J.S.バッハ/ヴァイオリン協奏曲 第2番

ここ数日でずいぶん暖かくなりました。咲き出した桜ももうじき満開、子どもを連れて出かけるのが楽しみです。写真は夕暮れ時に桜の下で。マウスオンあります。

春らしい暖かさと輝きを兼ね備えた音楽、J.S.バッハ作曲、ヴァイオリン協奏曲 第2番 ホ長調 BWV1042を聴きました。サイモン・スタンデイジ(Vl)、トレヴァー・ピノック(Cond & Cemb)、イングリッシュ・コンサート。古楽器による演奏です。

春は出会いの季節。そんな喜びのように始まる第1楽章。軽やかに弾む心と、ほんのちょっぴり見え隠れする不安。第2楽章は悲しみのアダージョ。別れの季節でもある春のもう一つの表情。第3楽章は春の息吹。色鮮やかに緑が芽吹き、小川は雪解け水でまばゆいほどキラキラしている。そんなことを思い描きながら聴きました。

それにしても最初の数秒間だけで十分わかるほど、緊密で弾力のあるアンサンブル。これがピノックをはじめイングリッシュ・コンサートの熟練と一体感を感じさせるところ。スタンデイジもその一体感の中にあって、まるでコンマスがソロパートをやってるみたい。技巧もさわやかです。

古楽器は演奏がより難しいそうですが、この演奏からはそう聴こえてきません。
posted by stonez | 2007.03.29 00:56 | Comment(4) | TrackBack(1) | 音楽 - 協奏曲

メンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲

見ましたよ世界フィギュア・女子フリー。逆転につぐ逆転は、日本勢ワンツー独占という最高の結果に。こういう展開は見応えありますね。ハラハラします。安藤選手の優勝は、きっといろんな苦労を経験して大人になった証なんだろうなと思います。僅差でしたが真央ちゃんの驚異の逆転にも感動しました。妻は隣で涙してました。この先楽しみです。男女ともです。

そういうわけで安藤選手がフリーで踊った曲。メンデルスゾーン作曲、ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 Op.64。いわゆるメンコン。私が聴いているのは、ジョシュア・ベル(Vl)、サー・ネヴィル・マリナー指揮、アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ 。長い(笑)

メンデルスゾーンは好きだし、ベートーヴェンやブラームスと並んで『3大ヴァイオリン協奏曲』といわれるほどの傑作というのは知ってますが、私にはちょっと苦手でした。なんというか、むせび泣き過ぎるほどのヴァイオリンが、子ども心に重かったんだと思います。でも意外に感じながらもスケートのテーマとして聴いたら良かった。こんなにも情熱的だったのかと。安藤選手自身の選曲でしょうか。

そんな誰もが耳にしているはずの、あのヴァイオリンではじまる第1楽章ですが、ジョシュア・ベルの若々しい演奏は、すすり泣きの重苦しさが取り除かれてて聴きやすい。切れ目なく続く3つの楽章すべて、技巧と情感のバランスがよく劇的な盛り上がりもバッチリ、メンデルスゾーンの魅力再認識でした。
posted by stonez | 2007.03.25 09:27 | Comment(4) | TrackBack(1) | 音楽 - 協奏曲

エルガー/チェロ協奏曲

子どもができて変わったこと、そのひとつは休日の過ごしかたです。朝早くにおこされます。せっかくなので公園に行きたいけど近くになく、車で行っても駐車場がない、結局家にこもりがち。それでは寂しかろうということで昨日は出かけてきました。梅が咲いていました。マウスオンは朝に夜に賑やかなわが子です(笑)

『北欧イヤー2007』ですが「北欧=北ヨーロッパ」という広い見方をすると、イギリスも入るようです。というわけでさっそく。エルガー作曲、チェロ協奏曲 ホ短調 op.85。ジャクリーヌ・デュ・プレ(Vc)、サー・ジョン・バルビローリ指揮、ロンドン交響楽団 。意外にも今回が初エルガーでした。

エルガー最後の傑作。イギリスの片田舎の紳士みたいに、寡黙でどこか寂しげで哀愁を帯びた音楽。彼の音楽を聴くとシャーロック・ホームズの世界が頭をよぎりますが、このコンチェルトも特に第3楽章など、そんな古き良きイギリスらしさがいっぱいです。ステッキ、パイプ、ロングコート、馬車、石畳、荒野、ガス灯。。。

デュ・プレのチェロはうわさ通り。彼女が演奏すると、まるでそれは彼女の音楽であるかのよう。ひとことで言うなら『渾身』でしょう。第1楽章冒頭のモノローグから見事な弾きっぷりで、それが終楽章にまた帰ってきますが、物悲しさを越えて悲痛ですらあります。彼女の人生そのもののようにインパクト大。2楽章の早業も圧巻。サー・ジョンはそれに心で応える。総奏のときに音が割れる(笑)、すさまじい気迫です。
posted by stonez | 2007.03.22 01:18 | Comment(10) | TrackBack(4) | 音楽 - 協奏曲

フォーレ/ピアノ五重奏曲 第1番

パッケージのバーコードをセンサーにかざすと数十秒の試聴ができる、という通信機器のあるCD屋さんが増えていますが、あれはいいですね。迷った時はもちろん、未知の音楽に触れるチャンスにもなります。

たまたまそこで試聴して即座にレジに持っていったCDがあります。フォーレのピアノ五重奏曲集です。まずはその中から第1番を取り出してみました。演奏はフィリップ・コラールのピアノと、パレナン四重奏団。

こんなにも美しい音楽を私はまだ他に聴いたことがありません。清らかな水が湧き出る泉のような音楽。そしてそれらがつくりだす儚くも幸せに満ちた世界。いい作品に巡り逢えました。あまり知られておらず演奏機会が少ないとのこと。残念です。

第1楽章。ひときわ輝くピアノのアルペジオ、それに弦が導き出されていく。神秘的で澄んだコラールの音色。第2楽章は祈りの音楽。弦がトゥッティで描いていくメロディの美しさ。そしてピアノとチェロの対話の天国的なこと。第3楽章は不思議な浮遊感。自由で伸びやかな弦にピアノのアクセント。どこまでも続きそうな幸せな音楽。

色彩が豊かな上に深い精神世界に支えられたこの作風からは、フォーレがドイツロマン派音楽と、印象派の音楽をつなぐ架け橋であることを感じさせます。フォーレを得意とするコラールとパレナンSQの、感情までも渾然一体となった響きに惹かれてやみません。
posted by stonez | 2007.03.16 22:35 | Comment(6) | TrackBack(2) | 音楽 - 室内楽曲

ヤナーチェク/シンフォニエッタ

毎年恒例の悩みのタネ、確定申告が終わりました。この目の上のタンコブが消えたらまさに春到来の証。しばらくは読みたい本を読み、聴きたい音楽はすでに聴いてますが(笑)、後回しになっていたあれこれに手を付けたいと思います。

そんなわけで今の気分で選びました。ヤナーチェク作曲、シンフォニエッタ。カレル・アンチェル指揮、チェコ・フィルハーモニー管弦楽団。ご当地の演奏。

まるでパッと視界が開けたような解放感。まるで鼻詰まりがスッと治まったみたいな爽快感。以前みなとみらいホールで聴いたときに、ステージの向こう側P席最前列にズラリと並んだ総勢14人(たぶん)のトランペットが壮観だったのを思い出します。金管系の方々はさぞかし気持ち良かろうと思う次第です。

そのトランペット別動隊によるファンファーレに始まり、最後もファンファーレで終わる。堂々としていてとても鮮烈。その間の2、3、4楽章では別動隊はお休み。大胆な指示ですが、そこはオーケストラの出番。せせこましくコミカルにうごめいたかと思えば、怪しげなオーラにつつまれた安らぎの調べが響きわたる。それもつかの間、またせわしない雑踏に消えてゆく。この徹底した色彩的変化が面白いところ。

アンチェルは間違いなく、チェコ・フィルの一時代を築いた立役者なわけですが、その一方で両親と妻子の命をナチスに奪われるという悲劇に遭った被害者でもあるわけで、どうもそれが頭をよぎります。非常に冷静かつ明晰な音づくりの中にも、はっきり感じ取れる緊張感がリアルです。
posted by stonez | 2007.03.14 00:40 | Comment(4) | TrackBack(3) | 音楽 - 管弦楽曲

モーツァルト/ヴァイオリン協奏曲 第2番

先日、初めて横浜の三渓園に行ってきました。梅はまだでしたが、平日で空いていたので家族でゆっくりできました。写真は鶴翔閣。復元ですが100年前の邸宅です。実は相当贅沢に造られていますが、それを感じさせないセンスの良さに共感します。マウスオンは咲きそろっていた雪柳。

うららかな日光をいっぱい浴びて、帰り道で聴いた一曲。モーツァルト作曲、ヴァイオリン協奏曲第2番 ニ長調 K.211。ヴァイオリンはシギスヴァルト・クイケン、ラ・プティット・バンド。

多作なモーツァルトにしては珍しく、公式には5曲しかないとされるヴァイオリン協奏曲。しかも第2番から第5番まではすべて19歳の時の作品なのに、当たり前のようにそれぞれ違った毛並をもった名作揃い。どれが好きかと聞かれたら迷いますが、一番多く聴いているといったら恐らくこの2番でしょう。気ままに、豊かに、優しく、心地よく。だから自然と手がのびる。私には外せない音楽です。

堂々としていて豊かなハーモニー。それでいてウキウキしてくる楽しさもあわせもった第1楽章。そして優雅なアリアのような第2楽章。たっぷり歌って、休止が入って、確かめるようにまた歌う。素敵なカンタービレ。終楽章はロンド。テンポを保ちながらゆったり贅沢な時間が過ぎていきます。

クイケンをはじめ、ラ・プティット・バンドの古楽器演奏は繊細でありながら軽妙。穏やかな表情をもったこの作品をさらりと描き出していて、絶妙に相性が良いです。またクイケンのソロですが、なんか肩の力が抜けていてそれが心地良いそよ風みたいなのです。
posted by stonez | 2007.03.11 05:01 | Comment(4) | TrackBack(0) | 音楽 - 協奏曲

アダン/バレエ「ジゼル」

ついに台風まで前倒しかと思いました。職場を出て十歩進んだら風呂に浸かった気分でした。

もう何年も前になりますが、一度だけバレエを見に行ったことがあります。それは「ジゼル」という名前でストーリーの半分が墓場にお化けという、ちょっと変わった作品です。その記憶が強すぎたか音楽はすっかり忘れてました。

そんな折、昨日の教育テレビの芸術劇場でジゼルが放送されることを知り、待ってましたとばかり目を皿にして楽しみました。

全2幕。かよわい村娘ジゼルはアルブレヒトと恋仲になるが、彼は実は貴族でしかも婚約者までいる昼メロ仕立ての色男。同じくジゼルに想いをよせる森男のヒラリオンは、まあ当然のように面白くないわけで、その秘密をみんなを集めてバッサリ暴いたら、ショックのあまりジゼルは死んでしまった。。。これが第1幕。

これで一応完結ですが、このあとが例の夜の墓場。第2幕。ジゼルをはじめ、未婚で世を去った精霊ウィリーたちの世界。いいところなしのヒラリオンは許しを請いに来たのに死の沼に落とされる始末。でもアルブレヒトはジゼルの愛によって助けられたのでした。

さすがに音楽はいい雰囲気ですね。広大でのどかな山村、ちょっと格式ばった田舎貴族などぴったり。お墓ではちょっと陽気すぎる気がしましたが、そこはバレエに圧倒されます。コジョカルの細い体に強靱なスプリングが埋め込まれたような張りつめた演技は鮮烈、あとはお化けの浮遊感とシンクロした動きは、もう異様(笑)

でも一番のインパクトは、第1幕の赤茶けた舞台と、第2幕の寒々しいまでの青。この色彩、コントラストの違いっぷりでしょう。作曲したアダンをはじめ、脚本から初演まで、さすがはバレエの国フランスですね。

■主な配役
ジゼル:アリーナ・コジョカル(英国ロイヤルバレエ団プリンシパル)
アルブレヒト:マニュエル・ルグリ(パリオペラ座バレエ団エトワール)
ヒラリオン:木村和夫(東京バレエ団)

■演奏・収録
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
2006年8月 東京文化会館、NHK
posted by stonez | 2007.03.05 23:28 | Comment(4) | TrackBack(0) | 音楽 - オペラ・声楽