このところは、先日放送されたドラマ「のだめカンタービレ」で登場した、モーツァルトのオーボエ協奏曲 ハ長調 K.314を聴いています。
この作品の楽しみの一つは、後から編曲されたといわれ、楽器の特性に合わせて1音上がった調のフルート協奏曲第2番(ニ長調)との聴き比べができることでしょう。穏やかで牧歌的なオーボエ協奏曲、対して明るく快活なフルート協奏曲と、楽器と調性の違いからくる魅力には甲乙つけがたいものがあります。
第1楽章、アレグロ・アペルト。オケの爽やかな主題のあとオーボエ登場。音階を駆け上がっていくときの身軽さ、そして柔らかくてほのぼのとした音色。メロディもモーツァルトらしく幸せでいっぱいだしオーボエの難しそうな技巧も音色に愛嬌があるので親しみやすいです。
ちなみに「アペルト」とは「はっきりと」の意味だそうで、明瞭で聴きやすいオーボエならではという感じ。そういえばオケのチューニングがオーボエのAから始まるのも、そんな理由だったりするのでしょうか。
続いて緩やかなテンポで格式高い雰囲気の第2楽章。ここではオーボエの優しい音色や、ヴァイオリンとの掛け合いから生まれる透明度の高い響きにため息。第3楽章は、おどけたようなオーボエから始まる軽快な楽章。遊び心を大事にしつつ聴き応えも十分です。
演奏は、オーボエがミシェル・ピゲ、ホグウッド指揮とチェンバロ、エンシェント室内管弦楽団。軽やかであたたかい古楽器による演奏です。