ブラームス/ヴァイオリン・ソナタ 第2番

色々と用事が重なり、週末は家族で群馬の実家に行ってきました。まだ若干早かったものの紅葉も楽しめました。写真は片品(かたしな)にて。あと数週間で絶景へと変わることでしょう。

そんな秋の美しい自然に触れたとき、やはりブラームスの音楽が聴きたくなります。今回はヴァイオリン・ソナタ第2番 イ長調 Op.100です。ヴァイオリンはピンカス・ズーカーマン、ピアノはダニエル・バレンボイム。1974年の録音です。

とても息の長いヴァイオリンと、それを支えつつ時にはリードしていくピアノの見事なまでの調和。ブラームスがのこした3つのヴァイオリン・ソナタの中でも、とりわけこの2番には、穏やかな秋の気候と、落ち着きの中にどことなく漂う寂しさを慈しむような気分にあふれています。

楽曲の構成としては急−緩−急ということになりますが、それはあくまでも形式上という感じで、全体を通して変わらず流れるゆったりした時間を楽しむことができます。

ズーカーマンのヴァイオリンには凛とした線の太さがありますが、そうであるだけにひとたび消え入るような弱音になったときの独特の哀愁は際立っています。それから、ズーカーマンとバレンボイムのコンビには、感情が押し寄せるように厚みが増すところまでもぴたりとした一体感があります。


posted by stonez | 2006.10.31 23:36 | Comment(2) | TrackBack(0) | 音楽 - 室内楽曲

シベリウス/交響曲 第2番

とある用事で出かけた週末、息子をしばらく抱っこしていたら今日になって筋肉痛になりました(笑)。そんなヘタレな自分にあきれつつ、同時に子供の成長を感じる今日この頃です。

このところはシベリウスをよく聴いていますので、今回はシベリウスの有名曲から。交響曲第2番 ニ長調 Op.43です。透明度の高い空気感と、ふつふつと湧き上る民族的な高揚感は、祖国フィンランドを思うシベリウスならではの味わいといえるでしょう。別名「シベリウスの田園交響曲」と呼ばれたりもしています。

穏やかな光が大地に降りそそぐような第1楽章、暗い洞窟を探検している気分になる第2楽章、そして厳しい自然が雄大に広がっていく様子とも、帝政ロシアの圧政の重圧をやがてはねのける様子ともとれる第3、第4楽章。このシベリウスの描いた世界が、頭の中で自由に膨らんでいく親しみやすさがあります。

先日、この音楽を妻にも聴かせたところ「ローマの休日で流れていそう」と言っていました。そういえば、と思って確認してみると確かに、シベリウスがイタリアへ旅行した際に着手、とありました。メンデルスゾーンといい、ブラームスといい、イタリアには作風に影響を与える何かがあるようです。

演奏はユッカ=ペッカ・サラステ指揮/フィンランド放送交響楽団。いわゆるお国ものです。実はマゼール/ピッツバーグ響盤のゆっくりとした、まるでブルックナーのような第2番にずっと馴染んできたので、はじめは快速に感じましたが、こちらのタイプの解釈の方が本流のようです。

ライブ盤から伝わってくる熱気に加えて、自信に満ちた明晰な音色にはインパクトがあります。フィンランドという、日本からは遠くて美しい国の情緒を楽しめる思いです。欲を言うなら、せっかくのライブ盤、最後の拍手まで入れて欲しかったというくらいでしょうか。
posted by stonez | 2006.10.24 23:34 | Comment(8) | TrackBack(1) | 音楽 - 交響曲

チャイコフスキー/弦楽四重奏曲 第1番「アンダンテ・カンタービレ」

いよいよ始まりました、TV版「のだめカンタービレ」。のだめや千秋をはじめ個性的なキャラやコミカルな場面、音楽の描写などマンガの面白さが忠実に再現されていて楽しめました。竹中さんのミルヒーには笑いました。次回以降も楽しみです。

というわけで、勝手なこじつけですが今日は「カンタービレ」つながりで、チャイコフスキーの「アンダンテ・カンタービレ」です。弦楽四重奏曲第1番 ニ長調 Op.11。演奏はスメタナ四重奏団、1966年プラハでの録音から。

別に、この作品自体に「アンダンテ・カンタービレ」というニックネームがつけられているわけではありませんが、かの文豪トルストイが感動のあまり涙を流した、というほど美しい第2楽章からそう呼ばれているようです。どこをとっても口ずさめるメロディは、彼が既に初期の頃からメロディーメーカーだったことを教えてくれます。

第1楽章。弦楽器でしか味わえない穏やかで優しいモデラート。ゆっくりなテンポが次第に動きを増していくのは冬の寒さが次第に和らいでいくような感じ。

そして第2楽章。アンダンテ・カンタービレ。その通りゆっくりと歌うように、あたたかな音色、そして天国的な響きが降りそそぎます。この音色から感じられる懐かしくてどこか寂しい感覚こそ、チャイコフスキーの真骨頂。

第3楽章は急速なテンポのスケルツォ。北国の厳しい寒さのような鋭さ、そしてそれは第4楽章の舞曲のように軽快で晴れやかな気分へ。思わず口ずさみたくなるメロディ。情熱的でノリノリのフィナーレ。

優しさから激しさまで。ごくごく自然に気楽に聴きはじめたら最後までいってしまう。それがスメタナ四重奏団の魅力だと思います。
posted by stonez | 2006.10.16 23:31 | Comment(4) | TrackBack(2) | 音楽 - 室内楽曲

ショスタコーヴィチ/交響曲 第9番

今年は、生誕100周年を迎えたショスタコーヴィチのメモリアルイヤーでもあるわけですが、気づいたら9月25日の彼の誕生日を過ぎてましたorz。それでも少しずつ取り上げていきたいと思います。まずは 交響曲第9番 変ホ長調 Op.70です。

交響曲第9番というと、ベートーヴェンを筆頭に、シューベルト、ブルックナー、ドヴォルザーク、マーラーといった名だたる作曲家が大曲を残し、しかもそれを最後に世を去っているという、いわば「いわく付き」の番号ですが、当時すでに名声を博していたショスタコーヴィチにしても、これは頭にあったでしょう。しかも時は第二次世界大戦集結の1945年。当然ソビエト当局も聴衆も7番、8番に続く「大規模な戦勝交響曲」を期待していたはずです。

それに対する本人の回答、それがこの第9番です。ベートーヴェンの「エロイカ(英雄)交響曲」を思わせる変ホ長調に、5楽章構成。一見、壮大な大作の予感です。ところが、フタをあけてみるとその中身は軽快でコミカルなディヴェルティメント風。いかにも彼らしいシュールな作品でした。以下、私の勝手なイメージです。

はい、それではショーの始まり始まりー。ラッパに続いて軍隊の行進と思いきや、あまりのポカポカ陽気にみんなご帰宅。それを繰り返しているうちに日が暮れて終了【第1楽章】。

ところ変わって、ここは静寂に包まれた墓場。例の独裁者によって粛清された人たちの魂が浮遊する。声なき叫びをあげる【第2楽章】。

お次は、戦いも終わって明るさを取り戻した町の風景。と、なぜか突然ここで闘牛士が乱入(バーンスタイン談)【第3楽章】。その闘牛士が仮面を取ると、それはなんと罪なき人々を無理やり連れ去る秘密警察だった。町をふたたび恐怖が支配【第4楽章】。と、よく見たら秘密警察じゃなくて変装してた一般人でした。ただ飲み相手が欲しかったんだって。連れ去られた人たちも勢揃いで飲んで歌って、はいおしまい【第5楽章】。


さてその結果、周囲には見事肩すかしを喰らわせ、いともあっさり例の「いわく」をかわし、最終的に15曲もの交響曲を世に送り出したショスタコーヴィチ。当然ながら当局からは猛烈に批判され、演奏禁止という憂き目に。しかし明日の命をも知れない状況で堂々とこれをやってしまうわけで、さすがというほかありません。

私のお気に入りは、マリス・ヤンソンス指揮/オスロ・フィルハーモニー管弦楽団です。特に1、2楽章のテンポをかなり速めにとることで、スッキリした爽快感を前面に出しています。それに管楽器をはじめとした明朗な音色からは、あの閉鎖的な世界のジメジメさや泥臭さが洗い落とされています。
posted by stonez | 2006.10.13 19:40 | Comment(2) | TrackBack(0) | 音楽 - 交響曲

ヴェルディ/歌劇「椿姫」

今日はジュゼッペ・ヴェルディの誕生日ということで、初ヴェルディいってみたいと思います。歌劇「椿姫」。オペラに詳しくない私が店頭で最初に手に取ったぐらいですから、相当人気の高い作品といえるでしょう。

この「椿姫」という名前はデュマ・フィスの原作のタイトルで、オペラ版の正式なタイトルは「ラ・トラヴィアータ(道を踏み外した女)」といい、ヴェルディ自身ヴィオレッタのような当時の社会から疎外された人物に光を当てています。これは19世紀当時の上流階級に警鐘を鳴らす目的があったようですが、遠く離れた21世紀の日本で見る私にとっては異国情緒漂う普遍的な恋愛悲劇です。ただ、それを彩るヴェルディの音楽が美しくて心地よくて、結果劇的な感動が残ります。

それにしても、このオペラはヒロインのヴィオレッタのためにある、と言えそうです。薄幸の美女というだけでなく、第1幕では華麗なコロラトゥーラを、第2幕ではしみじみと情感こもった歌声を、第3幕では絶望とともに消えゆく命を振り絞る歌声を魅せてくれるわけですから。ゲオルギューは、さすがに晩年のショルティに初めての「椿姫」をさせただけのことはあります。気品をたたえた美しさはもちろん、奥底に覗く儚さや寂しさがヴィオレッタと重なります。

ヴィオレッタに恋する青年アルフレードは、良くいえば純朴、言い換えると行動が短絡的で見ていてヤキモキしますし(笑)、田舎の温室育ちそのもののイメージでした。が、多くの見せ場と歌声を楽しめる役柄ではあります。子が子なら親も親というわけで、ジェルモンがまた風貌もぴたりで憎たらしさ全開なのですが、いかんせん素晴らしい歌を歌うんですよね。繰り返し見ていると、ストーリーは差し置いてそちらの魅力が勝ってしまいます。

以上の主要人物で主な物語が進むシンプルさですが、他にもヴィオレッタの友人フローラや、地味な女中さん、医療行為を全くしないヴィオレッタの主治医とか、夜会に登場する紳士淑女たち。非常に華やかです。そして忘れられないのはゴージャスで雰囲気たっぷりの夜会をはじめ、贅沢な舞台と演出は凄いの一言。束の間、非現実の世界に連れていってくれます。

■主な配役
ヴィオレッタ・・・アンジェラ・ゲオルギュー(S)
アルフレード・・・フランク・ロパード(T)
ジェルモン・・・レオ・ヌッチ(Br)
フローラ・・・リー=マリアン・ジョーンズ(Ms)

■演奏・制作
コヴェント・ガーデン・ロイヤル・オペラ・ハウス管弦楽団&合唱団
指揮:サー・ゲオルグ・ショルティ
演出:リチャード・エア
制作:1994年12月 コヴェント・ガーデン・ロイヤル・オペラ・ハウス(ライヴ収録)

■あらすじ
パリ社交界の花形にして高級娼婦のヴィオレッタは、夜会で青年アルフレードと出会い真実の愛に目覚める。そしてそれまでの生活を捨て、素朴だが愛に満ちた郊外での暮らしに喜びを見出すが、そこへアルフレードの父ジェルモンがやってきて、家名を守るため息子と別れて欲しいと迫る。泣く泣く出て行ったヴィオレッタを、心変わりと勘違いしたアルフレードは追いかけて行って責めるが、誤解が解けて再会した時には、ヴィオレッタはまさに死を迎えようとしていた...。
posted by stonez | 2006.10.10 23:38 | Comment(5) | TrackBack(0) | 音楽 - オペラ・声楽

サン=サーンス/ピアノ協奏曲 第2番

妻が風邪をひいて一週間。扁桃腺を痛め家事にドクターストップがかかりました。授乳中なので薬に頼れないのが辛いところです。職場でも風邪が流行ってますし、意外とこの時期は注意が必要ですね。そんな週末、下の写真のように今年初めてかというような行楽日和ですよ。

さて今日ですが、調べてみたところサン=サーンスの誕生日とありましたので、彼の音楽を。ピアノ協奏曲第2番 ト短調 Op.22。ピアノはジャン=フィリップ・コラール、指揮アンドレ・プレヴィン、ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団です。

このピアノ協奏曲、均整のとれた構成の美しさや礼儀正しさももちろんですが、それに加えて何十色もあるカラーパレットを見ているようなカラフルな色合いに心洗われる思いです。サン=サーンスの音楽には、ドイツ系とフランス系の音楽のいいところを一度に楽しめるという魅力があるように思います。

最初からピアノが華やかにカデンツァで彩り、オケと共に充実した表情を魅せる第1楽章。キラキラまばゆく明るさをたたえた第2楽章。ピアノがまるで宝石箱のオルゴールのようにやさしく響きます。第3楽章はプレスト。うって変わって男性的な躍動感あるピアノが華やかな雰囲気を作り出していきます。

コラールというと、フォーレのピアノ曲のイメージが強いですが、彼のピアノからは勢いとか技巧というよりも、しなやかで綺麗な美しさが漂います。フランス音楽の彩りを表現するのに相応しいと感じます。プレヴィンのバランス感覚も素晴らしいです。
posted by stonez | 2006.10.09 10:11 | Comment(4) | TrackBack(0) | 音楽 - 協奏曲
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