モーツァルト/ピアノ協奏曲 第13番

delight先週は飲み会やら夜間作業やらでバタバタし、今週は火曜日に次期案件の面接を受けに行き、木曜日には資格試験を受けに行き、昨日は確定申告に行き、明日は車検に行く、という感じでほぼ日替わりです。

ただ今回は思いきって、資格試験に狙いを定めました。IT系のベンダー資格ですが、追い込みが奏功したのか、はたまた運なのか1科目が合格、そういうわけで残る1科目を本気で取りにいきたいと思います。これにより、ユーザー車検は潔く諦めました(笑)

写真は気晴らしに家族と行った公園で。桃や梅が咲き、もうすぐ春ですね。いや、もう既に春ですかね。穏やかな空気を感じつつ、ここしばらくはモーツァルトのピアノ協奏曲をよく聴いてます。その中から、ピアノ協奏曲第13番ハ長調 K.387b(K.415)を、ウラディーミル・アシュケナージの弾き振り、フィルハーモニア管弦楽団で。

1つ前のピアノ協奏曲 第12番の可愛らしさとはうって変わって、ちょっとすまし顔でゴージャスなのが面白いところ。ティンパニーの刻むリズムが適度に心地良く、またオーケストラの歯切れもよく、ピアノがコロコロと可憐な第1楽章。やわらかい春の風のように清々しい第2楽章。第3楽章は、颯爽と始まったと思いきや見る見る間に陰りが見え始め、深い悲しみに、そしてまた明るさを取り戻し、でもやっぱりため息をつき・・・という捕らえ所のなさが新鮮です。

始まりは堂々と、最後はあっけないほどさりげなく幕を閉じるという、ある意味で印象的なこの作品を、アシュケナージは繊細で慈しみ深く聴かせてくれます。
posted by stonez | 2008.03.15 02:03 | Comment(4) | TrackBack(0) | 音楽 - 協奏曲

グリーグ/ピアノ協奏曲

IMG_5718Macの国内シェアが倍増だそうで。でもまだ6%なんですけどね。とはいえ10年来のMacユーザーとしては、身売り説までウワサされた程どん底だった頃のAppleとの大きな違いを実感します。この勢いでどんどんシェアを伸ばして有益な選択肢を増やしてもらいたいものです。私はかなり遠回りしてますけど(笑)、MacBook貯金がんばります。

聴いている音楽。グリーグ作曲、ピアノ協奏曲 イ短調 Op.16。スヴャトスラフ・リヒテルのピアノ、ロヴロ・フォン・マタチッチ指揮、モンテ・カルロ国立歌劇場管弦楽団です。

言わずと知れた超有名なイントロは、運命にも、はたまたチャイコンにも引けを取らないインパクトですが、それは北欧ノルウェーの容赦ない自然の厳しさ、雄大さを示しているのでしょうか。スケールが大きくダイナミックな旋律でグイグイ引っぱっていってくれますが、その合間に魅せてくれる第2楽章アダージョの悲しげな透明感といったら。。とくに言葉はありません。目を閉じて聴くのみです。

空気がピンと張りつめたような緊張感に迫力。そして祈り。リヒテルのピアノと、マタチッチのオーケストラとの一体感を感じさせる迫真の演奏です。

写真はお休みの公園で。
a water in the park
posted by stonez | 2007.12.11 01:55 | Comment(8) | TrackBack(2) | 音楽 - 協奏曲

シベリウス/ヴァイオリン協奏曲

来週は群馬に帰省しますが、ちょうど私の母と祖父と祖母の誕生日が近いので、そのプレゼントを探しにデパートへ。

本屋さんに立ち寄ると、これがなかなかクラシック音楽関連の書籍が充実しています。あれこれと物色したかったのですが、まだじっとしていられない息子に気を取られるので、ゆっくり見られません。また今度。

今日はシベリウス作曲のヴァイオリン協奏曲 ニ短調 Op.47。ヴァイオリンは五嶋みどり、ズービン・メータ指揮、イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団の演奏で。

もともとヴァイオリニストになりたかったシベリウスが、こだわりにこだわって推敲を重ねて改訂したこの作品は、ヴァイオリンの技巧的なカッコ良さもさることながら、劇的な緊迫感をはらんだシンフォニックなところがまた魅力。20世紀に入ってからの作品ではあるものの、そのまま身をまかせられるほどメロディも魅力的です。

力が入っていて時間的にも巨大な第1楽章。4分割されたヴァイオリン群が描くほの暗い色彩を、切り裂くような独奏ヴァイオリンの堂々とした姿。ピンと張りつめていながらもしなやかで美しい五嶋みどりさんの音色がよく合っています。メータもそれにぴたりと合わせたダイナミックなオーケストラを聴かせます。第2楽章の穏やかさの中ににじむ物悲しさも、第3楽章のリズミカルな旋律、火の吹くようなヴァイオリンもまた素晴らしい演奏でした。
posted by stonez | 2007.09.30 23:47 | Comment(2) | TrackBack(0) | 音楽 - 協奏曲

ブラームス/ヴァイオリンとチェロのための協奏曲

先日、息子が扁桃腺を患いましたが、ついにそれが妻にも出てしまいました。それがようやく回復してきた折、またも息子が熱を出しヒヤリとしましたが、今のところ熱は引いて落ち着いています。ついでに私も一瞬寝込みました。健康のありがたさが身にしみます。

今日はブラームス作曲、ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲 イ短調 Op.102。演奏は独奏がギドン・クレーメル(ヴァイオリン)、ミッシャ・マイスキー(チェロ)、そしてレナード・バーンスタイン指揮、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団です。

もともとブラームスの第5番交響曲になる予定だった、という”いわく”つきの作品なだけあってオーケストラの充実ぶりはさすがという印象。それだけに、少しだけマニアックなこの編成になったのはもったいなかったのでは、と写りましたが。。。でもそこに至る経緯が興味深いです。

ブラームスが、古くからの親友だった名ヴァイオリニスト、ヨーゼフ・ヨアヒムの離婚問題で夫人の味方についたために、ヨアヒムとは絶交状態になってしまったものの、計画中の交響曲をヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲に変更し、ヨアヒムに助言を求め関係を回復した、というもの。

理由にもよりますが、だいたい親友夫婦がモメたとして、大抵は親友の肩を持つのがよくある話かなと思いますが、そこでわざわざ親友との関係を投げ打ってまで、しかも特別にこだわってきた交響曲のスタイルを崩してまで生き方に筋を通したところはさすがブラームスですね。シューマン亡き後のクララとの接し方にも通じるところがありそうです。

そんなブラームスらしさがにじみ出ているこの作品。2つの独奏楽器がオクターブで寄り添ったり、それぞれが追いかけっこをしたりと、まさに和解の協奏曲を感じさせますが、まずは交響曲らしい威厳と風格に満ちた第1楽章。牧歌的でブラームスならではの暖かさが感じられる第2楽章。リズミカルで充実した第3楽章。

バーンスタインらしいゆったりした構え、情熱的な表現をクレーメル、マイスキーもしっかり支えて聴き応え十分。そんな演奏です。
posted by stonez | 2007.09.11 00:44 | Comment(6) | TrackBack(1) | 音楽 - 協奏曲

サリエリ/ピアノ協奏曲 ハ長調

しばらくモーツァルトが続いたので、このあたりでサリエリはいかがでしょうか。ピアノ協奏曲 ハ長調。演奏はアンドレアス・シュタイアーのフォルテピアノと、コンチェルト・ケルンです。

形式は古典派でも、その奥底はどこかロマンティック。ころころ流れる愛らしいフォルテピアノに、快活なオーケストラが耳なじみよいです。そしてさらに魅力なのが第2楽章、ラルゲット。ぐっと照明を落としたように深い余韻と憂いに満ちていく。イタリア人らしい豊かな表情とオペラ作曲家らしさが伺えます。

というわけでアントニオ・サリエリという音楽家ですが、私も例にもれず映画「アマデウス」から知りました。肝心な映画はまだ見ていませんが。。とにかくオペラが大人気だったこと、宮廷音楽家として君臨したこと、モーツァルトの作品を高く評価していたこと、ベートーヴェンやシューベルトらを育てたこと、といったあたりはわかりました。これだけでも「凡人」でないことは明らかです。

ではなぜサリエリは、今では見向きもされなくなったのか。

もしかしたら平均寿命がわずか30代だった時代に75歳という長寿を全うしたことに関係があるのでしょうか。例えばサン=サーンスも、86歳という当時としてはとてつもない長生きをしたわけですが、フランスの楽壇がロマン派から印象派へ移行していく時、「時代遅れ」に扱われました。ただ現在では評価されていますが。

それともサリエリは、まだまだ将来のあった50代そこそこで作曲をやめてしまったからでしょうか。例えば76歳まで生きたロッシーニはもっと若い37歳のときにスパッと断筆して美食家として生きました。その後一時は忘れ去られた時期があったようです。でもこちらも今では再評価が進んでいますね。

少なくともサリエリの生涯というのはヘンデルに始まり、ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルト、ベルリオーズ、リスト、そしてワーグナーに至る、音楽史上でも類を見ない激動の時代に生きたわけで、一定期間に作曲された古風な作品が忘れ去られるのにそう時間は要らなかったかもしれません。

まあそう言いつつ、やっぱりサリエリの場合は戯曲から映画に至る「アマデウス」のマイナスイメージ?が効いているのかも。今回は素敵な作品でしたが、そもそも知る機会が少なすぎます。再評価の気運が高まることに期待します。オペラが気になります。私は映画「アマデウス」を見ることが先ですが。
posted by stonez | 2007.06.12 00:16 | Comment(4) | TrackBack(3) | 音楽 - 協奏曲

ハイドン/チェロ協奏曲 第2番

先日他界したロストロポーヴィチ氏の音源を見つけてきましたのでさっそく。今回はハイドンのチェロ協奏曲第2番 ニ長調で。ロストロポーヴィチ本人によるチェロ弾き振りのアカデミー管弦楽団です。1975年の録音。

あったかくて、ほのぼのしていて、おじ様ハイドンの温和なところだけストレートに伝わってくる(気がする)音楽と言えばいいでしょうか。奇抜なところはありません。充実した旋律が折り重なっていく第1楽章。甘いチェロが聴ける、幸福感に満たされた第2楽章。生き生きと軽快、華麗なチェロが聴ける第3楽章。

ロストロさんのチェロは本当に流麗で、それは優しく語りかけられる言葉のように自然で、そこにはソロをアピールするような「力」がまるで感じられません。でもオーケストラを包み込んでしまうこの大きさ、驚きました。これが音楽にそそがれる愛情なのかと。オーケストラと対等なだけがコンチェルトではないことを教えてくれる演奏です。

さて、長かった連休も今日で終わり。まあ今回は息子に配慮して、自宅を拠点にちょこちょこ日帰りという感じでしたが、そのぶん家族水入らずな時間が過ごせましたし、コツコツ投薬を続けたおかげで息子の貧血もかなり改善してきました。あとは私の仕事復帰のためのリハビリだけ。。。
posted by stonez | 2007.05.06 00:15 | Comment(4) | TrackBack(0) | 音楽 - 協奏曲

J.S.バッハ/ヴァイオリン協奏曲 第2番

ここ数日でずいぶん暖かくなりました。咲き出した桜ももうじき満開、子どもを連れて出かけるのが楽しみです。写真は夕暮れ時に桜の下で。マウスオンあります。

春らしい暖かさと輝きを兼ね備えた音楽、J.S.バッハ作曲、ヴァイオリン協奏曲 第2番 ホ長調 BWV1042を聴きました。サイモン・スタンデイジ(Vl)、トレヴァー・ピノック(Cond & Cemb)、イングリッシュ・コンサート。古楽器による演奏です。

春は出会いの季節。そんな喜びのように始まる第1楽章。軽やかに弾む心と、ほんのちょっぴり見え隠れする不安。第2楽章は悲しみのアダージョ。別れの季節でもある春のもう一つの表情。第3楽章は春の息吹。色鮮やかに緑が芽吹き、小川は雪解け水でまばゆいほどキラキラしている。そんなことを思い描きながら聴きました。

それにしても最初の数秒間だけで十分わかるほど、緊密で弾力のあるアンサンブル。これがピノックをはじめイングリッシュ・コンサートの熟練と一体感を感じさせるところ。スタンデイジもその一体感の中にあって、まるでコンマスがソロパートをやってるみたい。技巧もさわやかです。

古楽器は演奏がより難しいそうですが、この演奏からはそう聴こえてきません。
posted by stonez | 2007.03.29 00:56 | Comment(4) | TrackBack(1) | 音楽 - 協奏曲

メンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲

見ましたよ世界フィギュア・女子フリー。逆転につぐ逆転は、日本勢ワンツー独占という最高の結果に。こういう展開は見応えありますね。ハラハラします。安藤選手の優勝は、きっといろんな苦労を経験して大人になった証なんだろうなと思います。僅差でしたが真央ちゃんの驚異の逆転にも感動しました。妻は隣で涙してました。この先楽しみです。男女ともです。

そういうわけで安藤選手がフリーで踊った曲。メンデルスゾーン作曲、ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 Op.64。いわゆるメンコン。私が聴いているのは、ジョシュア・ベル(Vl)、サー・ネヴィル・マリナー指揮、アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ 。長い(笑)

メンデルスゾーンは好きだし、ベートーヴェンやブラームスと並んで『3大ヴァイオリン協奏曲』といわれるほどの傑作というのは知ってますが、私にはちょっと苦手でした。なんというか、むせび泣き過ぎるほどのヴァイオリンが、子ども心に重かったんだと思います。でも意外に感じながらもスケートのテーマとして聴いたら良かった。こんなにも情熱的だったのかと。安藤選手自身の選曲でしょうか。

そんな誰もが耳にしているはずの、あのヴァイオリンではじまる第1楽章ですが、ジョシュア・ベルの若々しい演奏は、すすり泣きの重苦しさが取り除かれてて聴きやすい。切れ目なく続く3つの楽章すべて、技巧と情感のバランスがよく劇的な盛り上がりもバッチリ、メンデルスゾーンの魅力再認識でした。
posted by stonez | 2007.03.25 09:27 | Comment(4) | TrackBack(1) | 音楽 - 協奏曲

エルガー/チェロ協奏曲

子どもができて変わったこと、そのひとつは休日の過ごしかたです。朝早くにおこされます。せっかくなので公園に行きたいけど近くになく、車で行っても駐車場がない、結局家にこもりがち。それでは寂しかろうということで昨日は出かけてきました。梅が咲いていました。マウスオンは朝に夜に賑やかなわが子です(笑)

『北欧イヤー2007』ですが「北欧=北ヨーロッパ」という広い見方をすると、イギリスも入るようです。というわけでさっそく。エルガー作曲、チェロ協奏曲 ホ短調 op.85。ジャクリーヌ・デュ・プレ(Vc)、サー・ジョン・バルビローリ指揮、ロンドン交響楽団 。意外にも今回が初エルガーでした。

エルガー最後の傑作。イギリスの片田舎の紳士みたいに、寡黙でどこか寂しげで哀愁を帯びた音楽。彼の音楽を聴くとシャーロック・ホームズの世界が頭をよぎりますが、このコンチェルトも特に第3楽章など、そんな古き良きイギリスらしさがいっぱいです。ステッキ、パイプ、ロングコート、馬車、石畳、荒野、ガス灯。。。

デュ・プレのチェロはうわさ通り。彼女が演奏すると、まるでそれは彼女の音楽であるかのよう。ひとことで言うなら『渾身』でしょう。第1楽章冒頭のモノローグから見事な弾きっぷりで、それが終楽章にまた帰ってきますが、物悲しさを越えて悲痛ですらあります。彼女の人生そのもののようにインパクト大。2楽章の早業も圧巻。サー・ジョンはそれに心で応える。総奏のときに音が割れる(笑)、すさまじい気迫です。
posted by stonez | 2007.03.22 01:18 | Comment(10) | TrackBack(4) | 音楽 - 協奏曲

モーツァルト/ヴァイオリン協奏曲 第2番

先日、初めて横浜の三渓園に行ってきました。梅はまだでしたが、平日で空いていたので家族でゆっくりできました。写真は鶴翔閣。復元ですが100年前の邸宅です。実は相当贅沢に造られていますが、それを感じさせないセンスの良さに共感します。マウスオンは咲きそろっていた雪柳。

うららかな日光をいっぱい浴びて、帰り道で聴いた一曲。モーツァルト作曲、ヴァイオリン協奏曲第2番 ニ長調 K.211。ヴァイオリンはシギスヴァルト・クイケン、ラ・プティット・バンド。

多作なモーツァルトにしては珍しく、公式には5曲しかないとされるヴァイオリン協奏曲。しかも第2番から第5番まではすべて19歳の時の作品なのに、当たり前のようにそれぞれ違った毛並をもった名作揃い。どれが好きかと聞かれたら迷いますが、一番多く聴いているといったら恐らくこの2番でしょう。気ままに、豊かに、優しく、心地よく。だから自然と手がのびる。私には外せない音楽です。

堂々としていて豊かなハーモニー。それでいてウキウキしてくる楽しさもあわせもった第1楽章。そして優雅なアリアのような第2楽章。たっぷり歌って、休止が入って、確かめるようにまた歌う。素敵なカンタービレ。終楽章はロンド。テンポを保ちながらゆったり贅沢な時間が過ぎていきます。

クイケンをはじめ、ラ・プティット・バンドの古楽器演奏は繊細でありながら軽妙。穏やかな表情をもったこの作品をさらりと描き出していて、絶妙に相性が良いです。またクイケンのソロですが、なんか肩の力が抜けていてそれが心地良いそよ風みたいなのです。
posted by stonez | 2007.03.11 05:01 | Comment(4) | TrackBack(0) | 音楽 - 協奏曲