ドヴォルザーク/弦楽セレナーデ

明治生まれの父方の祖母が他界しました。もともと高齢に加えて、数年前から痴呆と寝たきりの状態でしたので、とても寂しい気持ちの反面で、お疲れさまというか、これでようやく楽になれたのかなという思いもあります。今浮かぶのは子供の頃に可愛がってもらった懐かしい思い出ばかり。本当に今までありがとう。

今日はドヴォルザーク作曲、弦楽セレナーデ ホ長調 op.22。サー・ネヴィル・マリナー指揮/アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズによる演奏です。セレナーデ(独、セレナード(仏)、セレナータ(伊))とは、昔は窓辺で恋人に歌われた愛の歌だそうですが、今では小編成で多楽章からなる組曲を指すようです。

この弦楽セレナーデはドヴォルザークが33歳の若さで、しかも11日間で書き上げたという傑作ですが、そんな短期間に作られたとは思えない豊かで爽やかな響きですし、印象的なメロディの数々。ドヴォルザークは素晴らしいメロディーメーカーですね。

第1楽章は穏やかな風の中、落葉が舞う湖畔の風景のようです。ヴァイオリンの音色は本当に透きとおっていて、柔らい聴き心地からは、昔の懐かしい光景が脳裏に広がっていきます。

第2楽章は哀愁漂う美しさで、やはり懐かしい気分にさせてくれます。マリナー、アカデミーの演奏は、弦楽器だけで演奏されていることを忘れるような、しっかりした音色。

第3楽章は生き生きとしたスケルツォ。ここでも躍動感のある豊かな音色です。中間部は情緒的で、輝くような紅葉の風景がイメージされます。

第4楽章はしっとり落ち着いたノクターン風。内声部がしっかり支えているからでしょうが、より美しく響き渡ります。ここは弦楽器の持ち味充分ですね。

第5楽章はそれまでと変わって、印象的な溌剌とした音色で始まる快活な楽章。最後には、昔の懐かしい思い出が蘇るように、第1楽章のテーマが回想されるのですが、それが本当に感動的なんです。慰められているような気にさせる、繊細さと大胆さが心地よくミックスされた演奏でした。

この音楽は私の中に本当にすっと入ってきました。そして、暖色の色合いやセピア調のフィルターを通した懐かしさが見えてきました。
posted by stonez | 2005.10.26 23:15 | Comment(6) | TrackBack(1) | 音楽 - 管弦楽曲
この記事へのコメント
ドヴォルザークの弦楽セレナードは、旋律が美しくホンマにエエ曲ですね。
マリナーのフィリップス盤は聴いたことがないんですが、録音も良さそうですね。
ふだんはパイヤールやデイヴィス/BRSO盤、マリナーはDECCA盤で聴いています。指揮者や演奏団体で大きな差はないです。しかし、名曲です。チャイコフスキーの弦楽セレナードとカップリングになっていることが多いんですが、ドヴォルザークの方が上品な出来のように思います。

ところで、stonezさんが「室内楽曲」に分類されているんですが、このフィリップス盤、もしかして小編成というか、奏者が少ない室内楽版か何かなんでしょうか?もしそうだったら、是非聴きたいです。
Posted by mozart1889 at 2005.10.28 10:34
mozart1889さん、コメントどうもありがとうございました!
確かに私が聴いているこのCDも、チャイコフスキーの弦楽セレナーデとの組み合わせですね。どちらもいい曲ですが、私もこちらの方が好みに合っている気がします。穏やかで美しいですね。録音も聴きやすいと思います(^^ゞ
確かに室内楽曲にしたのですが、聴いた感じですが第1、2ヴァイオリン、ビオラ、チェロ、コントラバスの弦5部という感じでした。ライナーには明記されていなかったので違っていたらすみません(^^ゞ 私からもTBさせて頂きますね!
Posted by stonez at 2005.10.28 22:57
おはようございます。
おばあさまのご他界のこと、ご愁傷様です。
たとえ天寿を全うされたとしても、残された者にとっては、寂しいものですよね。気を落とされませんように。
ドボルザークのセレナーデというのは、今のstonezさんにとって本当にぴったりの曲なんだと思います。この曲を聴くと、私はいつも一瞬にして周りの空気がとても綺麗になったような気がするんです。
ドボルザークの魅力が溢れた、素敵な曲ですよね。
Posted by romani at 2005.10.29 10:35
romaniさん、暖かいコメントをどうもありがとうございます。
ちょうど最近iPodでは、この穏やかな弦楽セレナーデの美しさを楽しんでいましたが、今回のお葬式と重なった後でも優しく心に染みたのが印象的でした。romaniさんのおっしゃる空気を奇麗に変える、というのがよく分かりますね。しかも、不思議と懐かしい記憶も一緒に連れて来たので、この音楽共々これからも大切にしていきたいと思います。
ドヴォルザークの音楽はこれからも聴いていきたいですね。聴くたびにまた新たな世界に出会えそうで、それは非常に楽しみです。本当にありがとうございます!
Posted by stonez at 2005.10.29 18:42
アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ(ASMF)はそのディスコグラフィーから、小編成オケ曲専門と思われがちです。マリナーもあまり交響曲の有名盤は無いかと。
しかしシューマンの交響曲全集はなかなか良い演奏でした。歯切れのいい快活なシューマン。1番<春>は曲自体の軽やかさと、ASMFの明るい響きがマッチしていて好演奏です。是非聴いてみてください。
Posted by shinsaqu at 2005.11.02 10:38
shinsaquさん、こちらにもコメント頂きどうもありがとうございます。
確かに、この楽団の名前からはどういうグループなのか分かりにくいですし、ライナーを読んでも分かりにくいところがありました。交響曲の演奏もできる規模なんですね。私もシューマンの「春」や「ライン」などは好きでよく聴きますが、この演奏を探してみたいと思います。楽しみですね、ありがとうございます。
Posted by stonez at 2005.11.03 21:58
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Tracked: 2005-10-29 04:42