ビゼー/歌劇「カルメン」

芸術の秋になりましたので、ここは一つ趣向を変えてオペラいってみましょう。ビゼー作曲、歌劇「カルメン」です。ライヴDVDにて。臨場感は生には叶いませんが、気軽に好きなだけ楽しめるメリットを生かして、本物を見る時の準備ということで。

もう「前奏曲」に始まって、最後まで「知らない曲がない!」という勢いでした。約3時間という普通の映画よりも長い時間があっという間で、あとはフランス人がフランス語で作ったスペイン風のメロディに乗って、スペインが舞台のストーリーに気分良く集中できました。

まずはヒロイン・カルメンのバルツァ。「恋は野の鳥」や「セギディーリャ」といった名アリアを色っぽく響かせるだけでなく、駆け回ったり叫んだりと演技も素晴らしい。そして自由に生きて死ぬというカルメンの生き様は、悪女というより感性に正直な自由人という感じ。死をいとわないほど凛としたところに魅力があります。

一方のホセは、最初こそ「アルカラ竜騎兵の伍長」でちょっとダンディを気取っている風ですが、カルメンにのめりこんでどんどん落ちていくちょいダメなマザコン男。ちょっと美味しくない役ですが、カレーラスが男の弱い部分とか葛藤をリアルに熱演。カルメンに愛をささやく「花の歌」など甘美で絶品でした。カレーラスがこの数ヶ月後に白血病で一時退くのが信じられません。

他にも、闘牛士エスカミーリョはニヒル(笑)でよく通る声だし、ミカエラも歌唱力と共にちょっとホセとホセのママにこびてる感じが面白かったし、という感じで個性の立ったキャラがテンコ盛りな人間模様でした。そしてレヴァインの小気味の良い軽快な演奏が素晴らしく花を添えていました。

それから、巨大で雰囲気たっぷりの豪華セットはさすがメト、というところでしょうか。ちなみに、今回のようにレチタティーヴォではなく地のセリフで物語が進行するのが、最近のカルメンの主流だそうです。

■主な配役
カルメン(Ms)・・・アグネス・バルツァ
ドン・ホセ(T)・・・ホセ・カレーラス
エスカミーリョ(Br)・・・サミュエル・レイミー
ミカエラ(S)・・・レオーナ・ミッチェル

■演奏・制作
メトロポリタン歌劇場管弦楽団・合唱団
指揮:ジェイムズ・レヴァイン
制作:1987年2月 メトロポリタン歌劇場(ライヴ収録)

■あらすじ
兵士ドン・ホセは、ミカエラという許嫁がいるのにジプシーの女カルメンに夢中になり、彼女の逃亡を助けたり、隊長に逆らったあげく脱走兵となって密輸団に加わる羽目に。一方、カルメンはホセに飽きてしまい、闘牛士エスカミーリョのもとへ。それでも諦めきれないホセは、闘牛場まで未練たらたら押し掛けるものの、逆上してカルメンを刺し殺して号泣...。
posted by stonez | 2006.09.10 23:44 | Comment(6) | TrackBack(1) | 音楽 - オペラ・声楽
この記事へのコメント
アグネス・バルツァのカルメンですか。いかにも奔放な「悪い」女になりそうですね。ホセがカレーラスでは、手玉に取られるのが見え見えのキャスティング。ミッチェルのミカエラは、可憐さが出ていましたか?レヴァインは、オペラを振るとうまいですね。イタリアオペラが優先し、LDの時代に入手しそこなったので、興味深いです。今のところ、グラインドボーン音楽祭のアンネ・ゾフィー・フォン・オッターのカルメンを録画で見ています。
Posted by narkejp at 2006.09.11 05:49
このDVDを図書館で借りてみましたが25インチの画面では窮屈ですね(笑)。昔シンガポールに行った時、安かったのでアバドのLPセットを買いましたが付属の歌詞が全部フランス語で(当たり前ですが)ほとんど理解できなかった苦い思い出が有ります。国産のDVDならそういうことは無いので安心ですね。
Posted by よし at 2006.09.11 11:30
narkejpさん、いつもどうもありがとうございます!
そうなんです(笑)、バルツァはいかにも気の強い悪女風という感じでしたね。堂々とした存在感と貫録は説得力すら感じました。カレーラスは役柄のイメージよりも繊細そうで男前ですので、圧倒的にバルツァ>カレーラスでした。レオーナ・ミッチェルは同じくメトのトゥーランドットのリュー役も素晴らしかったですし、カーテンコールでの仕草とか、本当に上品で好感が持てます。気になる歌い手さんです。この名作は、是非レヴァイン以外でも見てみたいものです(^^
Posted by stonez at 2006.09.12 00:19
よしさん、いつもコメントありがとうございます!
図書館でDVDを貸し出しているなんて羨ましいですね(^^ 確かにうちも狭い画面でみなければいけないのが寂しい限りです(笑)。おっしゃる通りフランス語ですよね。先日お店でカラヤンのドン・ジョヴァンニのDVDを二千円程で見つけたのですが、たしかイタリア語だったと思います。言語となると難しい選択ですよね・・・それでも、とにかくDVDは簡単で手軽に入手できるので、有り難い時代だなと思います(^^
Posted by stonez at 2006.09.12 00:29
オペラは確かに映像があった方がわかりやすくていいです。
メトの演出はゴージャスでファンタスティック。レヴァインの指揮もイケイケで楽しく歌手陣も安定していてとっても楽しめるのではないでしょうか。そんな様子がこのエントリからうかがえます。
Posted by yurikamome122 at 2006.09.15 12:31
yurikamomeさん、いつもありがとうございます!
そうですね、ストーリーを楽しみながら音楽も堪能できる、これが実際の公演だったらと思うとわくわくしてきますね。解説書で読んだのですが、広いメトで音を響かせるにはそれだけのパワーを持った歌い手さんが必要とのことで、それに見あった素晴らしい歌の数々でした。レヴァインは確かにイケイケで(笑)熟練したマジシャンのようでした(^^ゞ
Posted by stonez at 2006.09.16 16:16
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