
さて猛暑は小休止、ここ数日は不安定な天気が続いています。写真は「涼」のイメージにしてみましたが、聴いているのも涼しげな音楽です。レスピーギが、音楽院の教授をしていたときに発掘した16世紀頃のリュート曲集をアレンジしたという、リュートのための古風な舞曲とアリアです。全三部作の組曲の中から、今回は第1組曲を、ネヴィル・マリナー指揮/ロスアンジェルス室内管弦楽団の録音で。
すがすがしく軽やかなバロック風の曲調が心地よいです。快活な旋律の中にも、哀愁を帯びた旋律の中にもただよう気品がいいですね。リュートはギターのご先祖様ともいえる発弦楽器で素朴で物静かな音色でしたので、管弦楽にアレンジされたこの組曲のきらびやかな美しさは、ローマ三部作で魅せてくれたレスピーギ流の色彩豊かなオーケストレーションの賜物でしょう。

それから、いきいきした爽快な曲と内向的な曲との対比が鮮やかで、強弱やテンポが変化に富んでいます。このあたりは小編成を得意とするマリナーの卓越したコントロールも利いていて、きびきびと歯切れの良い上品な演奏を聴かせてくれます。オーケストレーションだけにとどまらない、レスピーギの選曲と曲の組み合わせ方もまた見事です。
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