ブルッフ/七重奏曲

昨日は小春日和でした。と言ってはみたものの、まだ2月ですよ。。。まあそれはさておき、このところはお昼休みを過ごすのにぴったりな場所を見つけ、もっぱらそこに行ってます。リーズナブルなレストランに静かなラウンジまで完備。いつもお世話になり感謝しています。区役所様。

そんな昼下がり、ラウンジで聴きました。ブルッフ作曲、七重奏曲 変ホ長調 遺作。ベルリン・フィルハーモニー八重奏団員。クラリネット、ホルン、ファゴット、ヴァイオリン×2、チェロ、コントラバスという編成。

ブルッフのセプテット、一度聴いただけで好きになりましたが、それから何度聴いても色褪せることがありません。春を思わせる若々しさ、広がる色彩感、シンフォニックな構成。これを11歳(!)でつくったブルッフの早熟ぶりもさることながら、最近まで発見されずにずっと冬眠状態だったという事実が凄い。

第1楽章は瑞々しく、晴れやかな田園風景を思わせる。第2楽章はしっとり穏やかなアンダンテ。第3楽章は飛び跳ねるような可愛らしさがあって、でも優雅なスケルツォ。第4楽章はラルゴの序奏に、充実したアレグロ・ヴィヴァーチェが続く。快活な疾走感、充実したハーモニーとともにクライマックスへ。

室内楽的にはちょっと変わった、しかも大きめな編成ということになりますが、風通しの良さはそのままに豊かな響きがプラスされた演奏はさすがBPO。それぞれ全部の楽器にある見せ場も鮮やかに楽しませてくれます。それにしても、楽器ができたらこんな楽しい曲を演奏してみたいなぁ!
posted by stonez | 2007.02.28 00:45 | Comment(2) | TrackBack(0) | 音楽 - 室内楽曲

リベラ33さん来たる(エッシェンバッハのシューマン第4番)

いつもお世話になっている我らがエンターティナー、リベラ33さんが横浜にいらっしゃるというニュースが走った先週末の金曜日、私も縁があってyurikamome122さんepoch@kyokoさんとともに、遂にお会いしてきました。

当然のごとく、リベラ33さんの音楽に対する懐の深さは素晴らしいもので、ひとたびyurikamome122さんと話に火がつくと、こちらは身を乗り出して唸ってるだけ(笑)。ちょっと想像のつかない演奏家・音楽家の世界をチラ見した気分で、今後音楽を聴いていく楽しみが増えました。それからkyokoさんの前向きな行動力も刺激的でした。

そんなリベラ33さんに会って、とにかく話したかったのがエッシェンバッハ/NDR響のシューマン交響曲全集のこと。きっとエッシェンバッハとしてだけでなく、代表的な「シューマン交響曲全集の」名盤ということになっていくと思いますが、聴き手の心をグイグイつかむ絶妙なテンポ・コントロールやオケの熱気が凄まじいです。

特にすり減るほど(レコードだったら)聴きまくったのが第4番で、第1楽章最後のあのたたみかけるようにアッチェレランドしていくところの熱狂ぶりはフルヴェンに負けません。それがウソのように穏やかになる第2楽章、豪快な第3楽章に元気いっぱいの4楽章と、息つく暇なく終わりまでいってしまう演奏の好例だと思います。

エッシェンバッハの近況は、リベラ33さんのエントリーを楽しみにしたいと思います(笑)。楽しい時間をありがとうございました。
posted by stonez | 2007.02.25 15:38 | Comment(4) | TrackBack(2) | 音楽 - 交響曲

チャイコフスキー/交響曲 第2番「小ロシア」

10か月になった息子ですが(マウスオンあります)、カゼがようやく落ち着いた矢先、今度はベッドから落ち頭を打ってしまいました。お医者さんに診てもらって、今のところ落ち着いてますが、私たち親の認識が甘過ぎました。狭くても安心して遊ばせておける環境を考えなければ。

チャイコフスキーは冬にぴったりといいつつ、先日はどちらかといえば季節感より人生観寄りの第4番交響曲でしたので、去りゆく冬を眺めつつ改めて聴いてます。交響曲第2番 ハ短調 Op.17「小ロシア」。ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団。1966年。

チャイコフスキーが、伝統的で構造を優先する交響曲というジャンルに、素朴で表情豊かな小ロシア(ウクライナ)の情感をふんだんに織りこんだ意欲作。私の好きなチャイコフスキーらしい、明るくメルヘンな世界が広がります。

第1楽章。重々しい序奏、ウクライナ民謡からとられたという旋律は情熱的で、早くもエンジン全開。第2楽章は、のっそり歩くクマさんの行進曲。トリオでは自然の息吹が漏れてくるよう。眩しさ、静けさ、小動物、鳥のある景色。第3楽章はダイナミックなスケルツォ。ロシア人形が愛嬌たっぷりに踊ってるみたいです。

そこへ突然盛大なファンファーレ。あら、別の曲が始まったかなと思わずiPodを覗き込んでしまいました。サプライズな終楽章。活発な旋律と不思議に転調していく旋律が楽器から楽器へと受け継がれていき、最後は元気いっぱいのクライマックスです。

1960年代のカラヤン/BPOからは晩年のあのピシッとコントロールされた緻密さや推進力はさほど感じない代わりに、奔放でエネルギッシュな演奏となっています。生命力が感じられます。
posted by stonez | 2007.02.23 00:05 | Comment(8) | TrackBack(1) | 音楽 - 交響曲

ニールセン/交響曲 第4番「不滅」

お昼休みに外出したら、風に飛ばされました。路駐していたと思われるバイクや自転車も転がっている始末。ここ数日、春一番と台風がセットでやってきたかと思うようなひどい天候が続いています。

『北欧イヤー2007』は、シベリウス、グリーグときて、あと出てくるのはデンマークのカール・ニールセンくらい、ということに今更ながら気づきました。あとは、アバとか、カーディガンズとか、別の路線にいってしまうのでまずはニールセンで。交響曲第4番 Op.29「不滅」。ヘルベルト・ブロムシュテット指揮、サンフランシスコ交響楽団。

ニールセンは、シベリウスと同じ1865年生まれ。知識階級の出で神秘的な作風のシベリウスに対して、農民出身のたたき上げで率直に語りかけてくるようなニールセンと、好対照なのが面白いところ。パッと聴きは馴染みにくいけど、接しているうちに打ち解けてくるあたりは、それがロマン派ではなく現代の入り口にたたずむ音楽であることを再認識する次第。

彼はこの交響曲第4番に、いかなる時も消えることのない人間の『生』への意思を込めたらしい。そこからくる『不滅』。当時、第一次世界大戦の戦時下にあって、最初は古風な騎馬や歩兵戦だったのが、機関銃→塹壕→戦車→戦闘機と瞬く間に技術革新と殺りくがエスカレートしていった側面があり(と教育TVの高校世界史で見ました)、その恐怖や嫌悪が音楽に影響を与えたとしても不思議ありません。

4つの部分が連続して演奏される単一楽章。生命の輝きと、感情の噴出が交互に顔をのぞくようにして始まり、つかの間の安らぎ、悲壮ただよう魂の叫びをへて、再び躍動感あふれる音楽で不滅を高らかに宣言していく。もう、吠えまくる金管と、荒れ狂うように打ち鳴らされる2つのティンパニは圧巻の一言といえましょう!
posted by stonez | 2007.02.16 01:45 | Comment(13) | TrackBack(3) | 音楽 - 交響曲

チャイコフスキー/交響曲 第4番

東京の中目黒まで仕事しに行くようになって1か月。まだこの街の人気の秘訣はわかりません。やっぱり歩いて回る時間がないからなぁ。あと寒いのがネックですねぇ、なんて言ってみても、このままだと暖冬なのでウソだったというオチになりそうな。写真は中目黒の立体交差にて。奥が中目黒駅です(マウスオンで昼になります)。

さて、ブラームスの哀愁ただよう曲想が秋にぴったりなように、チャイコフスキーのあたたかい情感は冬によく合うと感じている今日この頃。チャイコフスキー作曲、交響曲第4番 ヘ短調 Op.36。ユージン・オーマンディ指揮、フィラデルフィア管弦楽団。1973年。

チャイコフスキーがやや前のめりになって、気張って作ったんじゃないかと思うほど、パワーと感情が炸裂するこの作品。それだけにそれを充分に発散させてあげるような、壮麗で濃厚なこの演奏が良く映えます。あぁ聴いたなぁという満足が得られる演奏。それが「フィラデルフィア・サウンド」、これが「オーマンディ・トーン」の真価なのでしょう。

第1楽章。金管の暗い運命の動機にはじまって、その動機を断定したところで終わる。ささやかな希望も運命に打ち消される。それはチャイコの悩み、同性愛とか結婚の失敗といった体験からなのでしょうか。第2楽章では、それによってやる気を失い脱力する感じ。でもそこに彼の憂いに満ちた流麗なメロディが花開く。オーマンディもそれを心ゆくまで堪能させてくれます。

第3楽章。さらに深刻になり酒に溺れる。と思いきやちょっと脳天気で落ち着かない様子で速いピチカート。ピチカートでも豊かにしっかり響いてくるし、そうオーボエがまた素敵。飛び入りしてくる酔っぱらいのフニャフニャ感が出てる(笑)。軍楽隊の登場は意味不明だけどそこがまた楽しい。

そんなお気楽な気の持ちようが幸いして、ハッピーエンドの終楽章。途中で顔をのぞく運命のおぞましい主題は勢いとプラス思考でカバー、という雰囲気で元気を取り戻してフィナーレです。これはチャイコの願望?とにかく、乱れることなく迫力へと導いていくオーマンディです。
posted by stonez | 2007.02.09 00:57 | Comment(6) | TrackBack(2) | 音楽 - 交響曲

グリーグ/ホルベルグ組曲

節目で分けると書く『節分』。昔の人はうまいことを言ったものです。この字の通り、私の回りでも今日が「区切りの日」となったりしています。今日、妹がワーキングホリデーでカナダへと旅立っていきましたし、うちでは息子が初めての本格的な高熱でお医者さんへ。私も去年の今日が目の手術でした。

さてこちらは没後100年という「節目」を迎えた、ノルウェーの作曲家グリーグです。弦楽オーケストラのための作品、ホルベルグ組曲 Op.40。テルエ・テンネセン指揮・ヴァイオリンソロ、ノルウェー室内管弦楽団。

曲の由来は、1884年、デンマーク文学の父と呼ばれるホルベア男爵の生誕200年記念祭のために作曲された、とあります。こちらも人の「節目」に関係がありました。この男爵が活躍した18世紀頃の古き良き宮廷時代を想像させるような、豊かであたたかいバロック調の曲想と形式です。

優しさを感じさせる快活な前奏曲。落ち着いた気分の中に、叙情豊かな北欧の雰囲気を感じるサラバンド。優雅だけど、どこか北欧神話の妖精たちが出てくるような可愛らしいガヴォット。外の厳しい寒さ、深い祈りとその中に秘められたかすかな光をみるアリア。最後のリゴードンは爽やかで軽やかな舞曲でした。

弦楽器だけを使って、優しく丁寧に紡ぎ出されていく演奏。グリーグはこのシンプルさの中に北欧の魅力を楽しませてくれます。シベリウスが壮大な自然を描いて楽しませてくれるのとは対照的で、それがまた面白いところです。
posted by stonez | 2007.02.03 23:55 | Comment(2) | TrackBack(0) | 音楽 - 管弦楽曲