さて聴いている音楽です。モーツァルト作曲、交響曲第34番 ハ長調 K.338。ジョン・エリオット・ガーディナー指揮、イギリス・バロック管弦楽団の演奏で。
音楽そのものに覇気があります。力強く前向きです。その前向きさは緩徐楽章でも例外ではなく、あたたかさや安心感すらあります。そこからはモーツァルトが住みなれた故郷ザルツブルクを出て、音楽の都ウィーンでひと旗上げてやろうという意欲と自信が十分に伝わってきます。ガーディナーの精巧で鋭角的な響き、躍動感がまたよく合います。
通常は3楽章仕立てですが、このガーディナー盤は変わっていて、ウィーンでの演奏会用に追加されたと言われるメヌエットが第3楽章に入っています(この説、現在は否定的)。この典雅なメヌエットは全体ともよく調和しているので、これはこれで違った楽しみが味わえるわけで面白いですね。
ところで、以前N響アワーでの「ソナタ形式とは?」という特集でこのK.338の第1楽章が取り上げられてました。たしかに、男性的な第1主題と女性的な第2主題の対比がとても分かりやすく展開されていくので、そのシンプルさという部分でも親しみやすいですね。
Tags:ガーディナー