2006年が終わります

群馬に来ています。昨日の雪で庭は銀世界です。
さて2006年も残すところ僅かとなりました。今年は目の手術で入院したのを皮切りに、長男の誕生、ノロウィルス感染と、何かとお医者さんにお世話になることが多い一年でしたが、こうして今健康なのは素晴らしいことです。というわけで、今年の選曲ベストスリーを選んでみました。

第1位 シューマン/交響曲 第1番「春」(4/14)
第2位 マーラー/交響曲 第2番「復活」(3/3)
第3位 モーツァルト/歌劇「魔笛」(12/5)

シューマンの春は息子の誕生を、マーラーの復活は自分の退院を、という思い出深い一曲になりました。魔笛では、今までのモーツァルトのイメージを塗り替える素敵な作品でした。

今年も一年、ありがとうございました。
良いお年を!
posted by stonez | 2006.12.31 18:09 | Comment(0) | TrackBack(0) | いろいろ

ベートーヴェン/交響曲 第9番「合唱付き」

ベートーヴェン作曲、交響曲第9番 ニ短調 Op.125。通称『第九』といえば、やっぱり年の瀬ですね。日本では年末公演として盛んに取り上げられますが、それだけの祝祭的な雰囲気は十分にあります。

楽聖ベートーヴェンが打ち建てた金字塔ともいえる彼の最後の交響曲、さすがに録音もたくさんありますが、いくつか聴いた中でも思わず涙腺が緩んでしまったとっておきがあります。ヴァント指揮/NDR盤です。今年は残念ながらコンサートには行けそうにないので、常々エントリーしたいと思っていたこちらでいきます!

第1楽章は「力」の音楽。演奏には飢えた狼のようなシャープな破壊力が宿る。第2楽章は「熱狂」の音楽。ダイナミックな旋律が強靱なオーケストラに後押しされてこちらに突進してくるよう。第3楽章は「楽園」の音楽。でもヴァントのタクトは、もはや喜怒哀楽を越えた悟りの境地に。みるみる力が抜けて無心になっていく独特の感覚。

終楽章。前の3つの楽章に対する答え。「力」「熱狂」「楽園」を全て否定して平和と人類愛へたどり着く。それは歓喜の歌。第3楽章の静寂を突き破る強烈なインパクト。性急で緊迫している。研ぎすまされた声楽のアンサンブル。もはや万感の思いで歓喜を聴き、躍動感を感じながら最高のクライマックスを迎えるのです。

一切の贅肉を削ぎ落とした鋭さとパワーを秘めた絶妙のオーケストラ・コントロール、これがヴァントの魅力です。それは華やかさや艶やかさとは対極の世界。でもそれがベートーヴェンに、特にこの交響曲にはよく合います。それにリズムの隅々まで気持ちいいのは、ヴァントならではの緻密な構成力によるものでしょう。
最後にティンパニーも最高!

■演奏・録音
指揮:ギュンター・ヴァント
北ドイツ放送交響楽団、北ドイツ放送合唱団、ハンブルク国立歌劇場合唱団
エディット・ビーンズ(S)、ヒルデガルド・ハルトヴィヒ(A)、キース・ルイス(T)、ローラント・ヘルマン(Bs)
録音:1985年 北ドイツ放送局、ハンブルク
posted by stonez | 2006.12.27 22:55 | Comment(6) | TrackBack(2) | 音楽 - 交響曲

チャイコフスキー/バレエ「くるみ割り人形」

クリスマスイブの夜のお話を、チャイコフスキーらしい甘美なメロディで彩るバレエ「くるみ割り人形」は、この時期の定番です。キーロフ・バレエのライヴ盤で。開演を心待ちにしている子供たちのカットがあったりして、気分はマリインスキー劇場の中です。

雪の降るクリスマスの夜。居間でツリーを囲んでパーティが始まると、そこは暖かくて楽しい空間。主人公マーシャは、人形使いのドロッセルマイヤーが取り出した不格好な「くるみ割り人形」を可愛がる心優しい女の子。この老人が次々に繰り出す仕掛け人形は、思わずプッと笑みが漏れるほどコミカルで機械的、本当に人形みたい。ツリーが大きくなったり、ネズミと鉛の兵隊が戦う演出にもワクワクしました。とにかくクリスマスらしさいっぱいの第1幕。

でも第2幕になって舞台がおとぎの国に変わったとき、そこは優しくて強い「くるみ割り人形」の王子と、王女となったマーシャが主役の優雅な世界。アラビアの踊りや中国の踊り、足笛の踊りに花のワルツとチャイコワールドが満開。バレエの本領発揮です。音楽だけでも楽しいのに踊りがまたカッコいい。王子と王女のグラン・パ・ド・ドゥで盛り上がりは最高潮。ダイナミックだけど繊細さもある王子に、しなやかで華麗な王女でした。レジュニナは覚えておきます。

それにしても、バレエの卓越した舞い、姿態は素晴らしいの一言です。しかもストーリーをきっちり表現するための演技ひとつひとつが、均整がとれてて機敏で凄く奇麗。だから、セリフがなくても見るもの聴くもの全てが瞬時に楽しめる、もうバレエならではの魅力でしょう。

目の前に素敵な絵本の世界が広がるような、チャイコフスキーの流れる旋律は、本当にこのためにある気がしてきます。そうそう、人形や子供たちの動きと表情を描いた音色も絶妙でした。(写真は自由が丘にて)

■主な配役
マーシャ、王女・・・ラリッサ・レジュニナ
くるみ割り人形、王子・・・ヴィクトル・バラノーフ
ドロッセルマイヤー・・・ピョートル・ルサーノフ

■演奏・制作
振付:ワシーリィ・ワイノーネン
キーロフ・バレエ(マリインスキー劇場)
キーロフ管弦楽団(マリインスキー劇場)
指揮:ヴィクトール・フェドートフ
制作:1993年10月 マリインスキー劇場(ライヴ)
posted by stonez | 2006.12.23 01:55 | Comment(6) | TrackBack(3) | 音楽 - オペラ・声楽

ショスタコーヴィチ/オラトリオ「森の歌」

2006年最後の追い込み、今月は今年メモリアルイヤーの作曲家おさらい特集になってますが、今回はショスタコーヴィチです。オラトリオ「森の歌」Op.81。

今になってみると、解説書とかの予備知識なんて知らないまま聴いても面白かったかなと思いますが、とにかく作曲当時のソ連ではたぶん話題作、現在では評価の別れる問題作といったところじゃないでしょうか。

このオラトリオ「森の歌」は、自身の「交響曲第9番」で招いた最大のピンチを逃げ切るための、いわゆる「起死回生の一発」でした。それは彼をピンチに追い込んだスターリンを絶賛して、その植林政策を賛美するというもの。これで一気に汚名返上、1950年のスターリン賞第一席というおまけもつきました。

それにしても、聴いててどうもショスタコっぽくないんですよね。妙にストレートで前向きというか、彼らしく、あれこれ巧妙なトリックが仕込んでありますよ的な雰囲気が感じられません。まだ聴き込みが足りないのかもしれませんが。残響音の少ない音質も拍車をかけます。東側のプロパガンダ映画のバックとかで普通に流れてそうな感じ。

勝手な想像ですが、あえていつもと全く違う作風にすることで体制や独裁者の異常性を強調しようとしたのではないかと。演奏には生々しさがあって、会場も異様な熱気。さすがは旧ソ連時代のお国もの、そしてスヴェトラーノフ。別の演奏を聴いたらどう感じるのか、ちょっと気になるところではあります。

ちなみにこのオラトリオ、後の1962年に歌詞が差し替えられています。理由はスターリン批判による当局の都合から。いやまったく受難な作品です。

■演奏・録音
指揮:エフゲニー・スヴェトラーノフ
演奏:ソビエト国立交響楽団
   A.ヴェデルニコフ(バス)、A.マスレニコフ(テノール)
   ソビエト・ゴステレラディオ・アカデミック合唱団
   モスクワ・スヴェシニコフ・コーラス・スクール少年合唱団
録音:1978年 モスクワ音楽院大ホール(ライヴ収録)
posted by stonez | 2006.12.20 07:17 | Comment(4) | TrackBack(0) | 音楽 - オペラ・声楽

シューマン/交響曲 第4番

フジテレビの「ザ・ベストハウス123」という番組で、われらが地元群馬の水沢うどんが、なんと稲庭うどんと讃岐うどんを抑えて3大うどんの第1位に。驚きました。分かってくれる人はいるもんだなぁ、と。確かに水と小麦粉には定評があります。選ばれた基準とか気になりますが、とにかく素直に喜びました。

いつも音楽と全然関係ない話題で始まります(笑)が、本題いきましょう。今年はローベルト・シューマンの没後150年でもありましたので、今回はシューマンの交響曲第4番 ニ短調 Op.120です。ベルナルド・ハイティンク指揮、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の録音から。

この音楽を最初に聴いた時、なんて起承転結のはっきりとした交響曲らしい交響曲なんだろうと思いました。ドラマティックなところはいかにもシューマンらしい。全楽章が切れ目なくつながっていてアタッカで演奏されるので、緊張感が途切れることがありません。本当に充実してます。

ドラマティックなこの音楽を聴いてると、中世の騎士道物語のようなお話をイメージしてしまいます。騎士たちの背負った宿命(第1楽章)、心の拠り所はふるさとと家族(第2楽章)、でも決意を新たに旅立つ(第3楽章)、待ち受ける苦難を乗り越えた勝利、おまけに聖杯もゲット(第4楽章)。美しい「歌」あり、近寄り難い気むずかしさあり、どれもがシューマンの魅力です。

ハイティンク盤は、いくつか聴いたうちでも急ぎすぎず、かといってゆっくり過ぎもしない自然なテンポ。それにオーケストラに重量感があるし、弦の音色に他の音が埋もれてしまわないスッキリとしたサウンドも素晴らしいです。
posted by stonez | 2006.12.13 23:32 | Comment(8) | TrackBack(2) | 音楽 - 交響曲

武満徹/雨の樹:素描

昨日の昼メシに好物マーボー麺を食べに行ったお店で、杉山清貴の『最後のHoly Night』が流れてました。もうそんな時期なんですね。いやでも古いなぁと思いつつ、なんか妙な新鮮味を感じました。歌も歌声も好きなんですが、今や「懐メロ」ですね。カラオケの1曲目にはちょっと出しにくいなぁ。

さて、今年は没後10年を迎えたタケミツ・イヤーでもあります。でも、以前何の準備もなく現代の音楽へ入って道に迷いましたので(笑)、まずはちょっとしたピアノ作品から再入場してみることにしました。

武満徹が1982年に作曲したピアノ独奏曲、「雨の樹:素描」。ピアノはピーター・セルキン。iTunes Storeにて150円。杉山清貴と同じ1980年代でも、かたや現代音楽、そしてもう一方は懐メロ。音楽って面白いです。深いです。

「雨の樹:素描」はタイトル通り、木からおちてゆく水滴をスケッチしたというだけあって、印象派の流れを感じます。不揃いでまばら。水墨画みたいなモノトーンな音色。でもセルキンのピアノには突き刺すような寒さがなくて、それがちょっとホッとする。

水を描写したピアノ曲といえば、ラヴェルの「水の戯れ」とか、ドビュッシーの「水の反映」といったあたりが思い浮かびます。何気ない自然の一コマが、作曲家のフィルターを通したとき、頭の中で一枚の個性的な絵画みたいに鮮やかに再現される。やっぱり音楽って面白いです。深いです。
posted by stonez | 2006.12.09 01:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽 - 器楽曲

モーツァルト/歌劇「魔笛」

早くも12月ですね。モーツァルトイヤーも残すところわずかとなりました。そして今日はモーツァルトの命日。今年は『生誕年』なので没日は関係ないですが、彼は1月に生まれ12月に亡くなったという意味で、メモリアルイヤーの節目をちゃんと押さえています。なので今年最後のモーツァルトとして、彼の最後のオペラ「魔笛」(K.620)で締めくくりたいと思います。

このオペラは、どことなく太古の中東っぽい設定だったり、王子が王女を助ける冒険に出て成長していくというファンタジー路線で、それがセリフで進行するジング・シュピール(ドイツ語の歌芝居)です。途中で正義と悪の立場が逆転したり、モーツァルトに関係の深いフリーメーソンの思想が絡んだりと複雑ですが、そのへん気にしなくても素直に楽しいです。

音楽は本当に贅沢で、夜の女王の魅惑のコロラトゥーラをはじめ、その娘パミーナと王子タミーノの正統派アリア、そしてコミカルでオペラ・ブッファみたいなパパゲーノ、逆にザラストロは厳格で宗教的。3人の童子に至っては天から降りそそぐコラールのようです。最後は賛美歌の大合唱かと思うばかりの感動的なエンディングでした。これはまぎれもなく死が迫ったモーツァルト最後の魅力でしょう。

私が観たのはレヴァイン・METによるモーツァルト没後200年記念でのライヴDVDですが、幻想的なステージデザインに独創的な衣装、レヴァインならではのスピーディでドラマチックな音楽。しかも笛やグロッケンシュピール(鈴)といった小道具たちへの音色がこれまた素敵で思わず巻き戻したくなります。

印象的な場面といったら、パパゲーノとパパゲーナが「パパパパ・・・」と歌いあう微笑ましいシーンとか、言わずと知れた夜の女王が登場する全シーン(→鳥肌)、ちょっと控えめな主人公2人ですが、タミーノは他でも聴きたくなるロマンティックな声でしたし、パミーナはさすがバトル、目を閉じて聴きたくなる可憐な歌声にセリフ。オーラが出ている感じすらしたのでした。

■主な配役
パミーナ・・・キャスリーン・バトル(S)
タミーノ・・・フランシスコ・アライサ(T)
パパゲーノ・・・マンフレート・ヘム(Br)
夜の女王・・・ルチアーナ・セッラ(S)
ザラストロ・・・クルト・モル(Bs)

■演奏・制作
メトロポリタン歌劇場管弦楽団&合唱団
指揮:ジェイムズ・レヴァイン
演出:グース・モスタート
制作:1991年2月 メトロポリタン歌劇場(ライヴ収録)

■あらすじ
娘パミーナをザラストロに奪われた夜の女王は、王子タミーノに救出を依頼。タミーノはお供のパパゲーノと旅立つが、やがてザラストロは高僧で、夜の女王からパミーナをかくまって養育していることが発覚。タミーノはパミーナと出会い、ともに結ばれるためにザラストロのもとで試練を受ける...。
posted by stonez | 2006.12.05 20:43 | Comment(4) | TrackBack(2) | 音楽 - オペラ・声楽