ブルックナー/交響曲 第5番

雲ひとつない青空、でも今日はこれまででとりわけ寒さを感じる一日でした。これからどんどん冬らしい気候になっていくわけですね。でも屋外で仕事をされている方々のご苦労を考えると、室内にいる私は恵まれています。このところ帰りが遅くて疲れ気味、なんて口が裂けても言えません!

さて今回は、当ブログ初登場のブルックナーです。交響曲第5番 変ロ長調 WAB.105。演奏はギュンター・ヴァント指揮/北ドイツ放送交響楽団です。ヴァント/NDRの演奏はベートーヴェンの交響曲CDを聴いて興味を持ちましたが、彼にとってのブルックナーは特別なレパートリーだったとのこと。聴いていると、まさしく「粛々とブルックナーの作品を構築していく」様子が伝わってきます。

その作曲家ブルックナーですが、私の中では「謙虚な人」というイメージです。他人の批評をとても気にしたそうで、そこからくる多数の「改訂版」の問題はややこしいことになってますし、30代後半になっても音楽の通信教育を受けていたほどで「万年生徒」なんてニックネームまであります。しかも、あまりに苦労人すぎて作曲してもなかなか発表せず、ようやく書いた交響曲に「0番」などとつけるに至っては謙遜にもほどがあります。と本に書いてありました(笑)

でも、彼の残した交響曲はそんな逸話を吹き飛ばすほど堂々とした壮大なもの。まだ最近聴き始めたばかりではありますが、そう感じました。この交響曲第5番は「版」の問題もあまりなく(今回のヴァント盤は「原典版」)、ブルックナーらしさがよく出た音楽といわれているようで、それは西欧の歴史ある巨大な建築物そのものです。

第1楽章からそれは始まります。序奏こそ霧のような静けさですが、やがてくる荘厳な響き。巨大なスケールの大聖堂に、繊細な装飾が整然と描かれていくようです。第2楽章も甘美さではなく、厳粛さが健在なアダージョ。つづく第3楽章は軽快な中間部をはさんで、さらに勢いを増したスケルツォ。フィナーレは主題が形を変えながら繰り返されます。第1楽章のテーマが蘇って、最後の巨大なコーダとともに描写は遂に完成!

とさらっと書いてはみましたが、曲全体は1時間をゆうに超える長大なもの。私の片道の通勤時間には収まりません。でも、聴き込んでいくほどに耳にどんどん馴染んでいき、時間の長さはあまり関係なくなります。もちろん、ヴァントの細部にわたる端正な表現と、全体的な一体感とのバランスのよさによるところも大きいでしょう。
posted by stonez | 2005.12.14 23:12 | Comment(12) | TrackBack(4) | 音楽 - 交響曲
この記事へのコメント
ヴァントは名演の誉れ高く、確かに圧倒的な世界を表出していますよね。しかも精緻でしょう?。
ところで00番というのもあります。ここまで来るとブルックナーが可哀想になってきます。それこそそんなものまで出版しなくても。。。。ねぇ。
Posted by yurikamome122 at 2005.12.15 15:15
ご無沙汰していました。TBとコメントありがとうございました。最近はブルックナーですか。 何時までも未熟な私は未だにブルックナーとマーラーは敬遠しがちになります。戦艦大和のようにずっしりと重たくて。こんなことを言っているから何時までも耳が肥えないのは解っているのですが・・。
師走も半ばを過ぎますと、ぼつぼつベートーヴェンの『第九』を聴きたくなって来た私です。
Posted by アスカパパ at 2005.12.15 16:48
こんばんは。
ヴァントのブルックナーはいいですねえ。見通しのよさとドイツ的な重厚さが両立しているところが凄い。
第5のように規模が大きくなればなるほど、ヴァントのよさがでてきますよね。それと、第1楽章とフィナーレは当然なんですが、第2楽章のリズムが複雑に絡み合うところの明晰さに聞き惚れます。
Posted by romani at 2005.12.16 00:18
yurikamomeさん、いつもどうもありがとうございます!
本当に、細部の装飾まで見えてきそうな精密な演奏でした。よく、彼の演奏には「感情がない」なんていわれますが、これほど感動的なきっちりした演奏は、逆に感動的ですらあります。
ところで、00番ですか. . . そういう番号を付けた野球選手いますよね。とにかくそこまでくると、その人柄もひとつの魅力といっても良さそうですね。
Posted by stonez at 2005.12.16 01:22
アスカパパさん、こちらこそご無沙汰しました!
最近少しずつ聴くようになりましたが、やはり基本的に音楽鑑賞がゆっくり楽しめるのは通勤時間ですので、演奏時間というのは大きいですね。途中で中断すると忘れてしまいます(笑)
確かに第九の季節となりましたね。慌ただしい雰囲気を感じるようになると、どういうわけか勢いのいい派手な音楽が聴きたくなります(^^ゞ
Posted by stonez at 2005.12.16 01:25
romaniさん、いつもどうもありがとうございます!
私の印象では、ドイツの頑固職人という感じでしょうか。ぱっと聴いた印象ではありますが、彼らのコンビの演奏には特にそれを強く感じます。ブルックナーの5番のように、構築に失敗すると崩壊してしまうと言われているような音楽でこそ、その魅力が発揮されるというのは分かるような気がします。あらためて第2楽章が聴きたくなってきました。それにしても、少しの差で彼の演奏が聴けなくなってしまったのは残念です。
Posted by stonez at 2005.12.16 01:37
確かにブルックナーは謙虚なイメージですね。
じれったいくらいに…
理由が不純ですが、ヴァントは小学校時の校長先生にそっくりで好きです。

それより、日頃からコメント等いただき、お世話になっていますのに、今度は全集CDのご注文賜り、感謝します。

ほんの感謝の気持ちに、入金を待たず発送いたしました。到着をお待ちください。
ありがとうございました。
Posted by ensemble at 2005.12.16 12:41
ensembleさん、お忙しいところコメント頂きありがとうございます!
いえいえ、こちらこそ魅力的な商品に迷わず手が伸びてしまいました(^^ゞ
セル盤は私にとって、ブラームスの交響曲の入り口でした。是非通して聴いてみたいと思っていましたので嬉しい限りです。発送の件感謝いたします!
ところで、確かにヴァントが校長先生似(笑)というのを以前ensembleさんのエントリで拝見したのを思い出しました。彼の緻密なブルックナーは本当に聴き応えがありますね。
Posted by stonez at 2005.12.16 12:57
はじめまして。
わたしも5番を最近聴き始めました。

>聴き込んでいくほどに耳にどんどん馴染んでいき、時間の長さはあまり関係なくなります。

まったくその通りですね。
長いはずなのに全然ダレないし、聴けば聴くほど新たな表情が見えてきます。
Posted by 朱 厚照 at 2005.12.18 19:08
朱 厚照さん、はじめまして!遊びに来てくださりありがとうございます。
同じ感想をおもちのようで、嬉しく思います。私はまだまだこの音楽が馴染み始めたばかり。これからどんどん今まで見えなかった表情が見えてくるだろうと楽しみにしています。これからもよろしくお願いいたします。
Posted by stonez at 2005.12.19 01:36
またまたのお邪魔で申し訳ありません。
本日ヴァントの5番をはじめて聴きまして、
この曲に対する想いを強くしました。
変に雄弁になり過ぎてないのが、この演奏の「味」なんでしょうか。
Posted by 朱 厚照 at 2006.01.14 02:28
朱 厚照さん、ご無沙汰してしまいました、コメントどうもありがとうございます!
私はまだヴァントの5番のみ、というところですので是非違う演奏を楽しんでみたいですね。おっしゃる通りで、飾り気を取り払った演奏という感じはしました。朱 厚照さんがエントリーされていたティーレマン盤など、とても興味がありますね。
Posted by stonez at 2006.01.14 11:57
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