ディーリアス/夏の歌

突っ走ってきたプロジェクトが今日をもって終わりました。まあ正確には契約の関係でギリギリで終了(脱出?)という感じでしょうか。カットオーバーを見届けられないのは残念な気もしますが、追い立てられる環境に身を置いた経験を今後の糧にしたいですね。

そんなわけで即席の送別会を開いてもらいました。いろいろと不満をぶつけたりぶつけられたりとありましたが、それは誰もがいい結果を模索してのこと。こうして終わってみると、すっきりした中にもなんだか寂しい気分があります。ディーリアスの「夏の歌」を聴いたとき、これは今の気分だなあと思いました。まぶしくて活気に満ちた夏をいとおしむような気分。

草花が風に揺れる様子も、潮の満ち引きも、空をゆくカモメも、そして抜けるような青空も、どれもが交わることなく時とともにゆるやかに流れていく。悠然と風を切って進むわけでなく、ゆったりとして自然とともにあり、その高みから見下ろす自分。ディーリアスのこの音楽の懐かしさ、もしかしたら心象風景として感じるものが日本人に近いのかもしれないと、そんな気がしました。

若い頃に自由奔放に生きてきた結果なのか、視力と四肢の自由を失ったディーリアスが感じたこの風景を、サー・ジョン・バルビローリ指揮、ロンドン交響楽団で聴いています。あたたかく、優しさに満ちたバルビローリならではの音楽です。年を重ねたらどんな風に聞こえてくるのか楽しみな作品です。
posted by stonez | 2007.07.31 23:52 | Comment(2) | TrackBack(1) | 音楽 - 管弦楽曲

ドビュッシー/牧神の午後への前奏曲

おっと、そういえば連続出勤中だったのを忘れてました。慌ただしい日々が過ぎ去り今日から代休4連休。プレ夏休みです。仕事は忘れて体を休めたいと思います。写真は午後の公園にて。

すっきりしないお天気の午後にはこちら。ドビュッシー作曲、牧神の午後への前奏曲。ユージン・オーマンディ指揮、フィラデルフィア管弦楽団の演奏にて。

フルートとハープの気だるくも神秘的な旋律で始まるこの音楽は、寄せては返す波のように揺らめく官能的な世界。起きるに起きられず、二日酔いのせいでベッドでうだうだまどろんでいる、そんな休日の気分にも似ています。

ここでの主役はフルートをはじめとした木管楽器ですが、オーマンディはその独特のとらえ所がないくらいの浮遊感を十分に感じさせてくれる演奏です。20世紀の音楽への分岐点に立つ「前奏曲」。最近こういう音楽もいいなと思います。

この作品はドビュッシーが友人の詩人マラルメの詩「牧神の午後」に寄せて作曲されたもの。続いて間奏曲、終曲と作られるはずだったのが前奏曲だけで詩の世界が十分に完結して落ち着いたということですが。
posted by stonez | 2007.07.21 16:48 | Comment(10) | TrackBack(6) | 音楽 - 管弦楽曲

ベートーヴェン/弦楽四重奏曲 第5番

ここしばらくは週末の夜間作業の比重が高く、でも平日の比重はさらに高く、やってるうちになんだか分からなくなったりしますが。とにかく代休とって家族と過ごしています。最近いたずらっ子のジュニアは「いないいないばぁ」がお気に入りなのでマウスオンは。。。(笑)

今日は、少しづつデザインの違った素朴な音の小箱たちを開けていくような、そんな音楽にしてみました。ベートーヴェン作曲、弦楽四重奏曲第5番 イ長調 Op.18-5。1977年のスメタナ四重奏団。

快活な第1楽章は程よくでてくるユニゾンや、ヴァイオリンが音階を駆け上がりながら一方ではチェロやビオラが下降していったりと、メロディよりも音符遊びの趣が印象的。次のメヌエットはしなやかに、少しクセのあるトリオがアクセント。シンプルな変奏曲は可愛らしく形を変えていきます。フィナーレはビオラを先頭に追いかけっこ、でもコラールのような穏やかな旋律がやはりアクセントです。

聴き終えてみると、なんとなくいろいろな小品を楽しんだ気になります。頭をからっぽにしてなんとなく聞いていても心地よい、そんなほのぼのとした若い頃のベートーヴェンの作品、スメタナSQのすがすがしい演奏でした。
posted by stonez | 2007.07.13 00:44 | Comment(4) | TrackBack(0) | 音楽 - 室内楽曲

デュカ/交響曲

今日で14日連続出勤の6日目という、学生バイト並みの生活をしてますが、今晩は中間のクライマックス、徹夜作業が控えています。真っ昼間にビール飲んでこれから仮眠をとるところです。

こんな時期なので、ちょっとテンション高めな音楽を聴いて、いやがおうにも気持ちを盛り上げていきたいところ。今回は私の中で今年一番の掘り出し物といえるかもしれないこの曲を。あの「魔法使いの弟子」でおなじみポール・デュカ作曲、交響曲 ハ長調。ジャン・フルネ指揮、オランダ放送フィルハーモニー管弦楽団。

これは理屈抜きにカッコいい!、演奏もまた素晴らしい!
スタイルは伝統的な交響曲でいながら、中身はまったくスタイリッシュ。フランスらしいまばゆい光彩に空間的な広がりを感じる第1楽章や緊張と興奮の第3楽章には圧倒されるし、気品がある第2楽章はどこか19世紀末の退廃的ムードがただよっていて聴き応え十分。もっと聴かれてもいいと思います。

日本で指揮活動を締めくくって世界を驚かせたフランスの巨匠フルネですが、重心のしっかりしたきらびやかな音づくり、そして鳴りっぷりのよい金管が奥行きをつくり、弦楽器がそこを鮮やかに彩っていく、そんなスケールの大きさが魅力です。

ところで、「デュカス」という呼び方でも知られる彼の名前ですが、こちらの根拠に納得しつつ「デュカ」としました。

おやすみなさい。。。
posted by stonez | 2007.07.07 14:11 | Comment(6) | TrackBack(1) | 音楽 - 交響曲

グローフェ/組曲「グランド・キャニオン」

マル3年使ったiPodのバッテリーがついにへばり、電池交換してきました。6,800円也。高いなと思いつつ手渡されたのは、なんとピカピカの新品。本体をこじ開けてチマチマ電池交換ではなく、本体ごとごっそり交換というのはアメリカらしくてワイルドですなー。チップは中古だそうですがちょっと嬉しいサプライズでした。

そのワイルドなアメリカの、ワイルド中のワイルドといえば真っ先に浮かぶのは、テレビで見たあの広大な赤い岩山&砂漠。というわけでグローフェ作曲、組曲「グランド・キャニオン」です。アンタル・ドラティ指揮、デトロイト交響楽団。

これはもう音で描く大パノラマ。メロディの節々からはアメリカの匂いがしてきます。光り輝く感動の夜明けに始まり、色彩的な赤い砂漠、のどかを通り越して疾走感すらあるロバの隊列、そして雄大なサンセットで一日の終わり。でもここで終わらないのがアメリカン(笑)、極めつけは疾風怒涛の雷鳴と豪雨。これを通勤ラッシュで聴いてたのでリアルな臨場感を体感しました(音漏れはしてません!)。

ドラティ盤はさすが名盤といわれるだけあってスケールが大きく細部までよく鳴らしてます。まだ見ぬグランドキャニオンに、なんだかちょっとだけ行ったような気になります。でもできればヘッドフォンじゃなくオーディオ大音量で楽しみたいところです。まあこれを生で聴ければ言うことなしですが。
posted by stonez | 2007.07.03 00:39 | Comment(8) | TrackBack(0) | 音楽 - 管弦楽曲