<日時・場所>

2008年9月30日(火)
浜離宮朝日ホール(東京)
<曲目>
モーツァルト/弦楽四重奏曲第16番変ホ長調 K.428
<ハイドン・セット第3番>
ラヴェル/弦楽四重奏曲ヘ長調
ドヴォルザーク/弦楽四重奏曲第14番
変イ長調 Op.105
(アンコール)
<演奏>
ハーゲン弦楽四重奏団
モーツァルトの最初の一音を聞いた瞬間に思わず目を見開きました(笑)。絹糸のように繊細ながら、豊かで色彩に富んだ音色。ただただ美しいの一言。適度なレガートと強弱のメリハリを大胆につけた演奏には圧倒されるばかりです。アンダンテでのしなやかさと、メヌエットの快活さ、そして彼らの熱演もひっくるめてこの静と動の対比は鮮烈でした。
そして次はいつか聴きたいと思っていたラヴェルです。想像以上に楽しいものでした。奏者は4人のはずなのに、それ以上に感じられるほど実に多種多様な音が作り出されていたし、大胆なピチカートや随所に顔を見せる怪奇的な旋律には目を見張るばかり。フォルテでのテンポを上げつつたたみ掛けるパッセージにもただ息をのむばかりでした。
さて、こちらもひそかに期待していた一曲。休憩を挟んでのドヴォルザークです。メロディの饒舌さは第12番「アメリカ」に譲るかもしれませんが、ドヴォルザークらしい美しいメロディと技巧的なフレーズがバランスよく散りばめられていて、かなり聴き応え十分。こちらを休憩後に持ってきた理由が分かったような、エネルギッシュで充実した作品・演奏でした。
もともとハーゲン兄弟がベースになっているだけに(メンバー交代した2nd以外)親密で息の合った(しかも顔そっくり・笑)演奏は絶品モノ。1stのルーカス氏の迫真の演奏はライブならではのものでしょう。アンコールにベートーヴェンのセリオーソの第1楽章をやってくれましたが、怒涛の迫力に圧倒されっぱなしでした(笑)。室内楽がレンジの広い興奮できる音楽だったと知ることが出来たのは、新たな発見でした。