いたコメントにて、今後は心の安らぎと日常生活への回帰のために、バッハの「平均律クラヴィーア」を処方して頂きました。ところが手持ちのCDは1935年(昭和10年!)のフィッシャーによるモノラル録音。もうちょっと安らげる音質のバッハのピアノ曲ということで、まずは「6つのパルティータ」です。ピアノはジャン・ルイ・ストイアマン。1984年録音。

それぞれ6、7曲の前奏曲や舞曲からなる組曲が6つ集まったこの曲集、気軽な気持ちで聴けるところがいいですね。降り注いでくるたくさんの規則的で軽快な音符が雑念を取り払ってくれ、そして自然と身をゆだねてしまう感覚はまさに心の休息です。楽譜に詳しいわけではないですが、ストイアマンの演奏を聴いているだけで幾何学模様みたいに音符がびっしりと並んだ様子が、ぼんやり頭に浮かんできます。

それに元々の古典組曲の形式にとらわれない、バッハなりのアレンジがなされているだけあって、6つのどの組曲も異なった表情で飽きません。まず曲の印象を左右する1楽章目はプレリュードだったり序曲だったりと様々ですし、中庸な舞曲アルマンドも明るかったり荘重だったり。軽快な舞曲クーラントは哀愁を帯びているものもあります。ドビュッシーの曲でも出てくるサラバンドは緩やかでも自由な感じの舞曲となっていますし、終曲ジーグは駆け抜けて終わるときもあれば、重々しく締めくくられたりもするといった具合です。

忙しさを忘れて、バッハに身をまかせる時間を大切にしたいものです。
posted by stonez | 2006.03.12 19:55 | Comment(7) | TrackBack(1) | 音楽 - 器楽曲

マーラー/交響曲 第2番「復活」

大変ご無沙汰しました。こうしてここに戻ってくることができ、そして皆様のブログにまた遊びに行けることにワクワクしています。それから私のお休み中にもたくさんの暖かいコメントを頂き、感謝の気持ちで一杯です。本当にありがとうございました!

問題の右目ですが、おかげさまで網膜剥離の手術も無事成功し経過も良好、退院と静養を経てようやく仕事に再復帰できるまでになりました。入院中の様子はメモと記憶をたよりに日記にしてみました。
 > Maestro!: 網膜剥離の治療日記

ではさっそくいきましょう。マーラー作曲、交響曲第2番ハ短調「復活」。ブルーノ・ワルター指揮/ニューヨーク・フィルハーモニックほかの演奏です。

この演奏を聴いたとき、まさにそれまで体験した病院での数日間を振り返っているような気持ちになりました。またマーラーの弟子でもある巨匠ワルターの歴史的ステレオ録音(1958年)のクリアでリアルな味わいが、私のいた病棟の雰囲気を妙に彷彿とさせて非常に印象深くよみがえります。

第1楽章。手術を翌日に控えた夜。薄暗い病室。天井とカーテンに囲まれ一人。ふと医師による手術の説明を思い出す。負の部分ばかり考えてしまう。恐さばかり考えてしまう。眠れないままその時はやってくる。

第2楽章。手術の恐怖から解放され、安堵の気持ちがあふれる。しかしまだどこかに気が張りつめている。それが自分でもわかる。

第3楽章。緊張がほぐれた頃、徐々に鈍い痛みを感じ始める。ゆっくり流れる時間。廊下を行き交う人々。まわりの患者さんとの会話。見舞いに訪れる妻。

第4楽章。長い夜。暗がりの中、この空間がふと独房のように思えてくる。でも目を閉じて心を無にすれば、やがてそこは心落ち着く懐かしい世界に。

第5楽章。退院が迫った時あらためてこれまでのことを振り返る。不安、静寂、苦痛、喧騒、安堵、希望。そうしたいろいろな記憶とともに病院をあとにする。久々に見上げる空、今は狭い我が家が楽しみでしかたがない。

ワルター/NYPによるマーラーの復活。それは私の体験した日々とともに、これからもずっと記憶されていくことでしょう。

それでは、これからもどうぞよろしくお願い致します!
posted by stonez | 2006.03.03 21:24 | Comment(39) | TrackBack(3) | 音楽 - 交響曲

網膜剥離の治療日記(退院後・あとがき)

久しぶりの我が家は相変わらず狭かったけど、よく片付いていてとても居心地のよい場所でした。今回の事は自分だけでなく妻にも負担を強いただけに、決していい体験だったとは言えないけれど健康のありがたさとか身軽に動けることの便利さといった、当たり前のことを再認識して帰ってくることができた気がします。

そして2月が終わり、仕事への復帰もかないました。病院で悩みのタネだった睡眠不足や食欲不振は自宅ですっきり解決。音楽もたくさん楽しめました。ただ、当初期待していたほど聴けなかったのは少し残念ではあります。やはり音楽をじっくり堪能できる健康状態というのも大切な要素のようです。

さてメインテーマの私の右目ですが、見た目はまだ鮮度の悪いマグロの目みたいに充血していますが、視力は予想に反して今も良好です。先日の診察では先生も驚く「視力1.0弱」でした。このままいけばメガネの必要はないかもです。ただ飛蚊症はあいかわらず。慣れましたがやはり邪魔ではあります。でもこの状態で見るか、それとも見えなくなるか、それは考えるまでもないこと。生涯大切にしていきたいという気持ちです。先生が「いいよ」と言うまでちゃんと目薬続けます。

最後になりますが、私の抱いた不安に対してご自身の経験から貴重なアドバイスを下さったアスカパパさんをはじめ、ブログでお世話になっている皆様、そして私の右目をしっかり治してくださった主治医先生をはじめ心強い先生方や看護士さんたち、毎日支えてくれた妻に感謝しつつ治療日記を終わりたいと思います。
posted by stonez | 2006.03.03 20:08 | Comment(1) | TrackBack(0) | 網膜剥離の治療日記