今日は、あの有名な童話が元になったオペラです。ロッシーニ作曲、歌劇「チェネレントラ(シンデレラ)」。シンデレラはイタリア語読みでチェネレントラ、意味は「灰かぶり」だそうで、女中代わりにこき使われているヒロインのことです。先入観とは恐いもので、もっと素敵な意味かと思ってましたよ(笑)
ストーリーはそのままに童話的な要素が取り除かれたオペラ・ブッファとなっていて、例えば魔法使いは王子の指南役に、またガラスの靴は腕輪に変わっていたりして現実的。ついでに意地悪な継母は継父に変わっていますが、これはもしや女声ばかりに偏ってしまうことを避けるための配慮でしょうか。
で、何より素晴らしいのがロッシーニの音楽ですね。どうもこのオペラ、初演の間際になって猛スピードで書き上げられたようで、その凄まじい集中力と勢いが作品に乗り移ったかのような、躍動感があって疾走する楽しい音楽ばかり。なのでチェネレントラの技巧的なアリアだけでなく、王子や従者、継父や姉たちのやりとりが生き生きしていて本当に面白いです。
見ているDVDは、シンデレラが当たり役といわれるバルトリのもので、私の妻はイメージよりもふくよか(笑)と言ってますが、チャーミングだしさすがに上手いし好きですよ私は。それからヒメネスの王子も雰囲気があってハマり役でした。従者ダンディーニやマニフィコ男爵などは絵本にいそうで笑えます。
■主な配役
シンデレラ・・・チェチーリア・バルトリ(Ms)
王子ラミーロ・・・ラウル・ヒメネス(T)
ダンディーニ・・・アレッサンドロ・コルベッリ(Br)
男爵マニフィコ・・・エンツォ・ダーラ(B)
■演奏・制作
ヒューストン・オペラ合唱団
ヒューストン交響楽団
指揮:ブルーノ・カンパネッラ
制作:1995年11月 ヒューストン・グランド・オペラ(ライヴ)