
今回(2007-2008)は尾高忠明さん指揮、東京フィルハーモニー交響楽団による、レスピーギの交響詩「ローマの松」から第4部「アッピア街道の松」でしたが、さらに高揚感を増した熱い演奏だったのと、バンダから鳴り響くトランペットが新しい年を告げるファンファーレに聞こえ、スリリングかつ寸分の狂いもなくカウントダウンを終えたことにかなり興奮しました。これを体感したことで、レスピーギの新たな魅力を知ってしまった気がします。
この交響詩「ローマの松」、そして「ローマの噴水」や「ローマの祭り」と合わせた、いわゆるローマ三部作はもっぱらリッカルド・ムーティ指揮、フィラデルフィア管弦楽団で聴きます。上品にして絢爛豪華な演奏がたまりません。強いて欠点を挙げろと言われたら、あまりのダイナミックレンジの広さに電車の中では聴き取れなかったり、一方で音漏れしてしまうというくらいのものでしょうか。さすがムーティ、そしてレスピーギ自身が実際に指揮した由緒あるオーケストラだけのことはあります。
第1部「ボルジア荘の松」では元気いっぱいに飛び回る子供たちが、第2部「カタコンブ付近の松」になると一転して迫害されたキリスト教徒の悲痛な叫びが、第3部「ジャニコロの松」では美しくも物寂しい月光の夜が、そして第4部「アッピア街道の松」では遠くで亡霊のように聞こえる足音に、やがて光りが差し勇壮なローマ軍の行進としてまさに目の前を通りすぎようとする光景が、立て続けに見えんばかり。歴史の生き証人こと「松」に自分がなった気分です(笑)
下の写真は数年前、新婚旅行で訪れたローマでの1コマです。テベレ川にかかるヴィットリオ・エマヌエレ2世橋(たぶん)。そのはるか奥の方には、もしかしたら歴史を見守ってきた「松」が写ってるかもしれません。。
