今日はこの秋初めて、コートを着たいと思うような寒さを感じました。過ごしやすい穏やかな秋は、やがて木枯らしの吹く寒い冬へと姿を変えていく、そんな今日この頃。とはいえ、まだまだコートの力は借りません!でも衣服の調節は昔から苦手です(笑)さて、いつもお世話になっているromaniさんが紹介されていたギター協奏曲が気になっていたところ、ギタリスト・村治佳織さんのCD(山下一史 指揮/新日本フィルハーモニー交響楽団)に収録されているのを見つけました。その曲とは、マリオ・カステルヌオーヴォ=テデスコ作曲、ギター協奏曲第1番 ニ長調 Op.99です。
テデスコという作曲家は、スペインの名ギタリスト・セゴヴィアとの出会いをきっかけに、このギター協奏曲第1番に代表される多くのギター曲を残したそうです。でも彼はユダヤ系イタリア人だったため、1939年にムッソリーニの台頭したイタリアから追放され、アメリカへの移住を余儀なくされます。このギター協奏曲は、そんな激動の年に作曲されました。あのロドリーゴのアランフェス協奏曲誕生と奇しくも同じ年です。
このギター協奏曲、聴いてみると心地いい程の透明感にあふれる素晴らしい音楽でした。第1楽章から爽やかで耳なじみのいいメロディ。第2楽章は余韻を楽しめるシンプルで奇麗な響き。ここでのギターとフルートの美しいことといったら筆舌に尽くしがたい!。第3楽章は対照的に荘厳でダイナミック。ギターはこんなにも澄み切った音色をしているのかと改めて驚きました。村治佳織さんのギターには情感がよく込められていて、それがクリアで豊かなオーケストラの響きによく合っていると思います。私の好きな演奏です。もちろん標題曲のアランフェス協奏曲もいいです。
ところで余談になりますが、テデスコはアメリカに渡ったのち「名犬ラッシー」や「スーパーマン」といった数多くの映画音楽を手がけたそうです。こうした、ファシズムの手から逃れた多くの才能が、当時のアメリカの映画やミュージカルを支えたわけですね。歴史とは皮肉なものです。
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TBありがとうございました。
テデスコのコンチェルト、気に入っていただいて何だかとても嬉しいです。
第2楽章が本当に美しいですよね。村治さんもこの曲が好きみたいで、ときどきコンサートで弾いていますよ。
これほど美しい音楽だとは知りませんでした。ギターといえばアランフェスの印象が強かったのですが、またそれとは違った雰囲気で、でもギターらしさは前面に出た魅力的な作品ですね。村治さんも好きなんですね。ギターの生演奏聴いてみたいです・・・
荘村清さんは有名なギタリストさんなんですね。他の楽器に比べると、私が知っているソリストさんの数は多くありませんが、できるだけいろいろな演奏で楽しみたいですね。テデスコのこのコンチェルトは期待を裏切らない名曲だと、私は思います(^^