そんなわけで即席の送別会を開いてもらいました。いろいろと不満をぶつけたりぶつけられたりとありましたが、それは誰もがいい結果を模索してのこと。こうして終わってみると、すっきりした中にもなんだか寂しい気分があります。ディーリアスの「夏の歌」を聴いたとき、これは今の気分だなあと思いました。まぶしくて活気に満ちた夏をいとおしむような気分。
草花が風に揺れる様子も、潮の満ち引きも、空をゆくカモメも、そして抜けるような青空も、どれもが交わることなく時とともにゆるやかに流れていく。悠然と風を切って進むわけでなく、ゆったりとして自然とともにあり、その高みから見下ろす自分。ディーリアスのこの音楽の懐かしさ、もしかしたら心象風景として感じるものが日本人に近いのかもしれないと、そんな気がしました。
若い頃に自由奔放に生きてきた結果なのか、視力と四肢の自由を失ったディーリアスが感じたこの風景を、サー・ジョン・バルビローリ指揮、ロンドン交響楽団で聴いています。あたたかく、優しさに満ちたバルビローリならではの音楽です。年を重ねたらどんな風に聞こえてくるのか楽しみな作品です。
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