この交響曲は、シューベルトがシュタイエルマルク音楽協会の名誉会員に指名されたことへのお礼として、ヒュッテンブレンネルという人を通じて協会へ贈る予定で、第2楽章までのスコアを渡したものの、このヒュッテンさんは残りの楽章を期待して机の中にしまい込んでしまって30数年もの間眠ることになった...
ということですが、途中までの楽譜を渡したりすることってあるのか疑問ではあります。シューベルトさんと、この机の中にしまった人との関係にもよるのかもしれませんが。それに、第3楽章のスケッチもあるそうですし、次の交響曲(第9番・グレイト)もその後作曲されてますしね。
まあ、"未完成"となった理由がはっきりしないことも含めて、すべてがこの曲の魅力、ということかもしれないと思います。とにかくこの2つの楽章が素晴らしかったから、"未完成"なのに評価された、ということでしょう。
というわけこの曲を、ジュゼッペ・シノーポリ指揮/ドレスデン国立管弦楽団の演奏で。第1楽章は、意味深で存在感のある序奏です。それに続いて、懐かしいようなほっとする旋律がやってくるものの、暗雲とともに寂しさをともなって閉じます。なんとなく、なんですがベートーヴェンらしい雰囲気も感じます。第2楽章は優しくてメルヘンチックですし、やっぱりメロディがとても耳なじみいいですね。最後は穏やかに幕を閉じます。強いところは強く、繊細な部分は抑えられていて、比較的聴きやすい演奏だったと思います。
指揮者のシノーポリさんは2001年に、歌劇「アイーダ」を指揮中に亡くなられたそうで、54歳と、指揮者としてはこれからということを考えると残念です。ちなみに、シノーポリさんは、デビューも「アイーダ」だったそうで、「アイーダ」に始まり、そして終わったという何とも運命的なものを感じます。
yurikamome122さんによる記事です。確かに第2楽章は「穏やかに始まり、穏やかに終わる」というイメージ通りだと思いました。
シューベルト作曲、交響曲第8番「未完成」