ショスタコーヴィチ/交響曲 第9番

今年は、生誕100周年を迎えたショスタコーヴィチのメモリアルイヤーでもあるわけですが、気づいたら9月25日の彼の誕生日を過ぎてましたorz。それでも少しずつ取り上げていきたいと思います。まずは 交響曲第9番 変ホ長調 Op.70です。

交響曲第9番というと、ベートーヴェンを筆頭に、シューベルト、ブルックナー、ドヴォルザーク、マーラーといった名だたる作曲家が大曲を残し、しかもそれを最後に世を去っているという、いわば「いわく付き」の番号ですが、当時すでに名声を博していたショスタコーヴィチにしても、これは頭にあったでしょう。しかも時は第二次世界大戦集結の1945年。当然ソビエト当局も聴衆も7番、8番に続く「大規模な戦勝交響曲」を期待していたはずです。

それに対する本人の回答、それがこの第9番です。ベートーヴェンの「エロイカ(英雄)交響曲」を思わせる変ホ長調に、5楽章構成。一見、壮大な大作の予感です。ところが、フタをあけてみるとその中身は軽快でコミカルなディヴェルティメント風。いかにも彼らしいシュールな作品でした。以下、私の勝手なイメージです。

はい、それではショーの始まり始まりー。ラッパに続いて軍隊の行進と思いきや、あまりのポカポカ陽気にみんなご帰宅。それを繰り返しているうちに日が暮れて終了【第1楽章】。

ところ変わって、ここは静寂に包まれた墓場。例の独裁者によって粛清された人たちの魂が浮遊する。声なき叫びをあげる【第2楽章】。

お次は、戦いも終わって明るさを取り戻した町の風景。と、なぜか突然ここで闘牛士が乱入(バーンスタイン談)【第3楽章】。その闘牛士が仮面を取ると、それはなんと罪なき人々を無理やり連れ去る秘密警察だった。町をふたたび恐怖が支配【第4楽章】。と、よく見たら秘密警察じゃなくて変装してた一般人でした。ただ飲み相手が欲しかったんだって。連れ去られた人たちも勢揃いで飲んで歌って、はいおしまい【第5楽章】。


さてその結果、周囲には見事肩すかしを喰らわせ、いともあっさり例の「いわく」をかわし、最終的に15曲もの交響曲を世に送り出したショスタコーヴィチ。当然ながら当局からは猛烈に批判され、演奏禁止という憂き目に。しかし明日の命をも知れない状況で堂々とこれをやってしまうわけで、さすがというほかありません。

私のお気に入りは、マリス・ヤンソンス指揮/オスロ・フィルハーモニー管弦楽団です。特に1、2楽章のテンポをかなり速めにとることで、スッキリした爽快感を前面に出しています。それに管楽器をはじめとした明朗な音色からは、あの閉鎖的な世界のジメジメさや泥臭さが洗い落とされています。
posted by stonez | 2006.10.13 19:40 | Comment(2) | TrackBack(0) | 音楽 - 交響曲
この記事へのコメント
こんばんは。

このシンフォニー、素敵ですよね。
9番でみんな死んじゃったので、きっと古今の大作曲家とは違ったスタイルの曲が書きたかったのでしょうね。

この曲、大好きです。
インバル盤が気に入っていたのですが、勘違いで中古CD屋に売ってしまって、いま手元にないのが痛恨時。

ウィーンの楽友協会で、4月に聴いたゲルギエフの演奏も、今でも鮮烈に記憶しています。
FMでも放送されたそうですが、聴き逃してしまいました。
Posted by romani at 2006.10.18 00:03
romaniさん、コメントをどうもありがとうございます!
そうでした、ウィーンでゲルギエフ/VPOの実演に接していらしたのですよね。私はこの第9番は最近初めて聴きましたので、改めて当時のromaniさんのエントリーを拝見しました。喝采を浴びるような素晴らしい演奏、きっとゾクゾクするような時間だったでしょうね。私も聴きたくなってまたCDを聴いています(^^ゞ
私はインバル盤では第8番を持っていますが、彼は精力的に録音を残していますよね。いずれ第9番も聴いてみたいところです。ありがとうございます。
Posted by stonez at 2006.10.18 00:41
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