ラヴェル/道化師の朝の歌

冥王星(Pluto)が惑星から外された件で、降格になることをアメリカでは『プルートされる』なんて言うそうですが、私の身近にもプルートされるものを見つけました。東急田園都市線です。あまりの混雑で遅延してばかりなので、朝の急行が一部で各駅停車に格下げだそうです。でも新名称はかろうじて「準急」。

そんなアクロバティックな朝の電車に揺られ、ひと仕事終えた気分になってから始まる実際の仕事。私たち満員電車ユーザーにとっての朝は、グリーグの「ペール・ギュント〜朝」であるはずもなく、どちらかというとラヴェルの「道化師の朝の歌」かもしれません。ロリン・マゼール指揮、フランス国立管弦楽団。

エネルギッシュに展開する音楽、といえばマゼールのお得意分野。ピエロの踊りというより、もはや熱狂するサーカス団のように感じられて、それが満員電車の中でプルプル踏ん張っておられる諸兄方の気持ちを代弁しているかのよう。自分はというとダメダメで流れに身を任すのみ。車内でひとたび人の雪崩が発生すると、その先頭にいたりとか・・・。

話がそれましたが、元気だけど気まぐれなリズムに、不協和音が織りなす異国風メロディと、ラヴェルの中に流れるスペインの血が躍動するこの音楽。オーケストラを使って、ギターをかき鳴らしているように聴かせるところなどはさすが。盛り上がり具合も劇的です。

この作品は、ラヴェルが元々ピアノのために作った曲集「鏡」の中の一曲だそう。このオーケストレーションの魔術師が魔法をかける前の音楽はどんな感じか、今度ぜひとも聴いてみたいところです。
posted by stonez | 2007.01.30 23:24 | Comment(2) | TrackBack(0) | 音楽 - 管弦楽曲

シベリウス/交響曲 第1番

夕方の小一時間、マンガ喫茶にきています。いちおう貴重な休み時間です。このご時世、セキュリティ対策の一環としてインターネットができない職場というのが増えてきてますが、そうなるとちょっとした調べものすらできなかったりして、なかなか不便なものです。

さて今年は、グリーグの没後100年、シベリウスの没後50年と、北欧を代表する巨星たちが区切りよく節目を迎えたので『北欧イヤー』だそうです。私もこの流れに乗りたいと思います。まずは20世紀を代表する交響曲作家でもあるシベリウスから。交響曲第1番 ホ短調 Op.39。サー・コリン・デイヴィス指揮、ボストン交響楽団による全集録音から。

シベリウスが最初に手がけたこの交響曲、この伝統的な交響曲という枠組みの中に北欧の大自然やおとぎ話をギュッと詰め込んで真空パックにしたような作品とでもいいますか、聴いた瞬間にそれが耳元で広がって、あっという間にまだ行ったことのない北欧の風景の中にいるような、そんな気分にさせてくれるのです。

第1楽章。暗い序奏が明けたとき、目の前にぱっと広がる光と水と緑の世界。自然が織りなす神秘。第2楽章。そこに暮らす人々のあたたかさを見るような、どことない懐かしさ。悲劇的な高揚はこの国の負ってきた歴史の暗示か。第3楽章。再び大自然。巨大なフィヨルド。氷河。ハープのアクセントが心地よい。第4楽章。交響詩のような雰囲気。雪解け、夜明け、そして人々が伝説の時代から今に至るまで大切にしてきた尊厳を取り巻くドラマティックな世界。

コリン・デイヴィスとボストン響の一番の魅力は、透明感が感じられるところ。そして重心の定まった音の響き。それが寒さ厳しい気候の中にあって、綺麗で美しい北欧の大自然そのもののように伝わってきます。スケールの大きさを感じさせる豊かな金管も素晴らしい。残響音が適度に効いた録音状態もまた素敵です。
posted by stonez | 2007.01.26 17:02 | Comment(4) | TrackBack(3) | 音楽 - 交響曲

神奈川フィルハーモニー管弦楽団 第232回定期演奏会『ブラームスの「祈り」』

<日時・場所>
 2007年1月21日(日)
 横浜みなとみらいホール

<演奏>
 指揮:ハンス=マルティン・シュナイト
 ソプラノ:澤畑恵美
 バリトン:福島明也
 神奈川フィル合唱団 
 神奈川フィルハーモニー管弦楽団

<曲目>
 ブラームス/ドイツ・レクイエム Op.45

日曜日は神奈川フィルのコンサートにいってきましたが、その間に息子が熱を出してしまいまして・・・。遅くなりましたが、忘れないうちにその感想を。

今回は、久々のシュナイトさんのドイツ魂あふれるブラームス、しかも初めて生で触れるレクイエムの世界ということで楽しみだったのですが、期待以上のコンサートになりました。この上ない細やかさをもった安らかな響きを土台に、生気みなぎる迫力や、生死を超越してしまった神秘的な空間、謙虚さ、心に染みるあたたかい歌声と、全てが心に残る貴重な体験でした。

シュナイトさんに導かれて、神奈川フィル、そして合唱団やソリストさんが創りだす全てのものには、宗教的な敬虔さとか恭しさよりも、今まさに生きている私たちの「心」に直接届く力がありました。演奏が終わって訪れたかつてないほど長い静寂がその証。それがやがて盛大な拍手へと変わったのは言うまでもありません。これがブラームスの伝えたかったレクイエムなのかと感嘆せずにはいられません。

シュナイトさんは御年77歳だそうで、いつも通り椅子に座って指揮している中でも、音楽が高揚するところで思わず立ち上がる場面が度々あって、ついついこちらも釣られて立ち上がりたくなってしまうほど(笑)。それにしても、穏やかにゆったり歩く姿にも、粛々としつつ時に厳しい指示の飛ぶ指揮姿にも『この音楽を伝えるのが私の使命』という確固たる信念がにじみ出ているようでした。

コンサート終了後は、今回もお世話になったyurikamomeさんをはじめ、ブロガーの皆さんと「新年会」ということで、他では聞けないような音楽話など、楽しい時間を過ごすことができました。本当にありがとうございました!
posted by stonez | 2007.01.24 16:49 | Comment(2) | TrackBack(3) | 音楽 - コンサート

シューマン/ピアノ三重奏曲 第2番

ついにきました!。アップルの『iPhone』。でもまだ日本ではお預け。日本がGSMでは世界の孤児だということを思い出す瞬間です。それにしても、今ある携帯電話の延長線からはまず期待できないデザインに操作性、本当にアップルらしい。Apple TVもそうだけど、確かに社名から「コンピュータ」を外す時が来たのかもしれません。嬉しいような寂しいような・・・

今日は、私は日頃の仕事で、妻は日頃の育児で積もった疲れが出たからか、一日中家にこもったままのんびり過ごしました。積み木遊びに夢中になりました。子どもより親の方が(笑)。それからシューマンのピアノトリオを聴きました。第2番 ヘ長調 Op.80。演奏は1971年、ボザールトリオ。

なんだか奔放で気まぐれなのかと思ったら、心優しいところがある。実はロマンチストな面もあって、でもそれを隠して無邪気に饒舌に振る舞っているような。移り気なところがシューマンらしいけど、あたたかさも伝わってきてホッとするのです。そして瑞々しい、一本一本の繊細な感情が折り重なるようにして浮き上がってくるアンサンブルが素晴らしい、ボザール・トリオ。


明日は外の空気をすいにいこう。
いよいよ歯が生えてきたジュニア君の写真をいっぱい撮ってあげよう!
posted by stonez | 2007.01.14 03:14 | Comment(6) | TrackBack(1) | 音楽 - 室内楽曲

ハイドン/弦楽四重奏曲 第67番「ひばり」

晴海 → 日本橋 → 五反田と流れてきて、今月からは中目黒で仕事することになりました。よしよし徐々に家に近づいてきたゾ、と思っていたら、いきなり午後出勤の終電まで。休憩なし。この業界、年々景気が悪化してきたなと思っていたけど、特に年度末が近づくにつれて惨状を目の当たりにすることが多くなってきました。この先大丈夫かと思案する毎日・・・

そんな生活が始まり、朝起きて、ジュニアに離乳食をあげて、自分もお昼を食べていざ出発。こういう時はたいていお天気がいいわけで、例に漏れず昨日も晴れで、ふつうに海方面の電車に乗っていってしまおう、という気分をそのまま置いといて、磁石を近づけられた砂鉄のように、何となしに東京方面に吸い寄せられていくわけです。

iPodから流れていたのは、ハイドン作曲の「ひばり」。弦楽四重奏曲 第67番 ニ長調 Op.64-5。スメタナ四重奏団。1966年録音。

これはまさしく、昨日みたいな晴れた日の昼下がり、公園のベンチにたたずんで聴きたくなるような音楽。ハイドン本人がつけた訳ではないにしても、第1楽章の主題がそれっぽい鳴き声ということで、ついたニックネームが「ひばり」というのもなんだか微笑ましいじゃありませんか。

スメタナSQの演奏も素敵で、第2楽章には穏やかな日常を慈しむような深い味わい。第3楽章の落ち着いた軽やかさは、人がまばらに行き交う「通り」の風景。終楽章は、通りに立って異彩を放つ大道芸人という感じでしょうか。この息つく暇ない第1ヴァイオリンの至芸は生で見たら興奮するに違いない!

と、怒濤の仕事を終えて帰宅したら、のだめアニメ版やってました。おお、まだまだ見捨てたもんじゃないですね。
posted by stonez | 2007.01.12 02:15 | Comment(6) | TrackBack(3) | 音楽 - 室内楽曲

ムジカ・プロムナード 第3回演奏会「ニューイヤー ファミリーコンサート」

<日時・場所>
 2007年1月7日(日)
 松戸 森のホール21 小ホール(千葉・松戸)

<演奏>
 指揮:瓦田 尚
 ヴァイオリン:専光 秀紀
 ムジカ・プロムナード

<曲目>
 アンダーソン/トランペット吹きの休日
 サン=サーンス/組曲「動物の謝肉祭」
 (休憩)
 サラサーテ/ツィゴイネルワイゼン
 チャイコフスキー/バレエ組曲「くるみ割り人形」
 (休憩)
 久石 譲/オーケストラストーリーズ「となりのトトロ」

元日のVPOニューイヤー・コンサートが見られず残念がっていたところ、おさかな♪さんが出演されるニューイヤー・コンサートを知り、しかも子ども連れOK!、よし行こう、と家族3人出かけてきました。

でもそこは0歳児。さすがにまだ早いのではと心配でしたが、何とか迷惑をかけることなく、途中退室せずに最後まで堪能できました。それはヴァイオリンの超絶技巧から、夢いっぱいトトロの世界まで、多彩で親しみやすいプログラムのおかげでしたし、休憩2回という細かな配慮があったからこそ。

まずはオケの皆さんご入場。おさかな♪さんはセコバイの最前列に。まずは元気いっぱい「トランペット吹き」から。息子はいきなりあぜんとしたまま釘付けになってしまいました(笑)。熱気冷めやらぬうちに「動物の謝肉祭」。素敵なナレーションに乗って、チェロやコントラバス、クラリネット、それからヴァイオリンに化石にピアニストさんに、もう面白くて色鮮やかな演奏でした。

第2部は「ツィゴイネルワイゼン」から。奇抜なファッションのお兄さんが繰り出す早業に終始目を奪われつつ、アンコールのピアソラまで会場も見入っていたのが印象的でした。次の「くるみ割り人形」は一転してうっとり。そうそうロシアの踊りが『ジャン』と始まった時に、うちのジュニアが驚いて『ビクッ』っとなったのがおかしかった、花のワルツは特に熱心に聴いてたようでした。

第3部は「トトロ」。これは妻が泣きました(笑)。メイが迷子になったシーンを思い出したらしいです。それだけ雰囲気たっぷりで、弦楽器、管楽器、打楽器の迫力十分の演奏に、素敵なナレーション。それからコンマスさんの音色がまたとびきりの美しさでした。終わった後の一体感、あたたかい拍手。

そしてお楽しみのアンコール、と思いきやサプライズで、指揮者さんとヴァイオリンのお姉さんを祝う結婚行進曲&フラワーシャワー(写真)に。こちらにも幸せをたくさん分けて頂きました。末長くお幸せに!。最後に「ラデツキー行進曲」で明るく和やかに締めくくられました。

おさかな♪さん、オーケストラの皆さん、素敵な時間をありがとうございました。
posted by stonez | 2007.01.08 22:32 | Comment(4) | TrackBack(0) | 音楽 - コンサート

R.シュトラウス/交響詩「ドン・ファン」

年越しは群馬と栃木の実家巡りになりましたが、どちらも元気な孫の姿が好評でした。最近寂しくなってきた親たちの表情が一変したのは本当に嬉しいことです。なかなかの強行日程の疲れも吹き飛ぶというものです。それから義父は2日に還暦を迎えて定年退職、長い間ご苦労様でした。

さて、遅くなりましたが2007年最初の1曲は、リヒャルト・シュトラウス作曲、交響詩「ドン・ファン」です。ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団。図らずも新年にぴったりのジャケットです。

この曲は、NHKの「N響アワー」のオープニングで使われているので有名だと思いますが、颯爽としたカッコいい出だしが如何にも1年の始まりにぴったり。ただストーリーでは最後にドン・ファンは死んでしまうので、その辺は深く考えないことにします。録音は、カラヤンも脂が乗っていたであろう1960年。比較的アップテンポで音も明瞭。何より色艶があります。ストーリーを想像しやすい演奏といえそうです。

ドン・ファンというと、あのモーツァルトの歌劇「ドン・ジョヴァンニ」と同じ意味ですが、あの『女たらし』というイメージはこの音楽にはありません。どちらかというと理想の女性を探し求める旅人のような、ちょっとストイックな雰囲気すら漂う感じ。いかにもシュトラウスらしい作品となっています。
posted by stonez | 2007.01.07 01:16 | Comment(6) | TrackBack(1) | 音楽 - 管弦楽曲

今年もよろしくお願いします

新年、あけましておめでとうございます。
さっそく初詣に行ってきました。

2007年が皆さまにとりましても素晴らしい年になりますよう、お祈り申し上げます。
posted by stonez | 2007.01.01 03:13 | Comment(18) | TrackBack(3) | いろいろ
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