ワーグナー/楽劇「ニーベルングの指環」〜第一夜「ワルキューレ」

写真は群馬の実家での風景ですが、そんなこんなで妻と息子を実家に残して仕事が始まった2日間。そんな時にしかできないことシリーズ1日目はワーグナーの楽劇「ニーベルングの指環」の序夜を楽しみましたが、となると2日目はその次になるわけで、つづいて第一夜の「ワルキューレ」です。今回もレヴァイン/METのライヴDVDです。

お話は、生き別れていたヴォータン(神々の長)の双子の息子ジークムントと娘ジークリンデが出会って愛し合い駆け落ち(ここでジークフリートを身ごもる)。でもジークリンデの夫はジークムントの敵フンディングということで決闘することに。ヴォータンはジークムントを助けたかったが本妻フリッカの猛反対で見殺しにせざるを得なくなる。彼の愛娘でワルキューレの一人ブリュンヒルデは父の本心を見抜いてこの兄妹を助けようとするも、彼女のこの勝手な判断がヴォータンの怒りを買い、罰として神性を奪われ炎に包まれ長い眠りにつく・・・。こんな感じでしょうか。

前作「ラインの黄金」のヴォータンを取り巻くその後というわけで、指環は登場しませんが、序夜よりもさらにお話が変化に富んでいて、しかもあの有名な旋律をはじめそうそうたる音楽のおかげで楽しめた4時間(!)でした。ジークムントとジークリンデは近親相姦ですし、彼女の方は不倫でもあるわけでちょっと昼メロ的ですけど、あの神秘的な流れの中で純粋で美しく見えてしまうのが面白いところ。ヴォータンのブリュンヒルデに対する父性愛もそうですが、人間の様々な情感が、限界ギリギリの歌と、表情からも語りかけてくるような演技、そして迫力のオーケストラによってスケールいっぱいに描かれていく印象でした。

そういえば敵役フンディングはどこかで見た気がするなと思ったら、同じくMETつながりで魔笛のザラストロをやっていたクルト・モルという役者さんでした。いろんな顔をお持ちですね。こちらも存在感がありました。

ところで、このワーグナーの巨大な楽劇は、構想から完成まで実に26年もの歳月を費やした一大叙事詩的オペラというわけで、上演するだけでも4晩を要する超大作。なので2晩しか持っていない今回は、次の第2夜「ジークフリート」と最後の第3夜「神々の黄昏」のお話はおあずけということで。。。DVDも高価ですんで。

■主な配役
ヴォータン・・・ジェイムズ・モリス(Bs-Br)
ジークムント・・・ゲイリー・レイクス(T)
ジークリンデ・・・ジェシー・ノーマン(S)
フンディング・・・クルト・モル(B)
ブリュンヒルデ・・・ヒルデガルト・ベーレンス(S)
フリッカ・・・クリスタ・ルートヴィヒ(Ms)

■演奏・制作
メトロポリタン歌劇場管弦楽団
指揮:ジェイムズ・レヴァイン
演出:オットー・シェンク
制作:1989年4月 メトロポリタン歌劇場(ライヴ収録)
posted by stonez | 2007.08.26 23:49 | Comment(6) | TrackBack(0) | 音楽 - オペラ・声楽

ワーグナー/楽劇「ニーベルングの指環」〜序夜「ラインの黄金」

夏休みの後半は実家に行ってきました。息子とは普段いつも一緒なのであまり気づきませんが、また大きくなったね、なんて帰って言われるたびに子どもの成長を実感します。写真は群馬の月夜野びーどろパークにて。飲んだあとのグラスはお持ち帰りできます。

私は一足先にお休みが終わり、妻と息子を実家にあずけて出勤していたのでその間の2晩は久々に一人だけの時間。これは、こういう時にしかできないことをすべし。というわけで自宅にこもって初ワーグナーを楽しむことにしました。取っ掛かりがいきなり長編「リング」なんて大丈夫かなと思いましたが。。。

というわけでまずはこちら。ワーグナーの楽劇「ニーベルングの指環」から、序夜「ラインの黄金」。レヴァイン/METによるライブから。彼らのDVDは比較的リーズナブルで演出もオーソドックスだそうで、入り口には良さそうです。

ライン川の底、ラインの乙女たちが守る黄金を奪って、世界を支配できる呪われた指環をつくったアルベリヒと、それをめぐるヴォータンやローゲをはじめとする神々や巨人族、小人族の争いが語られるお話。壮大な物語のプロローグ。

ゆるやかに常に流れていく壮大な音楽に、神秘的なストーリーと舞台演出という非現実ぶりが徹底されていて、すっかり日常を忘れさせてくれます。それでいながら神々が掟にしばられたりと意外と人間味や親しみを感じる部分もあったり。とにかく時間をぜいたくに使ってつくられた、独特の宇宙を堪能しました。

ヴォータン役のジェイムズ・モリスの存在感をはじめローゲのくせ者ぶり、美しいラインの乙女たちといった、豪華な歌手陣がくり広げる一つ一つの演技や歌声、表情には存在感がありました。そうこう楽しんでいる間に、だんだんワーグナーの虜になっていくのでしょうか(^^ゞ

■主な配役
ヴォータン・・・ジェイムズ・モリス(Bs-Br)
ローゲ・・・ジークフリート・イェルザレム(T)
アルベリヒ・・・エッケハルト・ヴラシハ(Br)
フリッカ・・・クリスタ・ルートヴィヒ(Ms)
エルダ・・・ビルギッタ・スヴェンデン(A)

■演奏・制作
メトロポリタン歌劇場管弦楽団
指揮:ジェイムズ・レヴァイン
演出:オットー・シェンク
制作:1990年3月、4月 メトロポリタン歌劇場(ライヴ収録)
posted by stonez | 2007.08.25 15:19 | Comment(2) | TrackBack(0) | 音楽 - オペラ・声楽

シューマン/ピアノ三重奏曲 第3番

ずいぶんご無沙汰してしまいました。何から書こうかという感じですが、まずは今月から新天地で仕事しています。といっても以前お世話になった東京・五反田での開発の仕事。もうひとつは息子が熱を出しました。しかも9日間。さすがにバタバタした日々でした。扁桃腺炎という近頃流行りの症状だそうです。そんなわけで写真は五反田の夕景、そして息子です(^^ゞ

さて、このところ聴いている音楽から。シューマン作曲、ピアノ三重奏曲第3番 ト短調 Op.110。演奏はボザール・トリオ。

シューマンが精神を病むことになる、晩年にさしかかった時期に作曲されただけあって内省的でドラマティック。楽章が進むにつれて増していく緊張感も聴きものです。不穏な雰囲気をもって始まる充実した第1楽章。穏やかさの中を突然切り裂くような動揺が印象的な第2楽章。激情をもって疾走する第3楽章と、間髪入れずに力強く開始され、喜びや苦悩、黄昏が次々に表情を変えて現れる劇的な第4楽章。

このボザール・トリオの室内楽2枚組、曲目も演奏も充実していてお気に入りなのですが、残念な点が一つだけ。収録時間の関係でしょうが、このピアノトリオだけ2楽章までと3楽章以降が別々のディスクになってしまっています。私のようにリッピングしてiPodで楽しむ分には問題ないのですが・・・。持続する緊張感が魅力の作品なだけに、それだけが惜しいところです。

夏休みの後半はようやく行動開始、群馬と栃木に帰省してきます!
posted by stonez | 2007.08.17 01:19 | Comment(4) | TrackBack(1) | 音楽 - 室内楽曲

映画「魔笛」を見てきました

久しぶりに映画館に行ってきました。ケネス・ブラナー監督&脚本による映画「魔笛」を大画面とダイナミック・サウンドで楽しみました。

もちろん「魔笛」といえば、シカネーダーが台本を書きモーツァルトが作曲したあの傑作オペラですが、舞台はおとぎの国から第1次世界大戦時のヨーロッパに置き換えられリアリティのある設定に。このあたりはロッシーニが童話シンデレラをオペラ化するにあたって当時の時代背景に合った舞台設定に変更したのとちょっと似ています。

歌やセリフはストーリーに合わせて多少アレンジされた英語ですが、全編に渡ってオペラの音楽が流れていることで、そこはやはりオペラ「魔笛」の世界。役者さんたちは現役のオペラ歌手が中心で当然ながら見事な歌声でしたし、映画ならではの迫力の音響やスピーディで自在なカメラワーク・場面展開は、めまぐるしく場面が変わるこのオペラにぴったり。

切迫した開戦の場面で軍楽隊が行進しながら序曲を弾いたり、夜の女王が戦車の上に乗って出てきたり、パパゲーノもそうですが笑いのポイントもしっかりあって。夜の女王の口元アップは微妙ですが(笑)。ザラストロが喝采を浴びながら登場する場面、それから一番最後の場面はオペラにはないちょっとした演出など、見ていてジーンときました。エンディングロールで再び流れた序曲がすごく感動的でした。(演奏はジェイムズ・ コンロン指揮、ヨーロッパ室内管弦楽団)

そういえば、歌の途中で「愛」が「平和」に置き換わってしまって、おや?と感じたところがありましたが、もともと原作には荒唐無稽なところがあるわけで、気にし始めたらキリがないことも確かですね。

とにかくオペラ「魔笛」の入り口としても、それを映画料金で気軽に楽しめるところもいいですね。
posted by stonez | 2007.08.04 15:52 | Comment(8) | TrackBack(1) | いろいろ

第1回オペラ・アクターズ公演「道化師」「ジャンニ・スキッキ」

<日時・場所>
 2007年8月3日(金)
 滝野川会館 大ホール

<演奏>
 指揮:飯坂純
 演出:細岡雅哉
 エレクトーン:山木亜美、柿崎俊也
 出演:オペラ・アクターズほか

<演目>
 レオンカヴァッロ/歌劇「道化師」
 プッチーニ/歌劇「ジャンニ・スキッキ」

今日はオペラを楽しんできました。演目は、さほど時間を必要としない悲劇と喜劇の傑作を2つ。レオンカヴァッロの「道化師」とプッチーニの「ジャンニ・スキッキ」です。

まずは、人々の生活感を楽しみつつ衝撃的な殺人シーンで幕となる「道化師」から。「せむしの道化役者」ことトニオの長い前口上を見せられ最初からいきなり重たい気分になりますが、音楽は劇的でゴージャス、胸騒ぎと緊張感がずっと続いていくオペラでした。そういうわけで、こまごました笑いはあるものの気付いたら目を見開いて前のめりに(笑)。座長カニオの悲痛な「衣裳をつけろ」をはじめ迫真の演技、そして可憐でおどけた妻ネッダは特に印象的でした。

お次は「ジャンニ・スキッキ」。と思いきや、なんとここでショートコントが。オペラのテーマでもある莫大な遺産を遺す老人の最期を日本語で見せて、本編にスムーズに導入しようという粋な心遣い。ついでに笑わせてもらいました。

そして本編。まあ現代でもさして変わらぬ、遺産相続にまつわるゴタゴタ話をおもしろおかしく描いているわけですが、策士ジャンニ・スキッキの娘ラウレッタが、ひとたびあの名アリア「私の大好きなお父さま」を歌った瞬間に舞台ばかりか客席の空気まで一変させてしまうという、まさにオペラの魔法をこの目で見たのです。いや感動しました。とにかく演じている歌い手さんたちが真剣に笑わせてくれる楽しい舞台でした。

今回の公演では、指揮者と2名のエレクトーン奏者による演奏ということで盛り上がりはどうかなと思いましたが、なかなか豊かで美しい音色だったと思います。
posted by stonez | 2007.08.03 23:50 | Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽 - コンサート