サリエリ/ピアノ協奏曲 ハ長調

しばらくモーツァルトが続いたので、このあたりでサリエリはいかがでしょうか。ピアノ協奏曲 ハ長調。演奏はアンドレアス・シュタイアーのフォルテピアノと、コンチェルト・ケルンです。

形式は古典派でも、その奥底はどこかロマンティック。ころころ流れる愛らしいフォルテピアノに、快活なオーケストラが耳なじみよいです。そしてさらに魅力なのが第2楽章、ラルゲット。ぐっと照明を落としたように深い余韻と憂いに満ちていく。イタリア人らしい豊かな表情とオペラ作曲家らしさが伺えます。

というわけでアントニオ・サリエリという音楽家ですが、私も例にもれず映画「アマデウス」から知りました。肝心な映画はまだ見ていませんが。。とにかくオペラが大人気だったこと、宮廷音楽家として君臨したこと、モーツァルトの作品を高く評価していたこと、ベートーヴェンやシューベルトらを育てたこと、といったあたりはわかりました。これだけでも「凡人」でないことは明らかです。

ではなぜサリエリは、今では見向きもされなくなったのか。

もしかしたら平均寿命がわずか30代だった時代に75歳という長寿を全うしたことに関係があるのでしょうか。例えばサン=サーンスも、86歳という当時としてはとてつもない長生きをしたわけですが、フランスの楽壇がロマン派から印象派へ移行していく時、「時代遅れ」に扱われました。ただ現在では評価されていますが。

それともサリエリは、まだまだ将来のあった50代そこそこで作曲をやめてしまったからでしょうか。例えば76歳まで生きたロッシーニはもっと若い37歳のときにスパッと断筆して美食家として生きました。その後一時は忘れ去られた時期があったようです。でもこちらも今では再評価が進んでいますね。

少なくともサリエリの生涯というのはヘンデルに始まり、ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルト、ベルリオーズ、リスト、そしてワーグナーに至る、音楽史上でも類を見ない激動の時代に生きたわけで、一定期間に作曲された古風な作品が忘れ去られるのにそう時間は要らなかったかもしれません。

まあそう言いつつ、やっぱりサリエリの場合は戯曲から映画に至る「アマデウス」のマイナスイメージ?が効いているのかも。今回は素敵な作品でしたが、そもそも知る機会が少なすぎます。再評価の気運が高まることに期待します。オペラが気になります。私は映画「アマデウス」を見ることが先ですが。
posted by stonez | 2007.06.12 00:16 | Comment(4) | TrackBack(3) | 音楽 - 協奏曲
この記事へのコメント
stonezさんの書込を拝読してサリエリの曲を聴きたくなりました。

映画「アマデウス」は3〜4回観ています。素晴らしい映画です。是非御覧になることをお奨めします。TBさせて頂きました。

なおこの映画は、1984年アカデミー賞の作品賞を獲得すると共に、この映画を演出したミロシュ・フォアマンは監督賞、サリエリを演じたF・マーリー・エイブラハムは主演男優賞に輝いています。
日本では翌1985年に公開され、国内最高の権威あるキネマ旬報ベストテンの第1位を獲得しています。
映画マニアにとって忘れることの出来ぬ作品ですが、クラシックマニアの方が御覧になっても期待を裏切ることはないと思います。
Posted by アスカパパ at 2007.06.12 09:15
アスカパパさん、さっそくどうもありがとうございます!
サリエリ役がオスカーを獲っていたというのは知りませんでした、サリエリの目を通したモーツァルト像、やはり興味深いですね。なるほど「アマデウス」は数ある映画の中でも話題作だったということが分かりました。しかもモーツァルトの作品が効果的に登場するそうですね。近いうち是非見たいと思います。

サリエリは当初のイメージ(?)よりも可愛らしい音楽を作っていることに驚きました。他にはないオリジナリティも感じられますので、もう少し気軽に楽しめるようになるといいなと思います。本来はオペラや宗教音楽を多く手がけたそうなので、いつかそのあたりに触れてみたいところです。
Posted by stonez at 2007.06.13 01:20
「アマデウス」は面白いです。
音楽ファンなら何度見ても面白いしDVDも安く出ていますので買おうかなと思います。
サリエリは教育者として功績があった人ですね。シューベルトやベートーベンもお世話になったそうです。教育者としてはあまり革新的な作曲が出来なかったのでしょうか。
Posted by よし at 2007.06.13 14:12
よしさん、いつもありがとうございます!
さっそく店頭でアマデウスを探したのですが、ディレクターズカット・エディションでも2000円を切る価格に驚き、当然ながら即購入です(笑)。
ところで「名プレーヤ、名監督にあらず」なんて言葉がありますが、サリエリの場合その反対だったという感じでしょうか。きっと彼は素晴らしかったでしょうが、モーツァルトのインパクトはそれをはるかに上回ったということでしょうね。モーツァルトは他に比較できる相手がいないですものね。
Posted by stonez at 2007.06.14 00:52
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