ロッシーニ/歌劇「チェネレントラ(シンデレラ)」

in the room前々から狙っていた一眼用レンズを入手しました。といっても、それは諭吉先生1人でお釣りがくるほど格安な単焦点レンズです。ズームできない分を足でカバーすることになりますが、それと引き換えに室内でもいける明るさ、どこでも連れていけるコンパクトさ、そして驚くほどの背景ボケを手に入れました(^^ゞ

今日は、あの有名な童話が元になったオペラです。ロッシーニ作曲、歌劇「チェネレントラ(シンデレラ)」。シンデレラはイタリア語読みでチェネレントラ、意味は「灰かぶり」だそうで、女中代わりにこき使われているヒロインのことです。先入観とは恐いもので、もっと素敵な意味かと思ってましたよ(笑)

ストーリーはそのままに童話的な要素が取り除かれたオペラ・ブッファとなっていて、例えば魔法使いは王子の指南役に、またガラスの靴は腕輪に変わっていたりして現実的。ついでに意地悪な継母は継父に変わっていますが、これはもしや女声ばかりに偏ってしまうことを避けるための配慮でしょうか。

で、何より素晴らしいのがロッシーニの音楽ですね。どうもこのオペラ、初演の間際になって猛スピードで書き上げられたようで、その凄まじい集中力と勢いが作品に乗り移ったかのような、躍動感があって疾走する楽しい音楽ばかり。なのでチェネレントラの技巧的なアリアだけでなく、王子や従者、継父や姉たちのやりとりが生き生きしていて本当に面白いです。

見ているDVDは、シンデレラが当たり役といわれるバルトリのもので、私の妻はイメージよりもふくよか(笑)と言ってますが、チャーミングだしさすがに上手いし好きですよ私は。それからヒメネスの王子も雰囲気があってハマり役でした。従者ダンディーニやマニフィコ男爵などは絵本にいそうで笑えます。

■主な配役
シンデレラ・・・チェチーリア・バルトリ(Ms)
王子ラミーロ・・・ラウル・ヒメネス(T)
ダンディーニ・・・アレッサンドロ・コルベッリ(Br)
男爵マニフィコ・・・エンツォ・ダーラ(B)

■演奏・制作
ヒューストン・オペラ合唱団
ヒューストン交響楽団
指揮:ブルーノ・カンパネッラ
制作:1995年11月 ヒューストン・グランド・オペラ(ライヴ)
posted by stonez | 2007.12.27 02:15 | Comment(2) | TrackBack(0) | 音楽 - オペラ・声楽

モーツァルト/戴冠式ミサ

先週末にららぽーと横浜(写真)でフライパンを購入してきました。それまで使っていたのは私の独身時代のもので、役目はもうそれこそ十分すぎるほど果たしましたが、他にも独身時代から使い続けている食器類、電気製品がまだまだあります。お次は電子レンジです。妻が11年ほど使ったもので、先日ついに力尽きました。本当におつかれさまでした。今はとにかく想像を絶する不便さです。。

今回もモーツァルトです。いつもお世話になっているよしさんのエントリーに刺激を受けました。ミサ曲 ハ長調 K.317「戴冠式ミサ」を、前回に続きラファエル・クーベリック指揮の録音で。

暮れも押し詰まってくると、第九やメサイアなどの公演情報をよく目にしますが、戴冠式ミサにもそれらの作品に通じる祝祭的な雰囲気、ただならぬ緊張感の混じった興奮があります。ワクワクとゾクゾクです。違いといえば演奏時間が30分に満たないほど短いところでしょうか。なので通勤や昼休みにも気軽にいけます。

まず荘厳なキリエに心つかまれ、輝かしいグローリアでその虜に。ここのたたみかけてくる感動がたまりません。そして救いを求めるようなクレドに心地よさを知り、サンクトゥスとベネディクトゥスに励まされ、アニュス・デイに癒された上に感動をもらって終わる。といった感じで。

それにしてもクーベリックは推進力のある力強い演奏を聞かせますね。しかも均整のとれた美しさもあります。たまたま手に取ったCDが大当たりしました。合唱をはじめ圧倒的な声楽陣も素晴らしいの一言です。

■演奏
指揮:ラファエル・クーベリック
バイエルン放送交響楽団&バイエルン放送合唱団
ソプラノ:エディット・マティス
アルト:ノーマ・プロクター
バス:ジョン・シャーリー=カーク
posted by stonez | 2007.10.25 22:13 | Comment(4) | TrackBack(0) | 音楽 - オペラ・声楽

モーツァルト/ミサ・プレヴィス「雀のミサ」

このところ、夜中に頻繁に息子が起きるので妻はぐったり。息子のための母乳育児ですが、道のりは険しいとそばにいて感じます。自分は自分で携帯電話をなくしてバタバタし、気がついたらなんと10月もあとわずかになってしまいました。

更新は久々ですが、音楽はわりとよく聴いています。今回はその中から。モーツァルト作曲、ミサ・プレヴィス ハ長調 K.220(196b)「雀のミサ」。

魔笛のエンディングのように感動的で荘厳で、生命の息吹を感じる前向きさがあります。演奏時間17分と短いものの、トランペットやティンパニが気持ちよく鳴り響き重厚、それに比べて可愛らしいニックネーム「雀」の由来はサンクトゥス、ベネディクトスでのヴァイオリンの音色からだそうです。

そしてなにより合唱の素晴らしさに尽きると思います。歌っていてさぞかし気持ち良いことだろうと。もうわくわくしてきます。。これを聴いていて、中学校最後の合唱祭のことを思い出しました。「おそらく混声合唱ができるのはこれが最後です。思いきり楽しみましょう」。音楽の先生のこの言葉が忘れられません。その後は高校(男子校)、大学、社会人と進み、その言葉通りとなっています。

それぞれの曲が、キリスト教としてどんな役割を持つのかはよくわかりませんが、敬虔な気持ちと希望を感じることは確かです。クーベリックのまた新たな魅力を再発見した気がします。ソプラノのエディット・マティスの端正な歌声も素敵です。

■演奏
指揮:ラファエル・クーベリック
バイエルン放送交響楽団&レーゲンスブルク大聖堂聖歌隊
ソプラノ:エディット・マティス
アルト:タティアーナ・トロヤノス
テノール:ドナルド・グローベ
posted by stonez | 2007.10.21 01:36 | Comment(4) | TrackBack(0) | 音楽 - オペラ・声楽

巨星墜つ・・・パヴァロッティ死去

ルチアーノ・パヴァロッティ死去・・・前々から膵臓ガンのため体調が芳しくないことは聞いていましたが、なにせ、ついこの間のトリノオリンピックで「誰も寝てはならぬ」を颯爽と歌っていた姿が脳裏に焼き付いていましたから、さすがに驚きました。

私のように、オペラで活躍する彼を見たことがない人間でも、三大テノールでもひときわ存在感を放った巨人だったこと、キング・オブ・ハイCの名を欲しいままにしたことなどを知っているくらいです。あの圧倒的で張りのある歌声を聴くことがもうできないというのは寂しい思いです。

彼のベストアルバムから、レオンカヴァッロのオペラ「道化師」より「衣裳をつけろ」を聴いています。ここからは、最愛の妻に裏切られて絶望的な気分に沈むパリアッチョというよりも、悲嘆に暮れつつパワフルに主張するパヴァロッティ本人が浮かんできます。演じている役柄を超越してしまうような、強烈な個性と存在感を持った歌声はもう聞こえなくなってしまいました。合掌。

期待の新iPod発表に、猛威を振るう台風に、パヴァロッティの訃報に。
大きな出来事がいっぺんにやってきた一日だった。。。
posted by stonez | 2007.09.06 23:28 | Comment(4) | TrackBack(1) | 音楽 - オペラ・声楽

ワーグナー/楽劇「ニーベルングの指環」〜第一夜「ワルキューレ」

写真は群馬の実家での風景ですが、そんなこんなで妻と息子を実家に残して仕事が始まった2日間。そんな時にしかできないことシリーズ1日目はワーグナーの楽劇「ニーベルングの指環」の序夜を楽しみましたが、となると2日目はその次になるわけで、つづいて第一夜の「ワルキューレ」です。今回もレヴァイン/METのライヴDVDです。

お話は、生き別れていたヴォータン(神々の長)の双子の息子ジークムントと娘ジークリンデが出会って愛し合い駆け落ち(ここでジークフリートを身ごもる)。でもジークリンデの夫はジークムントの敵フンディングということで決闘することに。ヴォータンはジークムントを助けたかったが本妻フリッカの猛反対で見殺しにせざるを得なくなる。彼の愛娘でワルキューレの一人ブリュンヒルデは父の本心を見抜いてこの兄妹を助けようとするも、彼女のこの勝手な判断がヴォータンの怒りを買い、罰として神性を奪われ炎に包まれ長い眠りにつく・・・。こんな感じでしょうか。

前作「ラインの黄金」のヴォータンを取り巻くその後というわけで、指環は登場しませんが、序夜よりもさらにお話が変化に富んでいて、しかもあの有名な旋律をはじめそうそうたる音楽のおかげで楽しめた4時間(!)でした。ジークムントとジークリンデは近親相姦ですし、彼女の方は不倫でもあるわけでちょっと昼メロ的ですけど、あの神秘的な流れの中で純粋で美しく見えてしまうのが面白いところ。ヴォータンのブリュンヒルデに対する父性愛もそうですが、人間の様々な情感が、限界ギリギリの歌と、表情からも語りかけてくるような演技、そして迫力のオーケストラによってスケールいっぱいに描かれていく印象でした。

そういえば敵役フンディングはどこかで見た気がするなと思ったら、同じくMETつながりで魔笛のザラストロをやっていたクルト・モルという役者さんでした。いろんな顔をお持ちですね。こちらも存在感がありました。

ところで、このワーグナーの巨大な楽劇は、構想から完成まで実に26年もの歳月を費やした一大叙事詩的オペラというわけで、上演するだけでも4晩を要する超大作。なので2晩しか持っていない今回は、次の第2夜「ジークフリート」と最後の第3夜「神々の黄昏」のお話はおあずけということで。。。DVDも高価ですんで。

■主な配役
ヴォータン・・・ジェイムズ・モリス(Bs-Br)
ジークムント・・・ゲイリー・レイクス(T)
ジークリンデ・・・ジェシー・ノーマン(S)
フンディング・・・クルト・モル(B)
ブリュンヒルデ・・・ヒルデガルト・ベーレンス(S)
フリッカ・・・クリスタ・ルートヴィヒ(Ms)

■演奏・制作
メトロポリタン歌劇場管弦楽団
指揮:ジェイムズ・レヴァイン
演出:オットー・シェンク
制作:1989年4月 メトロポリタン歌劇場(ライヴ収録)
posted by stonez | 2007.08.26 23:49 | Comment(6) | TrackBack(0) | 音楽 - オペラ・声楽

ワーグナー/楽劇「ニーベルングの指環」〜序夜「ラインの黄金」

夏休みの後半は実家に行ってきました。息子とは普段いつも一緒なのであまり気づきませんが、また大きくなったね、なんて帰って言われるたびに子どもの成長を実感します。写真は群馬の月夜野びーどろパークにて。飲んだあとのグラスはお持ち帰りできます。

私は一足先にお休みが終わり、妻と息子を実家にあずけて出勤していたのでその間の2晩は久々に一人だけの時間。これは、こういう時にしかできないことをすべし。というわけで自宅にこもって初ワーグナーを楽しむことにしました。取っ掛かりがいきなり長編「リング」なんて大丈夫かなと思いましたが。。。

というわけでまずはこちら。ワーグナーの楽劇「ニーベルングの指環」から、序夜「ラインの黄金」。レヴァイン/METによるライブから。彼らのDVDは比較的リーズナブルで演出もオーソドックスだそうで、入り口には良さそうです。

ライン川の底、ラインの乙女たちが守る黄金を奪って、世界を支配できる呪われた指環をつくったアルベリヒと、それをめぐるヴォータンやローゲをはじめとする神々や巨人族、小人族の争いが語られるお話。壮大な物語のプロローグ。

ゆるやかに常に流れていく壮大な音楽に、神秘的なストーリーと舞台演出という非現実ぶりが徹底されていて、すっかり日常を忘れさせてくれます。それでいながら神々が掟にしばられたりと意外と人間味や親しみを感じる部分もあったり。とにかく時間をぜいたくに使ってつくられた、独特の宇宙を堪能しました。

ヴォータン役のジェイムズ・モリスの存在感をはじめローゲのくせ者ぶり、美しいラインの乙女たちといった、豪華な歌手陣がくり広げる一つ一つの演技や歌声、表情には存在感がありました。そうこう楽しんでいる間に、だんだんワーグナーの虜になっていくのでしょうか(^^ゞ

■主な配役
ヴォータン・・・ジェイムズ・モリス(Bs-Br)
ローゲ・・・ジークフリート・イェルザレム(T)
アルベリヒ・・・エッケハルト・ヴラシハ(Br)
フリッカ・・・クリスタ・ルートヴィヒ(Ms)
エルダ・・・ビルギッタ・スヴェンデン(A)

■演奏・制作
メトロポリタン歌劇場管弦楽団
指揮:ジェイムズ・レヴァイン
演出:オットー・シェンク
制作:1990年3月、4月 メトロポリタン歌劇場(ライヴ収録)
posted by stonez | 2007.08.25 15:19 | Comment(2) | TrackBack(0) | 音楽 - オペラ・声楽

プッチーニ/歌劇「ラ・ボエーム」

桜が満開になりました。写真は東京・目黒川にて。普段はあまり気にしない小川ですが、この時ばかりは風情のある清流に(笑)。昨日はうちのチビを連れて近所を散歩してきました。やっぱり外は気持ちいいですね。マウスオンもあります。

昨日はNHK芸術劇場の、藤原歌劇団によるオペラ「ラ・ボエーム」公演の放送を楽しみました。なかなかゆっくりコンサートやオペラを見に行けない最近の私にはありがたいプログラムです。

パリで芸術家を目指す若者たちを描いた青春群像。そして悲劇的な恋。体の弱いヒロインが死を迎えるというストーリーはヴェルディの椿姫に似ていますが、違うのは貧しくて、寒くて、暗闇に包まれているところ。一段と悲劇的。それなのに登場する若者たちには前向きさ、ユーモア、魅力的な個性、情熱があふれていて、生きるということを問いかけられている気がしました。

ポルタメントが美しく、スケールが大きいアリアの数々はプッチーニの醍醐味ですね。ロドルフォの生き生きした「冷たい手を」、ミミが可憐に歌い上げる「私の名はミミ」の若々しさにも生を感じたし、それぞれの人物の個性と雰囲気がよく出ていたと思います。ミミの最期のシーンは本当に可哀想で寂しくなりました。

とにかく男声が多いので、そのぶんミミやムゼッタが際立ちました。ロドルフォとミミがすぐに恋に落ちたり、ムゼッタがなぜか凄くいい人に変わったり、というのもありましたが、それはこの作品の魅力のうちということで(^^ゞ 絵画調の舞台も素敵でした。

■主な配役
ミミ・・・砂川涼子
ロドルフォ・・・村上敏明
ムゼッタ・・・高橋薫子
マルチェルロ・・・堀内康雄
ショナール・・・三浦克次
コルリーネ・・・久保田真澄

■演奏・収録
合唱:藤原歌劇団合唱部
児童合唱:多摩ファミリーシンガーズ
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
指揮:園田隆一郎
演出:岩田達宗
収録:2007年1月 Bunkamuraオーチャードホール(東京)
posted by stonez | 2007.04.02 15:55 | Comment(4) | TrackBack(1) | 音楽 - オペラ・声楽

アダン/バレエ「ジゼル」

ついに台風まで前倒しかと思いました。職場を出て十歩進んだら風呂に浸かった気分でした。

もう何年も前になりますが、一度だけバレエを見に行ったことがあります。それは「ジゼル」という名前でストーリーの半分が墓場にお化けという、ちょっと変わった作品です。その記憶が強すぎたか音楽はすっかり忘れてました。

そんな折、昨日の教育テレビの芸術劇場でジゼルが放送されることを知り、待ってましたとばかり目を皿にして楽しみました。

全2幕。かよわい村娘ジゼルはアルブレヒトと恋仲になるが、彼は実は貴族でしかも婚約者までいる昼メロ仕立ての色男。同じくジゼルに想いをよせる森男のヒラリオンは、まあ当然のように面白くないわけで、その秘密をみんなを集めてバッサリ暴いたら、ショックのあまりジゼルは死んでしまった。。。これが第1幕。

これで一応完結ですが、このあとが例の夜の墓場。第2幕。ジゼルをはじめ、未婚で世を去った精霊ウィリーたちの世界。いいところなしのヒラリオンは許しを請いに来たのに死の沼に落とされる始末。でもアルブレヒトはジゼルの愛によって助けられたのでした。

さすがに音楽はいい雰囲気ですね。広大でのどかな山村、ちょっと格式ばった田舎貴族などぴったり。お墓ではちょっと陽気すぎる気がしましたが、そこはバレエに圧倒されます。コジョカルの細い体に強靱なスプリングが埋め込まれたような張りつめた演技は鮮烈、あとはお化けの浮遊感とシンクロした動きは、もう異様(笑)

でも一番のインパクトは、第1幕の赤茶けた舞台と、第2幕の寒々しいまでの青。この色彩、コントラストの違いっぷりでしょう。作曲したアダンをはじめ、脚本から初演まで、さすがはバレエの国フランスですね。

■主な配役
ジゼル:アリーナ・コジョカル(英国ロイヤルバレエ団プリンシパル)
アルブレヒト:マニュエル・ルグリ(パリオペラ座バレエ団エトワール)
ヒラリオン:木村和夫(東京バレエ団)

■演奏・収録
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
2006年8月 東京文化会館、NHK
posted by stonez | 2007.03.05 23:28 | Comment(4) | TrackBack(0) | 音楽 - オペラ・声楽

チャイコフスキー/バレエ「くるみ割り人形」

クリスマスイブの夜のお話を、チャイコフスキーらしい甘美なメロディで彩るバレエ「くるみ割り人形」は、この時期の定番です。キーロフ・バレエのライヴ盤で。開演を心待ちにしている子供たちのカットがあったりして、気分はマリインスキー劇場の中です。

雪の降るクリスマスの夜。居間でツリーを囲んでパーティが始まると、そこは暖かくて楽しい空間。主人公マーシャは、人形使いのドロッセルマイヤーが取り出した不格好な「くるみ割り人形」を可愛がる心優しい女の子。この老人が次々に繰り出す仕掛け人形は、思わずプッと笑みが漏れるほどコミカルで機械的、本当に人形みたい。ツリーが大きくなったり、ネズミと鉛の兵隊が戦う演出にもワクワクしました。とにかくクリスマスらしさいっぱいの第1幕。

でも第2幕になって舞台がおとぎの国に変わったとき、そこは優しくて強い「くるみ割り人形」の王子と、王女となったマーシャが主役の優雅な世界。アラビアの踊りや中国の踊り、足笛の踊りに花のワルツとチャイコワールドが満開。バレエの本領発揮です。音楽だけでも楽しいのに踊りがまたカッコいい。王子と王女のグラン・パ・ド・ドゥで盛り上がりは最高潮。ダイナミックだけど繊細さもある王子に、しなやかで華麗な王女でした。レジュニナは覚えておきます。

それにしても、バレエの卓越した舞い、姿態は素晴らしいの一言です。しかもストーリーをきっちり表現するための演技ひとつひとつが、均整がとれてて機敏で凄く奇麗。だから、セリフがなくても見るもの聴くもの全てが瞬時に楽しめる、もうバレエならではの魅力でしょう。

目の前に素敵な絵本の世界が広がるような、チャイコフスキーの流れる旋律は、本当にこのためにある気がしてきます。そうそう、人形や子供たちの動きと表情を描いた音色も絶妙でした。(写真は自由が丘にて)

■主な配役
マーシャ、王女・・・ラリッサ・レジュニナ
くるみ割り人形、王子・・・ヴィクトル・バラノーフ
ドロッセルマイヤー・・・ピョートル・ルサーノフ

■演奏・制作
振付:ワシーリィ・ワイノーネン
キーロフ・バレエ(マリインスキー劇場)
キーロフ管弦楽団(マリインスキー劇場)
指揮:ヴィクトール・フェドートフ
制作:1993年10月 マリインスキー劇場(ライヴ)
posted by stonez | 2006.12.23 01:55 | Comment(6) | TrackBack(3) | 音楽 - オペラ・声楽

ショスタコーヴィチ/オラトリオ「森の歌」

2006年最後の追い込み、今月は今年メモリアルイヤーの作曲家おさらい特集になってますが、今回はショスタコーヴィチです。オラトリオ「森の歌」Op.81。

今になってみると、解説書とかの予備知識なんて知らないまま聴いても面白かったかなと思いますが、とにかく作曲当時のソ連ではたぶん話題作、現在では評価の別れる問題作といったところじゃないでしょうか。

このオラトリオ「森の歌」は、自身の「交響曲第9番」で招いた最大のピンチを逃げ切るための、いわゆる「起死回生の一発」でした。それは彼をピンチに追い込んだスターリンを絶賛して、その植林政策を賛美するというもの。これで一気に汚名返上、1950年のスターリン賞第一席というおまけもつきました。

それにしても、聴いててどうもショスタコっぽくないんですよね。妙にストレートで前向きというか、彼らしく、あれこれ巧妙なトリックが仕込んでありますよ的な雰囲気が感じられません。まだ聴き込みが足りないのかもしれませんが。残響音の少ない音質も拍車をかけます。東側のプロパガンダ映画のバックとかで普通に流れてそうな感じ。

勝手な想像ですが、あえていつもと全く違う作風にすることで体制や独裁者の異常性を強調しようとしたのではないかと。演奏には生々しさがあって、会場も異様な熱気。さすがは旧ソ連時代のお国もの、そしてスヴェトラーノフ。別の演奏を聴いたらどう感じるのか、ちょっと気になるところではあります。

ちなみにこのオラトリオ、後の1962年に歌詞が差し替えられています。理由はスターリン批判による当局の都合から。いやまったく受難な作品です。

■演奏・録音
指揮:エフゲニー・スヴェトラーノフ
演奏:ソビエト国立交響楽団
   A.ヴェデルニコフ(バス)、A.マスレニコフ(テノール)
   ソビエト・ゴステレラディオ・アカデミック合唱団
   モスクワ・スヴェシニコフ・コーラス・スクール少年合唱団
録音:1978年 モスクワ音楽院大ホール(ライヴ収録)
posted by stonez | 2006.12.20 07:17 | Comment(4) | TrackBack(0) | 音楽 - オペラ・声楽
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。