チャイコフスキー/弦楽四重奏曲 第1番「アンダンテ・カンタービレ」

いよいよ始まりました、TV版「のだめカンタービレ」。のだめや千秋をはじめ個性的なキャラやコミカルな場面、音楽の描写などマンガの面白さが忠実に再現されていて楽しめました。竹中さんのミルヒーには笑いました。次回以降も楽しみです。

というわけで、勝手なこじつけですが今日は「カンタービレ」つながりで、チャイコフスキーの「アンダンテ・カンタービレ」です。弦楽四重奏曲第1番 ニ長調 Op.11。演奏はスメタナ四重奏団、1966年プラハでの録音から。

別に、この作品自体に「アンダンテ・カンタービレ」というニックネームがつけられているわけではありませんが、かの文豪トルストイが感動のあまり涙を流した、というほど美しい第2楽章からそう呼ばれているようです。どこをとっても口ずさめるメロディは、彼が既に初期の頃からメロディーメーカーだったことを教えてくれます。

第1楽章。弦楽器でしか味わえない穏やかで優しいモデラート。ゆっくりなテンポが次第に動きを増していくのは冬の寒さが次第に和らいでいくような感じ。

そして第2楽章。アンダンテ・カンタービレ。その通りゆっくりと歌うように、あたたかな音色、そして天国的な響きが降りそそぎます。この音色から感じられる懐かしくてどこか寂しい感覚こそ、チャイコフスキーの真骨頂。

第3楽章は急速なテンポのスケルツォ。北国の厳しい寒さのような鋭さ、そしてそれは第4楽章の舞曲のように軽快で晴れやかな気分へ。思わず口ずさみたくなるメロディ。情熱的でノリノリのフィナーレ。

優しさから激しさまで。ごくごく自然に気楽に聴きはじめたら最後までいってしまう。それがスメタナ四重奏団の魅力だと思います。


posted by stonez | 2006.10.16 23:31 | Comment(4) | TrackBack(2) | 音楽 - 室内楽曲

ドヴォルザーク/弦楽四重奏曲 第12番「アメリカ」

このところの雨で、だんだんと涼しさを感じるようになってきました。でも冷房が相変わらずの電車に乗って聴いたのは、ドヴォルザーク作曲、弦楽四重奏曲第12番 ヘ長調 Op.96「アメリカ」。パノハ弦楽四重奏団による演奏です。

異国情緒いっぱいの素朴で美しい音楽ですが、この音楽を最初に聴いた時、どちらかというと「アメリカ」より「中国」をイメージしました。それも煌びやかな宮廷を思わせる王朝時代風です。まあそれは、テレビか何かの作られた刷り込みかもしれませんが(笑)

作曲当時、ドヴォルザークは音楽院の院長としてアメリカに渡っていましたが、そこで関心を持ったネイティブアメリカンの民謡や黒人霊歌を作風に生かしつつ、チェコへの望郷の念もふんだんに織り込んで作曲されたようです。ちなみに、あの「新世界から」の第9交響曲も同じ年に作曲されています。

第1楽章。素朴だけれど豊かで伸びやかでどこか懐かしいメロディ。第2楽章。透明感があり、ドヴォルザークらしい心にしみる緩徐楽章。第3楽章。舞曲風のスケルツォ。時おり聴こえる小鳥の鳴き声が楽しい。第4楽章。より躍動感を増しつつも、中間部は一転して深い静寂に包まれる。

現在のチェコの代表的な弦楽四重奏団、パノハ四重奏団は、細やかで明朗な音色をもって率直に語りかけてくる演奏で、作品そのものの魅力が直接伝わってくるようです。彼らの大先輩にあたる、同じくチェコが生んだスメタナ四重奏団の哀愁をたたえた深い味わいとはまた違った魅力があります。
posted by stonez | 2006.09.14 01:57 | Comment(6) | TrackBack(3) | 音楽 - 室内楽曲

ラヴェル/弦楽四重奏曲

夕方の地震にはびっくりしました。でも海沿いの高層階が不安になるほどでなくてホッとしています。

さて、8月も今日で終わり。写真のように赤や黄色に色づいた木々を目にするようになり、まだ暑いながらも徐々に秋の気配を感じるようになってきました。

今日は近頃のお気にいり、ラヴェルが27歳の若さで作曲した、彼の生涯で唯一の弦楽四重奏曲 ヘ長調です。カルミナ四重奏団による1992年の録音から。

「オーケストラの魔術師」として名高いラヴェルが室内楽を作ったらどうなるか。非常にそそられましたが、その期待を裏切らないシンフォニックで聴き応えのある作品です。心地よい気だるさと、そこからにじみ出る色彩感が美しい一方で、感情が突出するような迫力もあり、そこには室内楽という枠を越えたラヴェルの魅力が詰まっています。

第1楽章はどこか懐かしくて、ずっと聴いていたくなる美しく切ない旋律。こんな場面でのビオラは憂いがあって素晴らしい。第2楽章ではそれまでの甘美さは引き継がれつつ、情熱の舞を見ているかのような小気味よいピチカートに魅了されます。

第3楽章はゆっくりと、静かに物思いに耽るモノトーンの世界。ふいに沸き起こる感情の発露は、ラヴェルらしい見事な表現です。それが消えるように終わるや否や、全楽器のユニゾンによる大胆な跳躍で第4楽章に。やがて冒頭のテーマが優雅に現れて、活気に満ちた終わりを迎えます。

カルミナ四重奏団は、1984年に結成された実力派カルテットだそうですが、この演奏は彼らの息遣いまでが聴こえてくるほど臨場感たっぷり、そして起伏に富んだこのラヴェルの世界を生き生きと華やかに表現しています。
posted by stonez | 2006.08.31 22:35 | Comment(8) | TrackBack(2) | 音楽 - 室内楽曲

モーツァルト/弦楽五重奏曲 第3番

毎日暑いといいつつ日中は涼しい職場にいるわけで、少々季節感に乏しい私でございます。先日息子が念願の寝返りを果たし、以来眠かろうが飲んだミルクを戻そうが構わずうつ伏せになって、見たいモノを自由に見る喜びに浸っております。

今回はモーツァルト作曲、弦楽五重奏曲第3番 ハ長調 K.515。演奏はアルバン・ベルク四重奏団です。編成はヴァイオリンとビオラが各2名、そしてチェロ。

お金に困ったモーツァルトが、新聞に広告を出してまで買い手を募った、という生々しいエピソードが全く信じられないほど気品に満ちています。それでも底抜けな明るさではなく、時おりのぞく暗いかげりが彼自身の苦悩を表わしているようにも思われ、才能と運命の織りなす綾は奥深いことだなぁと感嘆せずにはいられません。

まずは雄弁なヴァイオリンがしなやかに歌い、そして諭すように寄り添うチェロが優しい第1楽章。そして今度はビオラが穏やかにやってきて子守歌のように包み込んでくれる第2楽章。まったく俗っぽさのかけらもなく、ただ天から降り注ぐアルバン・ベルクの音楽に身をまかせるだけです。

そして第3楽章のうっとりするようなアンダンテは、聴いてる方が思わず身を乗り出してしまうようなどこか肩の力の抜けたところがあって不思議な魅力です。第4楽章はビオラとチェロの刻むリズムに支えられて、ヴァイオリンが生き生きと躍動する、ラストにふさわしい充実の音楽と演奏。

もうすべてが名旋律というのは疑いようのないことで、さすが室内楽における「ジュピター」と例えられるだけのことはあるなと思います。
posted by stonez | 2006.08.12 02:44 | Comment(16) | TrackBack(1) | 音楽 - 室内楽曲

シューマン/ピアノ五重奏曲

昨日はシューマンの150回目にあたる命日でした。ということをromaniさんnarkejpさんに教えて頂き、しかも聴いてみたかったシューマンの室内楽でエントリーしたいと思っていたところに、出先のお店でさっそく見つけてきました。

その中から、ピアノ五重奏曲 変ホ長調 Op.44を。ボザール・トリオに、ドルフ・ベッテルハイムのヴァイオリンと、サミュエル・ローズのヴィオラを加えた録音です。

このピアノ五重奏曲は、シューマンの「室内楽の年」といわれているほど多くの作品が残された1942年、彼が32歳の時に作曲されていますが、その感情豊かでロマンティックな音楽からは、気力十分で充実していただろう様子がよく伺えます。

第1・第3楽章はロマンティックな美しさや軽快さをたたえ、シューマンの隠れた内面をたっぷりと写し出しているかのような第2楽章を挟み込んでいます。そして第4楽章はどこか吹っ切れたように元気な感情がどんどん現れて、全体を通してこれぞシューマンの醍醐味!、という贅沢な構成といえます。

ボザール・トリオはブラームスの室内楽を聴いてからのお気に入りですが、小気味よくスッキリ爽やかな演奏はやはり素晴らしいです。それからウキウキした気分を象徴するようなピアノがあったり、時折のぞく憂いの表情をチェロが見せてくれたりと、表情豊かなシューマンの世界をたっぷりと楽しませてくれます。
posted by stonez | 2006.07.30 23:31 | Comment(4) | TrackBack(3) | 音楽 - 室内楽曲

ブラームス/ヴァイオリン・ソナタ 第1番「雨の歌」

今日は海の日。なのにあいにくの雨。3ヶ月を迎えた息子は、珍しくまだ熟睡中。最近では首も据わりはじめたためか、しきりに寝返りを打とうとするのですが頭が重すぎてできず、右横向きの状態で泣きながら時計回りに周ったりするようになりました。親は基本的には何もしないで見守っていますが(笑)。これからだんだん目が離せなくなりそうです。

そんな感じで、久々に静かにくつろいでいる後ろで流れているのは、ブラームス作曲、ヴァイオリン・ソナタ第1番ト長調 Op.78「雨の歌」。ヴァイオリンはヴォルフガング・シュナイダーハン、カール・ゼーマンのピアノ共演。

滋味。ブラームスの音楽を聴いていると、いつもこの単語が頭に浮かぶのですが、このソナタ第1番などまさにそう思います。豊かで深い精神的な味わいは、こういう雨の休日でこそ、よりじっくり堪能できるものなのかもしれません。この音楽、第3楽章に自身の歌曲「雨の歌」が引用されているのでその名前で呼ばれているそうですが、この部分だけでなく、第1楽章の冒頭から既に雨の(しかも小降りのイメージ)様子が想像できるほど、ぴたりと言い当てているように思えてきます。

第1楽章ではシュナイダーハンが高音を哀愁たっぷりに歌い上げ、ゼーマンのピアノが落ち着いた低音であたたかく支えていく。第2楽章では今度はピアノが深い落ち着きをたたえながら、ヴァイオリンの音色を導き出していく。第3楽章ではヴァイオリンとピアノが共に切々と悲しみを押さえた旋律を綴っていく。

主役のヴァイオリンと脇役のはずのピアノが「共演」し、器楽のソナタの枠を超えて色々な角度からさりげなく楽しませてくれる、これぞブラームスらしい渋い演出といえそうです。
posted by stonez | 2006.07.17 11:53 | Comment(2) | TrackBack(0) | 音楽 - 室内楽曲

ブラームス/ピアノ四重奏曲 第2番

今日は、たまった仕事を片づけながらこの音楽を聴きました。ブラームス作曲、ピアノ四重奏曲 第2番 イ長調 op.26。重すぎないし軽くもない。仕事には程よく集中できたのでよかったと思います。あまりにも心地よかったので、ついでに後でじっくり聴きました(^^ゞ さすがブラームス。

特に理由はなかったのですが、私にとってのブラームスの入り口は、交響曲ではなくてピアノ四重奏曲からでした。聴くと自然と馴染めてしまうこの空気感、そしてその中に喜びも悲しみもさりげなく表現されているところに惹かれます。とにかく、ブラームスのピアノ系楽曲も本当に素晴らしい。

演奏は、タマーシュ・ヴァーシャーリ(ピアノ)、トーマス・ブランディス(ヴァイオリン)、ヴォルフラム・クリスト(ヴィオラ)、オトマール・ボルヴィツキー(チェロ)ということですが、録音された1982年当時のベルリン・フィルの首席奏者を務めていた人たちだそうです。

第1楽章は爽やかなピアノから。弦楽器が後を追うように主題を奏でます。ピアノが息の長い明るい旋律を奏でる一方で、弦楽器が哀愁を帯びた音を響かせています。

第2楽章は、少し憂いのある緩徐楽章。弦楽器、特にヴァイオリンが伸びやかな美しさが感じられます。ピアノは優しさを感じさせながらも時に情熱的。弱音でのアルペジオなど、演奏方法でも面白みのある楽章です。

第3楽章は、緻密に構築された印象のスケルツォ。このあたりは交響曲でのブラームスらしさを垣間見せてくれるところでしょうか。このリズミカルな音色はいいですね、仕事にリズムが加わるといいますか、ながら族の私にはとても相性がいいですね。

第4楽章、テーマが繰り返しやって来るというロンド形式の舞曲風。シンコペーションを多用したピアノと弦の追いかけっこ。こちらも軽快で聞きやすくなっています。軽快なのに艶やかに感じられる演奏はさすが最高峰オーケストラ出身といったところでしょうか。

ブラームスのエネルギッシュな若さと才能溢れる緻密さを爽やかさを、息が長くて瑞々しい演奏で楽しめるので、もう一回聴きたくなるというわけです。
posted by stonez | 2005.11.03 22:02 | Comment(2) | TrackBack(0) | 音楽 - 室内楽曲

ブラームス/ピアノ四重奏曲 第1番

家の外ではセミが鳴き始めました。毎日暑い日が続いていますね。ただ、日頃の私はそんな季節感をほとんど感じない、蛍光灯とクーラーの下(笑)で仕事してます。それでも移動する時はむっとする暑さの中ですので、そんなときは涼しげな音楽が聴きたくなります。ブラームスの「ピアノ四重奏曲 第1番 ト短調 Op.25」はそんな時にぴったりな1曲ですね。演奏は「ボザール・トリオ」による録音です。

ヨハネス・ブラームスは19世紀ドイツの作曲家ですが、大バッハ・ベートーヴェンと並んで、ドイツ音楽の「3大B」と言われたりしていますね。リストやワーグナーが歌劇や標題音楽へとシフトしていく中、ブラームスはベートーヴェンの後継者として、交響曲をはじめ、協奏曲、室内楽曲、歌曲と多岐にわたって作品を残しています。このピアノ四重奏曲 第1番は、そんなブラームスにとって比較的初期の作品ですが、シューマンとその妻クララとの出会い、そしてシューマンの死、それからクララへの思いと交流という激動の時期に作曲されています。

第1楽章から暗く情熱的ですが、重くはありません。ピアノの澄んだ音色、そしてヴァイオリンの落ち着いた音色。それを、ビオラとチェロが程よい厚みで支えられていて、泣くような曲想も爽やかに聴こえてきます。

第2楽章はちょっと神秘的な感じの旋律と、それに挟まれた明るく軽快な旋律からなる3部形式です。対照的な空間を自然なメリハリをもって楽しませてくれています。

第3楽章は変わって、穏やかな緩徐楽章です。そして、中間部ではヴァイオリンとビオラによって感謝の賛歌が歌われ、快適な高揚感に包まれます。心地よい暖かさを感じさせてくれる演奏です。

終楽章は「ジプシー風ロンド」と題されている通り、リズミカルで情熱的に展開していきます。ピアノのげきこうするかのようなカデンツァと、それを慰めるような弦楽器のしっとりした旋律。最後は情熱的に幕を閉じます。

ボザール・トリオは、1954年に結成されたアメリカのピアノ三重奏団ですが、ピアノ四重奏ではヴィオラのワルター・トランプラーが加わっての録音です。歴史の長い、息の合った彼らの演奏からは、透き通った透明感を感じます。
posted by stonez | 2005.08.02 22:50 | Comment(2) | TrackBack(0) | 音楽 - 室内楽曲

シューベルト/弦楽四重奏曲 第13番「ロザムンデ」

今月から、常駐先が晴海から麻布十番に変わりました。東京を脱出して仕事したい、という思惑はなかなか実現しませんが、自宅からの距離と通勤時間、それから運賃がわずかながらも縮まったのは良いことです。

今度利用している東急大井町線の車窓から見える風景は、どことなくのどかな街の風景を残してていいですね。ホームが短い為に、一部の駅ではドアの開かない車両があったりとか、駅構内に踏切があったりと、都内にありながらローカルな感じが、たまらなくノスタルジック。井の頭線ともまた違った趣があります。右の写真は、等々力駅近くの「等々力渓谷」です。都内に渓谷はここだけだそうですが、のどかな街中にこんな大胆な裂け目が隠されていることにまた驚き。

さて、今日はシューベルト作曲、弦楽四重奏曲 第13番「ロザムンデ」を、ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団による演奏で。タイトルの「ロザムンデ」は、彼が作曲した劇音楽「キュプロスの女王、ロザムンデ」からとられたもので、その中の旋律が、この曲の第2楽章に使われているそうです。私はまだ劇音楽の方は聴いていないので確かめていませんが。

第1楽章・・・悲劇的な歌曲風。ヴァイオリンが奏でる冒頭部分は「昔々・・・」と語りかけてくるよう。第2楽章・・・懐かしいような切ないような、叙情歌曲らしい繊細さがある。第3楽章・・・沈んだ調子の中にも、時折ワルツの洗練されたリズムがのぞく。終楽章・・・明るいロンド風のリズムで、愉快な気分で締めくくる。

シューベルトは、31年という短い生涯に約30曲の弦楽四重奏曲を残していますが、この曲は1824年に後期四重奏曲の1作目として作曲されています。ハイドンやモーツァルトの影響が色濃い前期の作品と比べ、シューベルト独特のロマン性が感じられますし、転調するたびに変化する色々な表情を楽しませてくれます。それからなんといってもカンパーさんのヴァイオリンが、美しさの中に漂っている哀愁や時折見せる明るさを余すことなく伝えてくれます。1950年ということでモノラルで古い録音でしたが、この年代にしてはいい音だったと思います。それからお洒落なジャケットに惹かれてしまいました。
posted by stonez | 2005.07.06 22:06 | Comment(8) | TrackBack(1) | 音楽 - 室内楽曲
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